レーヴァティン
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第五十一話 川旅その十四
「鶏とか牛の内臓は食ってもな」
「豚とかも食べるね」
「けれど魚の内臓は食わないな、こっちの島は」
「欧州の食文化そのままだな」
芳直もこう言う。
「そりゃ突き刺して焼く場合はそのまま食うけれどな」
「けれど基本食わないよな」
「ああ、俺っちも食ったことはない」
丸ごと突き刺して焼いたりする場合以外はというのだ。
「実際な」
「そうだよな、内臓っていったらな」
ここでこの食材を出した久志だった。
「フォアグラだな」
「僕フォアグラ大好きだよ」
「おいらもだよ」
源三と淳二はフォアグラと聞いて目を輝かせて話に入った、二人も今は魚料理を満喫しているがフォアグラに目がないのは明らかだった。
「こっちの世界ではお金ふんだんにあるし」
「好きな時に食べてるよ」
「あれそんなに美味いんだな」
久志は二人のその目を見て二人にこう返した。
「フォアグラは」
「美味しいなんてものじゃないよ」
「いや、三大珍味と言われるだけあるよ」
「毎日食べたい位だよ」
「それもお腹一杯ね」
「そんなに美味いのかよ、俺はな」
久志もこの世界ではフォアグラを食べたことがある、それで自分の舌で感じた味から二人にさらに話した。
「あんまりな」
「好きじゃないんだ」
「フォアグラは」
「どうもな、あっちよりもな」
むしろと言うのだった。
「あん肝の方がいいな」
「お魚系なんだね、久志は」
「そっちが好きなんだ」
「いや、鶏の肝は好きだぜ」
同じ鳥類のそちらはというのだ。
「それもかなりな、牛や豚のだってな」
「けれどなんだ」
「フォアグラはそれ程なんだ」
「何か変に脂っこいだろ」
そのせいでというのだ、フォアグラが。
「だから好きじゃないんだよ」
「どうしてかな、また」
「変に脂っこいのが駄目って」
「というかフォアグラってあれだろ」
フォアグラ自体のことをだ、久志は二人にさらに話した。
「ガチョウを首から下まで埋めてだろ」
「そうそう、特別な餌をあげて」
「太らせたのの肝臓だよ」
「こっちの世界にもあってね」
「おいら達実際に好きだよ」
「そうだろ、無理に太らせたせいか変に脂っこくてな」
食べてみて実感したことだ、久志自身が。
「あまり好きになれないんだよ」
「あの脂っこさがいいと思うけれどね」
「そうだよね」
源三と淳二は二人で話をした、二人もカルパッチョを食べているが今はフォアグラの話をするのだった。
「ワインにも合うし」
「赤のね」
「そこは好みの問題か?」
久志は首を傾げさせつつ二人に返した。
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