FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~
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悲しき姉妹の最後の結末
前書き
最近ぷちぐるラブライブが配信されたのでやっているのですが、Twitter連携機能があり、Twitterをやってないため非常に難しい状態ですね。
Twitterをやるべきか否か・・・迷う( ̄~ ̄;)
シリルside
「すぐに私を倒す?面白い冗談ね」
口元を押さえて笑いを堪えているディマリア。俺はそれに対し何も反応を示すことはしない。
「聞いてないのかしら?私の魔法を」
「知ってるよ。時を止める魔法でしょ」
「えぇ、そう」
奥歯を噛むと目の前にいたディマリアはいなくなっていた。彼女の姿を探そうとしたが、すぐに後ろからその声が聞こえてくる。
「絶対に負けることのない最強の魔法よ」
「!!」
すぐ真後ろを取られていたこともありすぐに距離を取る。すると、彼女の手にあるものが握られていたことに気が付いた。
「俺の服!!」
ヒラヒラと見せているのは俺が着ていた赤色のTシャツ。この日はバトルに向けてそれしか着ていなかったため、今の俺は上半身裸なわけで・・・
「私ね、恥ずかしがる女の子が大好きなの」
「ずいぶんな悪趣味ですね・・・」
思わず呆れてしまった俺に対しディマリアはイヤらしい笑みでこちらを観察している。だが、しばらくすると彼女は不思議そうな表情へと変化していた。
「あら?隠さないの?前」
予想とは異なる反応を見せる俺に対し訝しげな表情を見せる時の魔導士。なので俺は冷静に現実を教えてあげることにする。
「俺、男だからそんな必要ないですよ」
「え!?」
しばしの硬直。彼女はしばらく俺の顔を見ていたかと思ったら、顔を俯けながら歩み寄ってきてTシャツを手渡してきた。
「あ・・・どうも」
緊張感の欠片も感じられなかったやり取りに苦笑いしながらそれを受け取り着直す。その間ディマリアは悲しそうな表情でこちらを見ていた。
「そうか・・・二人仲良くひんむいてあげようと思ってたのに・・・」
「そんなに残念がるところじゃないと思いますけど?」
なんか久々にこんな扱いを受けた気がする。一応お互いの国の中でも指折りの戦力同士がぶつかっているはずなのに、そんな雰囲気が一切ないんだが・・・
「でも・・・まぁいいわ」
その瞬間、彼女の表情が一変した。それを見て攻撃に転じてくることは容易に想像できたが、こちらが動くよりも先に体に激痛が走る。
「どうせ全員殺すんだし」
さっきまでの楽しんでいた笑いとは一転し強者としての顔つきに変わるディマリア。勝利を確信している彼女は次はどうやって攻めてこようかと考えているようだ。
「確かにすごい魔法ですね。普通にやったら勝てないです。でも・・・」
血が出ている腹部を擦って傷が深くないことを確認する。彼女の 魔法は今まで見てきた中で間違いなくトップクラスの魔法だ。だけど・・・
「弱点、見~つけたッ!!」
「「「「!!」」」」
親指と人差し指で丸を作り彼女を見据える。信じられないような発言をされたことで金髪の女性の同様は浮き彫りになっていた。
第三者side
インベルとぶつかり合っていたグレイ。彼は現在危機的状況に見舞われていた。
「なんだ・・・これ・・・頭がクラクラする」
「体が・・・思うように動かない」
インベルの魔法『アイスロック』氷の鎖により繋がれたグレイとジュビアは、お互いの思考力が低下しているのを感じていた。
「さぁどうぞ。殺し合うのです」
ENDを殺すための戦士としてグレイを闇へと誘おうとするインベル。彼はお互いの意志に反して戦い合う二人を笑みを浮かべながら観察していた。
(やはり計算通り勝つのはグレイ。自らの手で仲間を殺した罪は君を闇に染め上げる。ENDを倒す究極の戦士へと)
全てはインベルの思惑通りに進んでいた。ジュビアを容赦なく叩きのめすグレイ。力の差は歴然。どちらが勝つのかは火を見るよりも明らかだ。
(なんでジュビアはグレイ様をキズつけて・・・)
その時、ジュビアの心の中ではある葛藤が行われていた。
(ありえない!!ありえない!!ジュビアがグレイ様をキズつけるなんて・・・グレイ様の手で早くジュビアを・・・)
最愛の人を傷つける自らの行動に対する嫌悪。これから解放されるには早く自身が負けることが得策かと思われた。
(それもダメ!!)
だが、まだ冷静な彼女はその考えが愚かだったことに気付かされる。
(グレイ様はきっと自分を責める。だったらどうすればいいか決まってるでしょ。そう・・・自ら命を絶つ)
覚悟を決めたジュビア。彼女は手から水の剣を生み出した。
「無駄な抵抗を・・・アイスロックは“心”を閉じ込める魔法。あなたたちの思考は失われ、どちらかが死ぬまで鎖は外れない」
「この想いを閉じ込めておくにはジュビアの体は狭すぎるんです!!」
「!!」
失われたはずの思考を保ち続けたジュビア。彼女は今できる最大限の笑顔を青年へと向ける。
「出会えてよかったです、グレイ様」
別れを覚悟し自らの体を貫くために腕を降ろそうとしたジュビア。だが、その腕は一人の青年の手によって止められる。
「それも外れた、ジュビア」
聞き覚えのある声。目の前の青年もその人物の登場に驚きを隠せないでいると、二人の自由を封じる鎖が真っぷたつに斬られた。
「マルギティ=ソード!!」
破壊されたことにより粉々に砕け散る氷の鎖。二人の間に割って入った女性はジュビアの手を掴んでいる青年と目を合わせる。
「バカな!!アイスロックが破られた!?」
一方インベルは動揺を隠し切れずにいる。如何なる方法でも破られることはないと思っていた魔法を外部からの力とはいえ、打ち砕かれたことに目を疑った。
「グレイ!!ジュビアを傷つけるとは万死に値する!!」
「大丈夫!?ジュビア!!」
彼女の手を離しグレイに迫る青年と心配そうにジュビアに駆け寄る女性。その二人の姿を見て彼らは思わず安堵の息を漏らした。
「すまねぇな、リオン」
「助かったわ、メルディ」
兄弟子であるリオンと親友であるメルディに礼を言う二人。ピンチを切り抜けた二人の反撃が始まる。
妖精の尻尾からは大きく離れたその場所で再会した二人の少女。彼女たちは目の前にいる人物を見て涙が止まらなくなっていた。
「ソフィ?本当にソフィなの?」
「うん・・・」
涙を拭って笑顔を見せるソフィア。それを見たリュシーは喜びのあまり彼女に抱き着いた。
「ソフィア!!」
「お姉ちゃん!!」
感動の再会・・・熱い抱擁を交わすバルザック姉妹・・・それを見ていたカグラとラキは訳がわからず目を合わせた。
「ソフィア、誰だそいつは」
「アルバレスの人じゃないの?」
敵だと思っていた相手と抱き合っている仲間を見てどうするべきなのか判断が付かない二人は当人に問いかけてみた。すると、それに答えたのはリュシーの方だった。
「初めまして。私はリュシー・バルザック。この子の姉です」
「え・・・リュシーって・・・」
ラキは彼女が聖十大魔道唯一の女性魔導士であるリュシーなどだと知ると大きく衝撃を受けていた。魔力の大きさはもちろんのことだが、見た目が自分よりも年下にしか見えない・・・噂を耳にした時の年齢から考えて若すぎるのは誰でも驚くべき点であろう。
「ソフィアの姉は死んだと聞いていた。これはどういうことなんだ?」
一方のカグラは彼女の言葉を信じていない様子。なぜならソフィアは姉の死体を見たと言っていたのに、ここに存命しているのは辻褄が合わない。
「私もソフィアが死んだものだと思ってました・・・でも、あれは違う人のものだったんですね」
ソフィアが母と父の死を見て街から飛び出した直後、リュシーも家へと帰ってきていた。彼女は運良くその日は街から出ていたこともあり、ゼレフの封印を解く鍵を探してきた悪魔の心臓の襲撃を逃れることができたのだ。
その際偶然彼女が見つけたのはソフィアと同じ変わり果てた母と父・・・そして粉々になった人の体。
それはその日二人の母とお茶をしに来たママ友のものだったのだが、あまりにも原型を留めておらず彼女たちは誰のものかわからず、自らの自宅にあったことから姉妹のものだと勘違いしてしまったのだ。
それが二人を長きに渡って引き剥がした真実。
「なるほど・・・だから私を姉と間違ったのか」
同じ長い黒髪の女性を見て納得したような表情を見せるカグラ。すると、ラキがあることを問いかける。
「じゃあなんでアルバレスに?」
リュシーの実力はイシュガルでもトップクラス。さらに敵は悪魔の心臓。それに反感を抱いていた彼女と同じBIG3のカミューニと手を組めば、十分に仇を討つこともでき、もっと早くにソフィアと再会できたかもしれない。
「あの時の私は冷静じゃなかった。まずカミューニを焚き付けてハデスの実力を見ようとした。でも、彼の力が想像以上に高くて・・・」
天界が持っていた滅竜魔法の魔水晶。それの存在をカミューニに知らせて彼にそれを与え、ハデスとどの程度渡り合えるのか確認することにしたソフィア。
強者との戦いを好む天海ならカミューニの実力をすぐに見破り、いつか戦えるかもしれないと魔水晶を貸すのを彼女はわかっていた。
カミューニがその力を手にいれれば自分と同等の強さになると考えていた彼女は実験台として彼を送り込んだ。しかし、結果は惨敗・・・仇を討つには無理があると悟った彼女はアルバレスへと渡った。
「私がアルバレスに渡った時には、すでに両国は敵対していたわ。だから、このイシュガル全てを・・・」
妖精の尻尾の荒くれ者ばかりを気にして闇ギルドのバラム同盟の対処を何も行わなかった評議院。呑気に隠居して手を貸そうともしないイシュガルの四天王。家族を失った自分とは真逆に楽しく日々を過ごしている魔導士ギルド。その全てを壊してやろうとした彼女はアルバレスに渡り、皇帝の盾になった。
「でも・・・生きててくれたのね・・・」
夢にまで見た最愛の妹との再会に歓喜すると同時に、彼女はひどい嫌悪感に襲われる。
ウォーロッドやハイベリオンに言われた言葉・・・それが真実だったこと・・・さらには罪のない彼らの命を奪い去ってしまった自分を彼女は責めた・・・
「私にできることは・・・この戦争を止めることなのかもしれないわね・・・」
自らの過ちを正すことはできない。それでも、死んでいった者たちを救うには、それしかないと彼女は考えた。
「どうするんだ?リュシー」
「私は妖精の尻尾に行くわ。そして陛下に和解を求める」
それを聞いてカグラたちは笑顔を見せた。彼女たちは早速ギルド向かおうとしたその時・・・
「やっぱりこうなる運命なんだね、リュシー」
頭上から一人の男の声が響き渡る。
「ティオス!!」
声ですぐにリュシーは誰だかわかった。四人が声の方を見上げると、そこには岩山にあぐらを掻いて頬杖を付いている青年の姿。
「レオン!?」
「え!?髪が・・・」
「生き返った!?」
その顔を見てカグラたちの驚愕する。髪の色こそ違えど顔はレオンに瓜二つ。それと同時に、その高い魔力は恐怖を増幅させた。
「ソフィア、カグラ、ラキか・・・2分で行けるな」
立ち上がりお尻の砂を叩く。来ると確信した三人は戦う構えに入るが、その前に割って入る一人の女性。
「待ってティオス!!話を聞いて!!」
三人を守るように立ち塞がるリュシー。ティオスはそうなることをわかっていたかのように淡々と言葉を述べる。
「そうだな、お前は妹の無念を晴らすことが目的だった。でも、ソフィアが生きてたとなれば話は変わってくるだろう」
「よくわかってるわね」
話が通じそうな雰囲気だったこともありリュシーは気を抜いていた。彼女は強張った表情から柔らかなそれへと変化する。
「お願い、ソフィアたちは見逃して。一緒にこの戦争を終わらせよう!!」
アルバレス最強の魔導士ティオス。彼が力を貸してくれればこの無駄な争いを止めることも・・・それどころか両国がもっとも脅威と感じているアクノロギアを倒すことも容易にできると彼女はわかっていた。だからこそ彼に懇願したのだ。
「・・・わかった、ソフィアには手を出さないよ」
「ティオス・・・」
彼の回答に安堵の息を漏らしたリュシー。その瞬間の彼女はあまりにも無防備過ぎた。
「代わりに君が死んでくれるなら」
「え?」
その瞬間彼女の体から鮮血が飛び散った。ティオスの手から放たれたレーザーが、彼女の体を貫いたのだ。
「お姉ちゃん!!」
倒れるリュシー。彼女に駆け寄るソフィア。傷口を抑えているリュシーは、泣きじゃくるソフィアの顔を見上げる。
「ソフィ・・・綺麗になったわね」
「お姉ちゃんの方がずっと綺麗だよ・・・」
妹の方に触れてその感触を確かめる。夢じゃないことに彼女は嬉しそうに微笑んだ。
「似合ってるわよ、その髪・・・」
記憶の中のソフィアは自分と同じ黒髪だった。今ではもう違くなってしまったが、それでも彼女の魅力は十分に伝わってくる。
「もっと早く・・・あなたと再会したかったわ」
そう言って力なく手を降ろすリュシー。ソフィアは彼女の名前を懸命に叫ぶが、彼女はピクリとも動かない。
「仲間じゃなかったのか?」
「・・・?」
低い声で問いかけるカグラ。ティオスはそちらを見ると不思議そうに首を傾げた。
「仲間を殺すなど、言語両断だ!!」
抜刀しティオスに斬りかかるカグラ。彼はそれを難なく片手で受け止め凍らせる。
「カグラ、君は裏切り者もそのままにしておくのかい?」
「リュシーは全員を救うために動こうとした。それは決して裏切りなんかではない!!」
剣を引き距離を取る。ティオスはそんな彼女を見て呆れたようにため息を付く。
「ラキ、ソフィアとリュシーを頼む」
「あんたは?」
剣を構え敵を見据える。その目には一切の迷いもない。
「こいつを仕留める!!」
仲間を泣かせた敵を討つ。人魚による悪魔狩りが開始されようとしていた。
後書き
いかがだったでしょうか。
原作とは色々と異なるためインベルvsグレイのとこにリオンたちも合流です。そして嫌な予感がしていたと思いますが、ここでリュシーも脱落。BIG3全滅ですねΣ(ノд<)
次はどんな展開になっていくか、お楽しみに。
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