妖精の尻尾所属の戦闘民族(旧)
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第10話 新たな光への覚醒
前書き
やりきれた…ぜ…(達成感)
とりあえず完成…。後1話で今日投稿してまた時間がある平日にもまた投稿します!
んん?なんたか覚醒シーンが適当な…、無理矢理感が凄い…?あらやだぁ…。
まぁ、これで第10話完成です。第10話、どうぞ!!
森の奥までラクサスと進む内に、気配が淡々と大きく、そして気分を悪くさせてくる。
それはラクサスも同様で、さっきまで皮肉を言ってくれていた時とは違い、顔から汗が見える。
だが、ここで引いておく訳にはいかない。何故なら感じたのだ。
奥にいるのは嫌な気配だけではなく、魔道士の気配もちゃんとあると、近づく内に感じた。
ならここで引いてしまうより、やられているであろう魔道士を連れて逃げたほうが良い。
見殺しするよりマシだと、オレは思っているから。
「…本当にオレたち以外の魔道士が居るんだな、レッド」
「ああ、それは確実だ。小さいけど、オレたちが来る前にここに依頼できた人は居る」
断言するオレにラクサスは少しだけ考えるように顎に手をかけ、そしてオレの方に向き合って考えたことを話す。
「――――ならなんで生きてんだ?そのバケモンのことは知らねえが、態々生かす必要ねえだろ」
「…!確かに」
そうか、それは考えていなかった。だが、生かしても問題ないと判断されたかも…それはそれで厄介か。
「そうだ。やられちまってもS級魔道士の1人だろ。来たのは。ならそいつがやられた後に生存されても、逃げるための隙とか他にも対策を立てることがあるだろうが…」
「…それを気にするほどでもない、と思われている可能性だったら」
「…絶望的だな」
ならこの奥にいる化物は、オレたちでは勝てるかますます怪しくなってくる。
これは、もう一人を連れて逃げ出せるか…、分からない。
だが、勝てなくとも、負けるつもりはない。逃げ切るように、するか…。
「おい、そろそろご対面だ。考え事は後にして、後はなるようにして逃げるぞ、レッド」
「…ああ、そうだな」
それで目を合わせて互いに首を縦に動かして――――走る
「――――そんなに急がなくてもゆっくりしてくれてもいいのですよ」
「「――――ッ!!」」
オレは魔力を纏って最高の状態で移動した。普通の魔道士でも目が追えないと言われる程の。
そして、ラクサスは雷へと変化し、オレよりも最高状態で走った。
――――それを、強制的に体の動きを、止めさせれた。
「別に命を取ろうというわけではありませんので、安心してください。只、実験に付き合っていただきたいだけですので」
体が動かない――――というわけでなく、ただ急いでここから逃げるという選択肢が消えた。
しかも、今聞こえた声は女性の声――――オレとラクサスは同時にその声の方へ目を向け、そして大きく目が開いてしまった。
声の持ち主は女性、いや美女が居た。それだけならよかったのだが、美女の頭には角が生えており、そしてその女体は随分と出来て…今何考えてんだオレ。そうじゃないだろ、だって、この女からは――――
先ほど感じたことのない魔力――――いや力を感じた。
ラクサスも感じたのか、すぐに顔を引き締める。
当然だ。この女はオレたちと同等か、それ以上の力――――。
これで勝てるとは、まだ確信を持って言えない。
「…その実験ってのは」
「人間に教えるほどではないですので、貴方たちはただ私に協力してくれるだけで良いのです」
その美女は、オレたちを見るときの目線はまるで虫を見ているかのような目をしていた。
そして、何よりもオレたちを格下、下等生物だと言わせるような物言い。そしてこの圧倒感。
「…人間、じゃないのか?」
そう、この女からは角が生えているが…サイヤ人のように尻尾が生えてたり、リサーナのように魔法で猫耳になったりする魔道士も居る。だからこの女性もそうなのかと思ったが、そうではないらしい。
…牛、か?…やめよう、これを口にしたら殺されるってオレの中の何かが囁いている。
「まずは、この子を相手して、ある程度までやってくれたら後は解放してもいいですわ」
――――何かが、来る。この気配…上からだと!?
ラクサスも同じことを感じたか、上を見るとすぐに避ける。
ラクサスの居た場所に、悪魔と思わせるような姿をした化物――――デーモンが着地した。
「おい、コイツ…!!」
「とんでもねえ…力を感じる!!」
そう、その力は今まで感じたことのない…吐き気をするほどの邪悪さがある…。
その力を測るとしたら、今まで退治してきたモンスターとは格が違う。
「チィッ…!やるしかねえのか…!」
苛ついたように舌打ちするラクサス、そして一緒に戦闘の体制へと構える。
ラクサスは自身の体に雷を走らせ、オレは白いオーラを出して力を溜める。
だが、これであそこに倒れているS級魔道士たちが倒れるのは納得した。確かにこれは1人では手に負えない…、いや、よく見てみると他にも倒れている人が数人…、反応が小さいから感じられなかったか…。
とにかく、今はあの化物を倒すしか手がない。
そして、オレたちにあの化物を倒すよう命じてきた女は岩の上に座り、足を組んでこちらを観察するように見る。
ラクサスの体に走る雷、そして白いオーラを身につけているオレを見る。
…美女から見られるのは嫌いではないが、こんな動物観察みたいに見られても嬉しくない。喜ぶのは特異体質をした変態だけだろう。
そして、オレとラクサスは化物であるデーモンが何時まで動くかを待って構える。
どんな攻撃してくるか分からない以上、下手に動く訳にはいかない。それにデーモンは魔法も扱うと言った。それなら油断禁物だろう…。
そして、向かい合って数分くらいなのだろうか、デーモンがついに動いた。
まずはオレの方へと拳を振りかざし、その強力そうな腕力でオレを殴り潰そうと拳を下ろす。
だが、唯でやられない。オレは腕をクロスしてデーモンの攻撃を受け止めた――――腕がヒリヒリするが、仕方あるまい。
受け止めると思わなかったであろうデーモンは少し狼狽え、もう一振りを下ろそうと手を挙げるその時、彼の顔へと黄色い閃光の雷が走り、そして化物を飛ばした。
ラクサスが直接殴り飛ばしたようで、デーモンは森の木を次々へと飛ぶ。とんでもねぇ…ラクサスの腕力もとんでもねえ…等とラクサスの成長を目の辺りにした後、オレは両手に力を溜め、吹き飛んだ化物へと両手を向け――――巨大な光線を飛ばす。
撃ち込んだ光線はデーモンが吹っ飛んだところまで進んでいき――爆発する。
ダメージにはなればいいのだが…まだこんなものではないはずだ。
オレの光線を見ていたラクサスは「やるじゃねえか」と愉快そうな声を聞いてオレも「ラクサスこそ」と返す。だが、決して油断しているわけではない。現に二人して目を合わせていない。
むしろデーモンの飛んだ方へ目を向けたままだ。
そして、化物の咆哮が森に響き渡る――――
こちらへと翼を広げて咆哮を上げなら近づくは悪魔の姿をした化物――――そしてオレとラクサスはそれに合わせ、拳を上げて相手へと対峙する――――
◆◆◆◆◆◆
二人と一体の拳がぶつかり合う。
巨大な拳でも二人の人間の拳より大きいからか、二人の人間でもその拳へ合わせて放てた。
外部から見たら二人の少年が押し負けると思えるような光景だが、その少年たちは自身の体を強化したのか、黄色い髪をした少年は雷を走らせ、茜色の髪をした少年は白いオーラを大きくさせ抵抗する。
対するはデーモンが。巨大な体からはどす黒い魔力、光を纏って少年たちへと力押しをする。
――――だが、デーモンの方が力で押し負けた。
片方の少年たちは、力だけで言えば上級と言えるほどの実力の持ち主。
片や才能が満ち溢れ、力を上げ続ける天才。
片や戦闘民族の先祖返りであり、限界までに鍛え上げた秀才。
どれも実力は申し分なく、妖精の尻尾の強さでは最強のギルダーツの次に誇りがあると言われている。
その二人が共闘して、このデーモンに押し負けるのだろうか?
そして、またもや飛ばされるデーモンに、茜色の少年――――レッドが舞空術を行い、瞬時に追いついてはラクサスに向けてデーモンを蹴り飛ばす。
そして、ラクサスは避けもせず、手に纏った雷を強化し、その力をデーモンへと解き放つ。
「――――くたばりやがれ!!こんのバケモンがァ!!」
全力の一撃、その一撃を持ってデーモンはまた飛ばされ、意識を失いかけるもすぐに戻し、飛ばされている方へ目を向けて――――急いで翼を広げさせ、今から来る物から逃げようとするも、無駄になった。
何故なら、今からくらうそれは先ほどの力とは比べようもない――――
「――――波ァァアアアア――――!!」
声を上げるほどの気合――――その両手から出ている一撃に乗せた本気の青いエネルギー砲を、デーモンは自分はここまで、と悟りかけるその時――――
「――――が命令する、限界を外してその方たちを潰しなさい」
自身が聞こえた、自身より格上である存在――――からの命令。それに反応して自分の中の何かが壊れた。
「――――なッ!?」
「馬鹿な…!?」
光の中へと消えていくはずだった怪物の体は、先ほどより大きく、けれども外見だけではなく、その内なる何かが急成長した。
デーモンの青い色した肌は、黒くへと变化し、爪も大きくなったことで、その凶悪さがますます上がった。
それを目で見ていたレッドとラクサスはただ疑う。この状況を。
さっきまで、劣勢に追い込んだ怪物が、今の自分達よりも遥か上回っている。
ラクサスはそのデーモンから感じた魔力に汗が滲み、レッドは先よりも感じる邪悪さに顔を青くした。
「…クソ、まじかよ…」
「…これは…勝てねえかもしれないな」
そう呟く二人に対して、先ほど暴走していたような仕草をしないデーモン。むしろ前より知性を身に着けたのではないかと思ってしまう。
だが、デーモンは知性がよくなったわけではなく――――彼の体はもう死に初めている。
限界を超えた姿で、寿命も減り、もはや死ぬのは数日になるだろう体は――――命令した主の為に動く。
しかし、レッドとラクサスはそれに気づかず、何故このようなパワーアップをデーモンが果たしたのかを知らない。なにせ命令したであろう美女とは距離が離れ、デーモンの方に集中していたから他に気に留めいなかった。気絶している人たちは離れたつもりで戦っていたからこともあって気に留める必要がなくなっていたが。
「…滅竜魔法で抵抗したほうが良さそうだな、レッド。オマエはどうすんだ?手はねえのか?」
「…一応はある。短時間しか継続できないが」
「…なら短い間終わらせるしかねえな」
そうしてラクサスは自身が身につけていたTシャツを脱ぎ捨て、魔力である雷を先ほどより走らせる
「――――オォオオオ!!」
そして、彼の歯は少し尖り始め、腕から鱗みたいな模様ができ、筋肉が少し逞しくなる。
これこそ、ラクサスの滅竜魔法を使う時の状態であり、今コントロールできた姿。
まだ極めたらこの状態がなくなるが、今はこれが最高の力を出せる姿である。
そして、片方のレッドは――――
「…ハァアアアアッ!!」
拳を握り、さっきまで白かったオーラを高め、周りには小石が浮き――オーラは黄金へと変わる。
眼は白目に向いたように消え、そして黄金のオーラの周りに浮いていた石ころが重力に従い落ちていく。
S級試験で身につけた未完成の状態だが、前よりは継続する時間が長くなった。さっきよりも数十倍くらいには力が上がっている。
両者共、強化した姿を確認した後に頷き合い、デーモンへと視線を向ける――――
が、いつのまにか目の前に移動していたデーモンに反応を遅れたことで、二人共は地面へと殴り倒される。
「――――がはっ!?」
「――――くァ…ッ!?」
二人から苦しげの声が出るも、デーモンは暇を与えず二人の足を掴んで上へ勢いよく持ち上げ、二人をぶつける。
そして勢いを持って二人の足を持ったまま体を素早く回転を続け――――上空へと投げる。
二人は先ほど一緒に回ったことで目がまわり、目眩を起こすことですぐに動くことができない。
その隙に、デーモンは彼らに掌を向け、その手から黒く、小さい光を生み出し――――二人をまとめて巨大なエネルギー砲を放った。
――――やられる…このままじゃァ…ッ!!
先に回復したのはラクサスだった。そして今の状況を知り、このままでは二人まとめてやられてしまう。
――――ダメだ、それじゃこのバケモンに負けて、終わってしまう。
負けた後にどうなるか知らないが、恐らく自分では耐え難いことをされるに違いない。あの女から見られた目は、同じ存在を見る目ではなく虫を見る目―――これでは生きてギルドに帰れるか怪しい。
なら、どうすればいいのか。どうすればギルドに帰れるのか――――大丈夫だ。
隣にまだ目眩で目が回っている親友をちらっと見る。
――――コイツは、この状態でもオレより強くなっている。やっと同じ舞台に立てたと思ってたが…。
本来の彼の性格ならそれは許せないだろう。原作としての初期の彼は「最強」として拘っている通り、気に食わない存在として見られることがあり得たかもしれない。
――だが、今のラクサスにはそれはない。むしろ自分より強いと確信している親友に安心して任せれる――――という絶対の信頼があった。
救われたんだ、コイツには。
思い出すのはギルドに入って手柄を得てからの頃――――
マグノリアやギルドの皆からは「マカロフの孫」として色眼鏡として見られ、自身のことや実力を全て「マスターの孫だから同然」という街とギルドの奴ら。
気に食わなかった。オレはオレなのに。何故皆はオレではなく、ジジイの孫だからで納得するんだ?
オレだって自分で頑張って鍛えたっというのに。頑張って依頼を熟したのに。何故…
――――流石ラクサスだな!クエストを無事に終わらせるなんて!
そんなオレに、希望の光が映し出された。
――――オレはボロボロで帰ってきたけどなあ~、ラクサスはあまりボロボロじゃないし、やっぱりすげえよ!
ジジイの孫としてじゃなくて、親友として、個人としてオレを見てくれている奴がいる――――
――――けどオレも強くなってるかんな!次手合わせしねえか!?いやぁ、ラクサスも強くなってるし、あ!オレも負けてねえからな!!
オレと競い合う――友。
昔、ジジイが連れてきた孤児のサイヤ人。街の皆から嫌な目で見られていたってのに、変わらないその元気、変わらない力…笑顔に救われた。
オレを見て、一緒に鍛えてくれる大切な友――――
そして、オレの目標でもあるコイツは、ここで絶対に負けねえ、と自身を持って言える。
「レッド、後は頼んだぜ」
「…ハァッ!?ラクサス何言って…」
目眩が収まったレッドは、自分たちに迫る光線を見てギョッとしている内に腕をつかみ、雷を纏わせて光線の目標から外すように地上へ飛ばす。
「なッ…!? おいラクサス――――ッ!!」
そして、未だ状況を整理しきれてないレッドを飛ばしたラクサスへ目を向け直したら――――爆発した。
地面へと無事着地したレッドは爆発した上を見て信じられないと、消えていたはずの瞳が現れてただ親友の姿を探す。
――――そして爆発の霧から落ちる1人の人間――――ボロボロとなって少し焦げている親友の姿を見つけた時、心臓が止まったような錯覚を覚える。
落ちていく親友を見て数刻呆然するも、淡々地上へ近づくのを見た時に本来今の自分じゃ有りえないほどのスピードで駆け抜け、ラクサスを両手で受け止める。
「おい、おいラクサス!大丈夫か!!?おい!!」
「――――――――」
返事は、ない。非常にも彼の胸は上下とは動いておらず、体温から温もりがなくなっていく――――
「…う、そだよな。ラクサス…なぁ…?」
声が震え、ただ目を閉じて安心して眠っているような顔をしているラクサスに問いかけるも、返事は帰ってこない――――
「――――もう1人はリタイヤですか…呆気ないものですね」
自分たち以外から聞こえる声に、恐る恐る首を動かし、振り返る。
そこにいるのは、先ほどこちらにデーモンと対決するよう命じた女。
「限界を超えたこの子にこのザマじゃ、実験も失敗。サイヤ人でもダメでしたわね。
本当に、残念です」
本当に残念そうに呟く女に、レッドは歯を食いしばる。
「――――ざっけんなよ…」
「…これは」
大地が震え始める。周りの小石でさえ、何やら浮き始める。
「てめえの勝手な実験で…ラクサスがやられたってのかよ…!!
…いや、違うのか。オレが…オレが弱えから…クソッ…!オレは…それでも…!!」
女とデーモンの方へと憎しみの目を向けた後にさっきの状況を思い出し、ラクサスをこのような状態に追い込ませたのは自分だと自覚する。
そして、さっきよりも大地の震えが上がり始めていく――――
「これで…オレが負けちまえば…勝つためにオレを逃したラクサスに顔向けできねぇ…!!!畜生ォ…ッ!!」
ただ暴言を吐く。自分に、自分の弱さに。そして、軽い気持ちでラクサスときた自分に
確かに、ラクサスが居なければ自分は確実に敗北していた。
もしかしたら、ギルドに帰れなくなってこれからずっと実験とかに付き合う羽目になっていたかもしれない。
だが、それでも友を傷つけさせたのは自分に他にならない。自分が、自分のせいで――――!!
「もう…オレは…傷つけさせねえ…!絶対ェに…オレが、オレがァ…ッ!!」
そして、レッドの体は黄金の光が走る――――それは、彼が目指した完成の姿。
それは、もう覚えていないであろう、自分が憧れた黄金の戦士の姿。
この世界でどこかに存在していた、伝説である超戦士の究極。
今、戦闘民族となった転生者――――レッドがその姿へと変貌する――――――――
「守る…んだァァアアアッ!!」
――――再び、大地の悲鳴が生まれる。
解き放たれたその力に感づいたのは、最強と呼ばれている魔道士と実力者達――――
「この激しい高まりは…レッドか!?」
妖精のギルドにて、1人の老人が立ち上がる。
「…目覚めたのじゃな、レッド」
別の森に佇むイシュガルの四天王。
「…これは」
そして、川で体を洗っていた1人の黒髪の黒魔道士――――
「…これは、この力は一体…」
上空に佇む島にいる1人の主が困惑そうに
「…目覚めていたのか」
右目に眼帯をつけた老人が反応して
「…もう1人、ここに至ったか。」
別の国から、遠い距離なのに僅かでもそれを感じた最強の1人が、笑みを深める
「こ…の力…まさか」
「グ、ォオオ…!」
その場にいる美女は何かに気づき、そして黒く、限界を超えたであろうデーモンは目の前の敵から放たれる威圧感に恐怖を蘇らせる
そして、今この空間に緊張と威圧を放つこの魔道士――――否、戦士は変わり果てた金色の髪、そして黒かった瞳は碧眼へと変わり、彼が纏う黄金のオーラ。
この姿こそ、戦闘民族達がいつか辿り着く姿。始まりであり、新たな次元への鍵となる変身――――
「オレは…もう負けねェ…!!」
立ち上がるその黄金の光が周りを照らし、そして死んでいた植物が少しずつ成長していく。
怒りから目覚めたであろうその姿は、鬼神の如きであろうとも、自己だけではなく、優しさために目覚めた姿でもある。
「…レッド…」
そして、もう手遅れと思っていたであろう大切な友の声を聞いて、黄金の戦士――――レッドは肩を震えさせる。
今腕の中で寝ていた親友の、開かれた目を見て安心感を覚えるような顔になる。
けれども、すぐに顔をきつくさせ、親友を少し離れた場所へと、慎重に、けれども速い速度で移動し、ラクサスを寝かせる。
「すぐに終わらせてくるからよ、ここで待っていてくれ」
いつもの穏やかさが無い、がそれでも彼は彼だ、とどこか確信している自分に笑みが溢れるラクサス。
そして、やはり希望の光はお前だな、と心の中で唱えて、彼に後を頼んだ。
「ああ…一丁人泡を吹かせてやれやァ…」
「人泡だけじゃなくてよォ…、後悔させてやるさ。 ――今ならできる」
親友とのやり取りを終わらせ、レッドは女とデーモンの前へと向かい、いつもと違っての鋭い声で一言を言い放つ
「さァ…これが最後だ…この野郎…!」
――――女の目から見て、信じられないといった光景だ。
元々彼女は、造られたであろうデーモンの限界を引き出せる相手を探し、可能であれば力をつかせることを実験として対決させた――――だが、これでは意味はないと悟る。
何故なら、目の前の少年は、黄金の戦士はこのデーモンを遥かに超えている――――。
どう抗っても勝てはしない…が、それでも結果ができた。
ある程度デーモンの限界を知り、これからは有効利用として使えることを知れたのは良いリミットだ。
ここに居る必要は無い。ならばここから立ち去っておくのがいいだろう。
目の前の少年は自分が力を開放したら負けはしないと思うが…だが、それでも勝てるとは思えなくなる。
なら今ここで始末したほうが確実だろうが――――何故だ。何故、体が動かない。
ここで、自決しろと命令すればいいのに――――
ああ――――なんて、なんて
「なんて――――綺麗な光――――。」
それからはもはや語るべきものはない。ただ単純な結末だった。
黄金の戦士へと成ったレッドが、怒涛の反撃をデーモンに向け、そして最後の最期まで、攻撃を続けた。
デーモンからのカウンターすらも気にもせずに殴り倒し、そして再度不能へと追い込んだ。
そして、デーモンを生かす訳にはいかない、という判断して青く、巨大なエネルギーで消し灰にした。
次は女の方を問い詰めようとしたらもうどこにも居なく、存在を確認するべきものはない。
本来なら追いかけるべきだろうが、どこに行ったか分からない状況で探しても仕方ない。
そこで離れて寝かしたラクサスと、気絶している魔道士数人を依頼人の会社まで連れて行こうとしたら騒ぎを聞きつけたのか、評議員が迎えに来て負傷者である魔道士とラクサスの治療に当たる。
もう黄金の戦士を解いたレッドから事情聴取した評議員は着物を着て牛のような角を生やしている女の探索を行ったが、見つかることはなく――――
ただ、デーモンを討伐したことでそのクエストは成功となった。
無事に、まぁ生きて帰った二人に対してマカロフは暖かく迎えた――――一応状況を聞いたので怒るに怒れなかったから仕方なく説教なしとして迎え入れたが。
だが、これで暫くは一安心と思うとしよう。
何故ならば、また元通りに二人は帰ってきて、ギルドのメンバーも喜んでいる。ならば、自分も心の底から笑って言葉をかけよう
「二人共、よく帰ってきた」
「「――――ただいま」」
後書き
デーモン=FGOにいるデーモンをモデルとしている。限界姿は黒くなったデーモン氏。ある意味不幸な子
美女=実験でデーモンの限界と力を測る役目を引いた(グジ決め)。
ラクサス=お前…最初からその役に…?(力を託す、譲る役)
唐辛子=おい、戦闘描写頑張れ(すんません)
5/13 修正 クエスト失敗=クエスト成功
一応デーモンを討伐できたので、成功って形になります。何やってんだ俺…。
それと、今のラクサスが使う滅竜魔法ですが…初期の時はあの状態になったのに、あれから滅竜を使っても変化しないのは前より強くなったからじゃないのか、って思ったので…今まだ17歳であろうラクサスにその初期のときみたいな変化のまま登場させました。
まぁ、オリジナルですし…?独自設定ってタグにつけているから問題ない問題ない(震声)
あ、後は彼女はヒロインじゃないです。その予定もない(唐突)
それとヒロインアンケートは明日の夜中に発表です。協力してくれた三名方…ありがとうございました!
感想でヒスイって言った方も、ありがとうございました!!(同士)
とりあえず、原作開始まではあと少し…やったぜ…。これからもよろしくおねがいします!
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