提督していない提督による騒がしい日常
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戦線復帰
前書き
はい、今回は鎮守府古参組の話です
いつか嫁 ’sの着任?らへんを書くつもりです
私のいつかなんて信用できない?
ははっ、exactly...
まあ首を長くして麒麟になりきるくらい待っててくださいな
白石さんから電話がかかってきた翌日の昼下がり
昨日やらなかった分、1人でブツブツと文句を垂れ流しながら執務をやっていた
ある1本の電話が鳴った
「電話?誰だよ...忙しい時に」
俺は渋々腰を上げ、電話を取る
「もしもし、こちら横須賀鎮守府です。」
『本部所属総合病院です、退院の日になりました』
退院...?あ!!完全に忘れてた!!
「わかりました、いまから向かえばいいですか?」
『はい、お待ちしております』
俺は急いで電話を切り、放送をかける
「曙と霞、至急外へいく準備をして執務室へ」
それからすこしして、二人が揃う
「いきなり外へいくってなにするの?」
曙が不思議そうに問う
「それは秘密だし説明してる時間も惜しいから出るぞ」
俺は憲兵に車の要請をし、二人を連れて鎮守府を飛び出す
「幸宏!!車出せるか!?」
「車ぁ!?わかった!!」
突如声をかけられた幸宏はすぐに事情を察した様ですぐに支度を済ます
幸宏は話してた他の憲兵にちょっと行ってくるわ、と言って投げ渡された車の鍵を受け取る
「どこに向かえばいい?」
「附属」
それだけ言うとわかった、と幸宏は言って車の運転を始める
「ちょっ、ほんとにどこにいくつもりなのよ!?」
霞が堪らず声を出す
「秘密だって言ったろ?まあ別に言ったっていいんだけどよ」
「どこよ」
次に曙が短く問う
「幸宏」
「なんで俺が...病院だよ」
「病院?どこの」
「廃病院だ、肝試しだってよ」
助手席に座る俺は横で運転している幸宏をみる
あ、これ完全にからかってる時の顔だ...
「な、なんで廃病院なのよ!!」
「べべ別にお化けなんて怖くなんてないのよ!!けけけど聞いておく必要があるじゃない?」
「ぶっはwwww」
幸宏が盛大に吹き出す
「二人ともビビりすぎだ」
この段階で既に足が震えている二人
さすがに俺も笑いが込み上げてきた
このまま幸宏のペースで雑談は進み、そうこうしている内に目的地へと着いた
「ほら、着いたよ。」
「ありがとな幸宏、帰りも頼むぜ」
言われなくても、と幸宏は返し、どこかに車を走らせて行った
どこ行くんだあいつ...
「何が廃病院よ、全く...」
霞がブツブツと文句を垂れ流しながら入口に向かう
「病院ではあるけどな」
俺らが着いた病院は本部所属なので憲兵も司令も艦娘もここに入院したりする
艦娘とは言えど人間なので艦娘の艤装が肩代わりしてくれるとはいえ、人間に負担がないわけではないので、ごく稀に艤装が受けきれなくなり、艦娘が負傷、ここに搬送されることもあったり...
「さて、お迎えと行きますかね」
自分の前を歩く二人の小さい背中を見ながら入口へと向かった
白を基調とした病院らしいフロントに足を踏み入れる
目の前に見える受付に向かう
「横須賀鎮守府所属、久保です。迎えにあがりました」
「久保さんですね、あの子が待ってますよ」
笑顔でそう言われるが、俺は苦笑いで返す
「病室は8階の825号室になっております。他の患者はいませんので、お気になさらず」
「そっか、ありがとう。」
俺は二人を呼び、エレベーターへと乗り込む
8階を押してドアが閉まる
ふと曙がなにかを思い出したかのように話しだした
「そういえばなんで病院なんかに?別に悪い所が...サボり癖でも直しに来たの?」
「病院で直ったら苦労しないわよ」
霞が一刀両断。
「まあ、今回は診療に来たわけではないから安心しろ、まあ受けてもいいけどな」
「遠慮しとくわ」
「必要ないわよ」
「注射怖いのか」
「「怖いわけないでしょ!!」」
二人声を揃えて否定された
二人をからかっていると8階へと着いた
「825...真逆かよ」
ちょうど反対側、コの字型になっているので地味に遠い
俺は呑気に歩きながら白い道を進む
8階だから結構な高さがあり、横須賀が一望できるくらいの高さがある
窓から外を見ながらゆっくりと向かう
「今日はなんで病院に?」
次は霞が理由を聞く
「今日は、退院。お迎えに来てんだよ」
「そっか、私達に関係のある?」
「お前らが一番関係のある、だな」
右に見える端の部屋、825号室
札には何もかかれておらず、誰がいるのかがわからない
カラカラっと音を鳴らして看護師が出てきた
「あら、お迎えか。お疲れ様です」
「お疲れ様です。ほら二人とも先に入った入った」
「ちょっと、提督は?」
「後で来るから、先入っといて」
二人の背中を押して中に入らせる
「よかったのですか?」
「いいんだよ、俺は邪魔者だからな」
「あらら、では私と話します?」
妙に色気のある看護師と壁にもたれながら小さな声で喋り始めた
「あの二人はどんな子なんですか?」
「いい子だよ、すごく。うちにいるのがもったいないくらい、だけどあの二人には、もう二人の影響があってこそのいまの彼女らなんだよ」
「もう二人ですか?」
「そう、一人は助けることはできなかった。けどもう一人は、そこにいるからね
俺は目で825号室を見る
「二人にとって、とても大切な存在だったんですね」
「俺なんて比べ物にならないくらい...ね」
積もる話もあるだろうから、あえて二人を先に行かせた
「まだ俺の出る幕じゃないからここで大人しく待ってるってわけだ」
「そこまで考えてくれる上司もとても大切な存在だと思いますよ」
看護師はニコッと微笑んでそう言った
壁から背を離すと名も知らぬ看護師は仕事に戻りますね、とだけ言ってまた歩いて行った
「大切な存在...ね」
俺はその言葉を深く心に刻んでおくことにした
それからすこしすると目元の腫れた霞がドアを開け、顔を覗かせた
「もう大丈夫。いいわよ」
「ん、わかった」
重い瞼を擦り、壁から背を離す
すこし落ちかけていた意識を引き戻し、俺は部屋へと足を踏み入れた
「っ、すいません。まだ忘れられなくて」
彼女は俺を見て顔を背ける
「この服か?」
はい、と彼女は消え入りそうで申し訳なさそうに答えた
「すまないがこれは脱げない、今は。だけどな」
さて、と俺は仕切り直して彼女を見据える
「遅れてすまない、"吹雪”お前を迎えに来た」
「こちらこそ、お待たせしました」
「支度が出来たら鎮守府に帰ろう。また吹雪の住むところだ」
「いまの鎮守府がどれだけ変化しているのか。私、すごい気になってます」
無邪気な笑顔で俺を見上げる
「きっと驚くよ。みんなで頑張ったから」
俺は吹雪の頭をわしわしと雑に撫で
「霞、曙。フロントにいるから」
二人にそう告げて俺は三人のいる病室を後にした
フロントに着くなり俺は携帯を取り出し。
幸宏に電話をかけつつ1度外に出る
2コールほどで応答が来た
「幸宏、終わったから待機だ。こっちに来てくれ」
『あいよ、なんか買ってくか?今日は奢ってやる』
「お、そうだな...飛騨牛2頭くらい」
『金額を考えろ』
「適当に酒と飲みもん、あとは買い出し組に頼むよ」
『任せとけ』
そう言って電話が切れる
小さく溜息をついてまたフロントに戻る
すこしフロントでスマホをいじっていると幸宏が到着した
「待ったか?」
「まだ待たされてるくらいだ」
「ならいい」
幸宏は俺の横に腰を下ろす
「なあ」
「なんだ?」
俺は手元に視線を残したまま返事をする
「俺達が、いや...お前の両親が襲撃を受けなかったら、俺らは医学の道をまだ進んでたのかな」
どこか悲しげな様子の幸宏は天井を見上げながら言う
「どうだろうな、少なくとも俺は続けていたかもしれない」
「同じ大学に行って、まだ冗談を言い合ってたかもしれないしな」
果たされなかった未来を夢見てそんな話がすこし続いた
「でもよ、彰人。いまの生活にも満足しているんだろ?」
「当たり前だ、後悔なんてしたくねぇ」
「あんな可愛い嫁さん2人も連れて後悔してたらぶっ殺すとこだったよ」
「はっ、怖い怖い」
軽い冗談も混ぜ合わせ談笑しているとようやく
「終わったわよ」
3人が支度を終えて戻ってきた
「うし、じゃあ帰っか」
「吹雪、礼を言っとけよ」
はい!!と言って吹雪は受付に向き直す
お見送りに出てきてくれた医師と看護師に
「横須賀鎮守府所属、特型駆逐艦吹雪型一番艦吹雪、皆さんにはとてもお世話になりました!!この御恩は一生一片たりとも忘れません!!また誠心誠意頑張ってきます、ありがとうございました!!」
それを聞いてた医師と看護師達はそれぞれ
「行ってらっしゃい」
「もう来るんじゃねぇぞ」
「元気でね、吹雪ちゃん」
と思い思いに声をかける
最後に敬礼をして吹雪はお世話になった病院を後にした
「いままで吹雪をありがとうございました」
「いいってことよ、彰人。全部終わったらうちに就職しろよ。まだ覚えてるんだろ?学校で学んだことは」
「忘れるわけがないじゃないですか。俺の使命が終わったらいつか、ここの門を叩きに来ますよ」
「はっ、いつかわからねぇが待ってるぜ」
では。と俺は敬礼をしてからフロントから外へと足を踏み出した
とある昼下がりの執務室...
「おいおい吹雪、腕が落ちてるんじゃねぇか?」
「しょうがないじゃないですか、かれこれ2年以上撃ってないんですから」
「霞と曙を見てみろ。外してねぇぞ」
「あの2人は元々強かったですし...」
俺は吹雪の演習結果を見て少々ビックリしている
八割命中。いまの吹雪の結果がこれだ
2年撃ってないのにこれかよ...
親父の頃の資料は残っていないが、あの2人(曙、霞)の言葉を聞く限り元々は九割命中でも悪い方だったらしく
なかなかの戦闘狂だったとのこと
「またあの高揚感を味わえるのが楽しみですね...」
「うーん、戦闘狂...どっかにいたような」
あぁ、そういえば...
「なあ吹雪」
「何でしょう?提督」
「お前、飛龍と演習でもしてこいよ」
「はあ、飛龍さんとですか?」
おう、と俺は頷く
「まあ暇があったら頼んでみることにしますね」
では、と吹雪は執務室を後にした
「さあて、飛龍さんよ。あいつはどこに行きやがったのかな」
俺は万年寝不足の重い瞼を伏せると、執務机の椅子に背を預けながら、意識を深い深い海の底に落とした
これから先に1つ、また1つと乗り越えるべきものが増えていく
そんなことは露知らず気ままに過ごした1日であった
後書き
なーんか文が気に食わないんですよねぇ...
まあそれは置いといてとりあえず2話更新っと。
こちらの鎮守府にも吹雪ちゃんはいます
親父時代からの艦娘です
艦娘は歳を取らないんだぞっ!!
ちなみに老化はしないというだけでいずれ亡くなりますけど
そして私は自分の表現力と文才を磨く旅に出ます
唸れ俺の筆よ!!あ、インク切れた...
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