信じてはいけない
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第二章
同級生達は予言はないと言い切った、伊予は彼女達の言葉を聞いて幾分か不安が取り除かれたがそれでもだ。
完全には取り除されておらず家でも仕事から帰ってきた父にその予言の話をした。すると父は笑ってこう言った。
「それはないさ」
「人類は滅亡しないの」
「するものか」
笑って娘に言うのだった、言いつつビールを飲んでいる。
「何があってもな」
「絶対になの」
「そんな予言昔からあったんだ」
「昔からなの」
「ノストラダムスとかな」
「その人は私も知ってるわ」
ノストラダムスと聞いてだ、伊代も答えた。
「諸世紀って本書いた人よね」
「ああ、それでお父さんが子供の時とか大有名人だったんだ」
「そうだったの」
「誰でも知ってる位なな」
そうだというのだ。
「凄い有名人だったんだ」
「じゃあその人の予言も」
「誰でも知っていたんだ、人類が滅亡するってな」
「そう言ってたの」
「一九九九年七月にな」
父はこの年と月を暗唱する様に言った。
「人類が滅亡するってな」
「そう言ってたの」
「ああ、しかしもう一九九九年七月は過ぎたな」
「私が生まれるずっと前じゃない」
それこそとだ、伊代は父に言った。
「人類が滅亡しなかったから私もお姉ちゃんもいるんじゃない」
「そうだよな」
「じゃあノストラダムスの予言は」
「外れたんだよ、他にも大勢予言者がいたんだよ」
父は娘にさらに話した。
「エドガー=ケイシーとかジーン=ディクソンとかな」
「そうした人達もいたの」
「もうやたら人類が滅亡するって言ってたんだ」
「そうだったの、けれど」
「今もあるよな、つまりそうした予言はな」
「外れるものなの」
「そうした大袈裟なことを言えば皆注目するだろ」
人類滅亡、大袈裟と言うにはこれ以上はないまでのものだ。
「そうだろ」
「ええ、確かにね」
「それで注目されて本を買ってもらう為にな」
「書いてるの」
「そうした本が大抵だからな、予言の本は」
「じゃあ信じたら駄目なの」
「十年位前の予言見ればわかるさ」
それ位前のというのだ。
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