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白き竜の少年 リメイク前

作者:刃牙
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第一の試験

中忍選抜試験“第一の試験 ”ルール

1.最初から各受験者には満点の10点が与えられている。試験は減点方式で問題数は全部で10問。各一点とし、不正解の数だけ点数を引く

2.試験はチーム戦。三人一組の合計点が競われる(満点30点)

3.カンニング及びそれに準ずる行為を行ったと見なされた場合、持ち点から2点ずつ引かれる

4.試験終了時までにカンニングによって持ち点全てを失ったもの。正解数が0だった者は失格となり、またその失格者と同じチームに所属する者も道連れ不合格とする




第一の試験が始まり、数分が経った。既に何人かはカンニングをして、審査官の紙に書かれている。つまり、実質的にカンニングをしても必ず審査官にはバレてしまうという事だ

更に問題は最後の10問は論外として、下忍で解けるようなレベルではない超難問。しかし、ハルマはこの試験の意味を段々と理解し始めていた。試験が始まる前に試験官・森野イビキが言った言葉を噛み締めながらこの試験の意味を考えていた

『不様なカンニングをした者は自滅していくと心掛けろ。仮にも中忍を目指す者なら、立派な忍らしくする事だ』

「(解けない問題ばっかだな。不様なカンニングを行なった者は自滅していく・・・・か。何か裏のありそうな言葉だ・・・・・・確かリン先生が言ってたな)」

『忍なら裏の裏の読まないとね!』

リンが言った言葉の通りに考えるならばイビキの言葉を鵜呑みにせず、その真意を読み取らなければならない

“不様なカンニングを行なった者は自滅していく”

“立派な忍らしくする事だ”

まるでカンニングする事を前提とした物言い。いや、実際にそうなのだろう。現に自力で解く事が出来ず、カンニングをしているものがいるのだから

「(この試験は最初からカンニングをするように作られていたと考えれば話は簡単だ)」

「(つまりは試験官公認の情報収集戦)」

イビキは態とカンニングをするように仕向けていたという事になる。一言で言えば試験官公認の偽装・隠蔽術を駆使した情報収集戦だ。それが出来なければ失格となる。ならば術を使い、カンニングする方法がベスト。幸いにもハルマにはそれを出来る術がある

「(写輪眼!)」

一人の動きをコピーしていく。淀みなく動く手。スラスラと書かれていく答えを見て、ハルマは笑みを浮かべる

「(最初から当たりか・・・・・・)」




一方でカナも白眼を使い、答えを書き出していた。カナは答えを書き終えると、白眼で自身の席から離れたハルマを見る

「(ハルマは写輪眼を使っているみたいだし、大丈夫そうね)」

白眼を使い、写輪眼を使っている事を知る。どうやら、試験の意味を理解していると分かり、安堵するがハルマの二つ斜め前にいるレツを見ると、険しい表情を浮かべた

「(問題は・・・・・・レツね)」







ハルマもレツの様子には気付いていた様子で、彼がいる場所を見ていた。答えは既に書き終わっている。時間は既に開始から20分が経過していた

「(解かせればいいんだろ?)」

後ろから殺気を感じ、溜め息を吐く。片肘をつき、ハルマはレツの方角を見る

「(あいつがこっちを見れば写輪眼で答えを刷り込ませればいいだけだからな)」

しかし、ハルマはレツがこちらを見る事は無いと思っていた。ハルマはレツの様子を見て、そこまで考えは回らないと考えている

「(絶対自分でやる事しか考えてないからな。こっち見ないだろ)」

後10分以内に気付ければ、全てを書き写す時間は十分ある

「(あいつが試験の意味に気付くかどうかで俺達の合否も関わってくるな)」

こちらから干渉出来ない以上、レツに任せるしかない。そう考えたハルマは写輪眼を解き、第10問が出題されるのを待つ事にした







レツは頭を抱えながら必死に考えていた

「(あ〜考えろ!考えられるうちはまだ大丈夫だ‼︎だけどぜってえ解けないなら、カンニングをするしかないしよ。でも、カンニングしたら2点引かれるしなぁ)」

「(ん?ぜってえ解けねえ。じゃあ、どうすりゃいいんだ?)」

しかし、もう少しで気付くところまで分からず、頭を抱える事しか出来ないでいた。そんなレツの様子を隣で見ていたアズサは溜め息を吐き、小さな声でレツに話しかける

「誰かのをバレないようにカンニングするなんて考えてないわけ?」

「その手があったぜ・・・・サンキューな。アズサ」

何か悪巧みしているような笑みを浮かべたレツがアズサに礼を言うと彼女は顔を赤くする

「れ、礼なんか言ってこなくていいわよ。あんたが躓いて、千手の恥さらしが落ちたら困るから。ただそれだけだから」

「おう」

レツは掌に炎を集め、小さな炎の虫を作り出す

「(よし。頼むぜ!小虫君!)」







試験も時間も後10分となったところで、イビキが第10問の出題を告げる

「よし!これから第10問目を出題する!」

「・・・・とその前に一つ最終問題についてのルールを追加させてもらう」


皆が驚く中、イビキは彼らに選択を要求した

「まずお前らにはこの試験を受けるか受けないかのどちらかを選んでもらう」

受けるを選ばなかった場合、その者は失格当然同じチームの者も道連れ不合格となる。そう言われた彼らは当然だが受けるを選択しようとしていた。しかし次に放ったイビキの言葉に心を揺さぶられる。そして、イビキが追加した二つ目の条件で彼らの多くの心は受けないという選択に傾いていく

「受けるを選び、正解できなかった場合・・・・その者の中忍試験参加資格を永久に剥奪する!」

「受けない者は手を上げろ!」

次々と受験者が手を上げて消えていく。彼らの決意はイビキの言葉でいとも簡単に崩れ去っていったのだ

「(手は上げない。俺達は次も参加出来るのかも分からないんだ)」

まだ残っている者の中にも揺れている者はいた。しかし、ナルトの言葉が彼らの決意を固めさせる

「なめんじゃねー‼︎俺は逃げねえぞ!もし一生下忍になったって・・・・意地でも火影になってやっから別にいいってばよ‼︎」

皆の視線がナルトに集中する

「これは人生を賭けた選択だ。もう一度言う。止めるなら今だぞ」

「まっすぐ自分の言葉は曲げねえ。俺の忍道だ!」

その言葉は教室内にいた受験生達の迷いを振り切った。彼らの顔には固い決意の表情が見える

「(夢を夢のまま終わらせる気は無い・・・・・・か)」

ハルマはナルトの成長を感じ取り、口端を吊り上げる

「(俺も・・・・・・諦めるつもりはないけどな。でも、その為には)」

そして、イビキは彼らに合格を告げる

「では・・・・ここにいる者達に“第一の試験”合格を言い渡す!」 
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