獣篇Ⅲ
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13 老人言葉は聞き取るのが難しい。
***
しばらくすると、「らすべがす」と看板を掲げたバカデカい建物の近くに案内された。
_「兄貴ィ、ここでやんす。その女、5~10年前くらいにここに来た、天人でございやす。その名を孔雀姫、とか。実は春雨と繋がってる、とかいう黒い噂が絶えないので有名なんですぅ。」
頭の中の地図に場所を焼き付け、その建物の特徴を目に焼き付ける。
_「そうかィ。感謝すらァ。ありがとうなァ。」
_「はい。わしはもう何でも兄貴に従いやす。何でもお申し付けください。」
と、絡める腕の力を強めた。だが残念、私自身が女なのでその技は効かないのです。www
_「そうかィ。そりゃァ嬉しい話だなァ。…じゃあ早速だが、この男を使ってその孔雀姫とやらを調べてきちゃァくれねェかァ?…かぶき町最強の男、坂田銀時…。」
_「分かりやした。行って参ります。」
そうだ、と言って、例のトランシーバーを渡す。
_「ついでにこれも持っていっておけや。いつまた会えるとも限らねェ。必要な時はここから連絡しろ、分かったな?」
了解しましたぁ。と爽やかな笑顔を浮かべて去っていった。視界から消えるまで見送ってから万事屋のところまでワープし、素早くいつもの服装に着替えた。衣装や小道具を片付け、髪もいつものようにポニーテールにする。
身支度がすむと、例のコンタクトをはめ、さっきの場所に戻る。すぐ近くにちょうどよい林があったので、そこでトランシーバーを繋げ、連絡を取った。
_「というわけで、今から目的地に侵入します。彼らは天人なので、とりあえず特徴をつかむために、私とあともう2人ほどで潜入捜査をする予定ですので、誰か来て下さいませんか?」
すると応答があった。また子と平の隊員が来るようだ。
_「では、私は今からここを去らねばなりませんので、ここの場所のデータをお送りします。私が戻るか、指示を出すまで決して動きませぬよう。」
と言って、私は去った。
中にワープすると、扉の奥から声がした。刀を差し、パンツから毒針を取り出すと、吹き矢に構えた。
恐る恐る近寄ると、話し声が聞こえた。女性の声だ。
_「春雨が我を探しておる、というような情報を聞いたのじゃが、それはまことか?」
_「左様にございます。どうやら春雨は孔雀姫様…いえ華蛇様を呼び戻すつもりのようです。」
_「そうかぇ。わしにまた、師団でも持たせるつもりなのじゃろうかのぅ?じゃがわれは…」
後ろに感じた気配は、本物だった。
私を捕まえようとしていたやつに吹き矢を指し、鞘で経穴を刺す。
あまりの痛みに悶絶して声がでないようだ。お目当ての髪の毛を頂戴したあと、忘れよの呪文を忘れずに唱えた。
彼はすでにもう、私と逢ったことすらも覚えていないだろう。そうこなくっちゃ、私が困る。
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