蒼穹のカンヘル
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二十四枚目
じゃ☆跳ばすから取り敢えず見てきなよ☆
そんな事を言われて魔方陣で跳ばされたのが二時間前。
「アァ…疲レタ…」
渡された地図を元に気になったポイントを回ってきたが…
やはり一万キロ強の飛行は堪える…
『態々龍化する事も無かろうに』
いいじゃねぇか…大陸一つ往復したんだぞ?
『ま、お前がいいなら我は何も言わん』
今は、大陸中央の湖に浸かって休んでいる。
俺が渡された領地はほぼ円形の大陸で、中央にかなり大きい湖(っていうかもう海じゃね?)がある。
湖は中央に行くほど緩やかに深くなっているようだ。
俺(龍化)の全高が五メートルなので、水深二メートルあたりでのんびりしている。
『カガリ、帰らなくていいのか?もう冥界に来て半日ほど経つぞ』
あー…そうだな…そろそろ帰るか…
バサリと翼を羽ばたかせ、飛翔する。
上空で龍化を解き、ポケットから印章紙を取り出す。
セラフォルー個人の紋章が描かれた物だ。
『律儀だな』
そういう物じゃないのか?
『まぁ、好きにするがよい』
羽ばたきをやめ、足下に展開された魔方陣に向かい落下する。
ストン、と着地したのはセラフォルーの執務室だった。
「あれ?どうしたの少年☆」
「今から帰るから、報告」
「態々そんな事しなくても良かったのに」
「そか、じゃぁ帰らせて貰うぞ」
「ばいばーい☆」
「ただいま………」
「おかえりなさい篝、悪魔領はどうだった?」
出迎えてくれたのはヴァーリだった。
巫女服を着て掃き掃除をしている姿は、可愛いというよりも美しい。
なお姉さんは現在グレモリー領に居る。
あの非公式会談の翌日から、姉さんは家に帰って来ていない。
「どうだったって言うか…何て言うか…
土地の管理を押し付けられた」
「土地?」
「オーストラリア大陸の五割増くらいの土地をポンと渡された…
どうしろって言うんだよ…」
「オーストラリア大陸って…なんでそんな事になってるの?」
「魔王の仕事が忙しすぎて領地管理にまで手が回らねぇんだと」
「管理できるの?」
「知らん…まぁそこら辺のノウハウは明日にでも魔王少女に聞くさ…」
あ、良いこと考え付いた。
「なぁ、明日一緒に来るか?」
「え?」
「だから明日一緒に行こうぜ」
「篝の領地に?」
「おう。マジで広いからなぁ…」
「ん、わかった」
「ああ、その前に一回セラフォルーの所行くから」
そして翌日。
ヴァーリと手を繋ぎ、ロストを使ってセラフォルーの下へ。
出た場所はセラフォルーの執務室。
セラフォルーを見た瞬間ヴァーリは俺のワンピース(尻尾とか翼とか出しやすいから)の裾を握って後ろに隠れた…超可愛いんだけど…
セラフォルーは机に座って書類を書いていた。
内容は…あぁ…悪魔堕天使間の密約の件か…
ただ名前が"姫島条約"ってのはどうなんだろうか…?
「おや?どうしたんだい少年?」
「ヴァーリにも見せてやりたくてな。
あと出来れば領地管理のノウハウをだな…」
「ふーん…ま、いいよ。
じゃぁ……はい、これあげるよ☆」
セラフォルーが差し出したのは印章紙だった。
「どこ行き?」
「君の領地だよ☆」
「?」
領地の印章紙は既に受け取ったが…?
「まぁまぁ、行って見なよ☆」
なら…行くか…
「ヴァーリ、跳ぶよ」
「うん」
印章紙に魔力を流し…
「ふぉぉ!?何ぞこれ!?」
印章紙で跳んだ先には、豪邸があった。
ん?ドアになんか貼ってあるな…
[少年へ。
この邸宅は君の別荘兼領地の管理所だからね☆
領地管理の仕方は本に纏めて中に置いてあるよ☆
ps ヤリ部屋じゃないので自重しましょう]
「ヤルかあのアホンダラァァァァァ!」
しかも追伸を真面目トーンで書くな!せめて星付けろよ!?
紙をベリッと剥がして燃やす。
「どうしたのカガリ?」
コテンと首を傾げたヴァーリに何でもないと返し、玄関のドアを開けた…
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