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転生とらぶる

作者:青竹
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ペルソナ3
  2021話

 お母さん。
 ゆかりは、間違いなくそう言った。
 振り向いたゆかりの視線の先にいるのは、そう言われればどことなくゆかりに似ているところも多い。
 ただ、それはあくまでも顔のパーツがという意味であって、ゆかりの母親は、どちらかと言えば気弱そうな性格をしているように思える。
 それもあり、顔のパーツは似ているものの、ゆかりとは正反対の印象を受けるのだろう。
 ただ、気弱そうな感じがしても……間違いなく美人だと、そう言っても間違いはない容姿をしている。
 もっとも、成金の類ならともかく、代々の金持ちが美形になるというのは、そう不思議な話ではない。
 これは別にそう思い込んでいるとかそういう事ではなく、純粋に事実だ。
 金持ちというのは、当然のように自分の好みの相手……美形を嫁なり婿なりする事が多い。
 そして産まれた子供また同様に、美人や美男と呼ぶべき相手を選び……と、そうやって代々血が繋がっていけば、当然のように子孫には美形も多くなる。
 勿論、それは絶対という訳ではないし、普段の生活がだらしなければ、美形であっても太っていたり、極端に痩せていたり……といった風になる。
 ともあれ、岳羽家というのは桐条家の分家らしいし、そう考えれば美形であってもおかしくはない訳だ。
 勿論、中には恋愛結婚やら何やらで、外側よりも中身を重視する……といった者もいるので、色々と例外があってもおかしくはないのだが。
 ゆかりの母親が、何歳の時にゆかりを産んだのかは分からない。
 だが、それでも30代、場合によっては40代になっていてもおかしくはないが、現在俺達の前にいるゆかりの母親は、下手をすれば20代半ばくらいに見えても不思議ではない。
 つまり、多少の差はあれど俺と同年代に近い年齢に見られる訳だ。
 ……外見が20代の女の娘と付き合っている男。
 それだけを聞けば、俺がロリコン以外の何者でもないような存在に思ってしまうな。
 完全に濡れ衣なんだが、それを言っても話だけを聞いた人物には間違いなく聞く耳を持って貰えないだろう。
 ともあれ……だ。半ば現実逃避はこの辺ににして、呆然としているゆかりを軽く肘で突く。

「っ!?」

 その衝撃で我に返ったのだろう。
 ゆかりは、母親に向かって何かを言おうとするものの……結局言葉には出来ない。
 そもそも、何故ここにゆかりの母親がいるのか……普通なら娘が学園祭で活躍しているところを見たいと言われれば納得するところだが、ゆかりとその母親の間には深い亀裂がある。
 そんな母親が、娘の学園祭の様子をただ見に来たと言っても、それで信じられる筈がないだろう。

「……何しに来たの」

 結局ゆかりの口から出たのは、そんな一言。
 言葉だけを聞けば、母親を責めているようにも思える。
 いや、実際にその要素が全くない訳じゃない。
 だが……それでもゆかりの言葉の中に、どこか嬉しさがあるように思えるのは、きっと俺の気のせいだけじゃない、と思いたい。
 ゆかりの母親もそれを感じたのか、それとも単純に言葉に詰まったのか、こちらも何かを口にしようとしても、何か言う様子がない。
 しょうがない、か。

「ゆかり、取りあえずこのままだと色々と周囲に迷惑になる。教室の方に行かないか?」

 2-Fはクラスの模擬店として鉄板焼きの屋台をやっているが、当然のように屋台は外で行われている。
 そうなるとクラスでは特に何かに使う事もないので、一応休憩所という扱いで解放されているのだ。
 他にも幾つかの教室が同じように休憩室として解放されているのだが、ゆかりが母親と話をするのであれば、やはり教室で話をした方がいいだろう。
 ……周囲の目も若干気になるし。
 まぁ、分からないではない。
 ゆかりと俺が一緒にいて、そのゆかりの母親――外見では姉と見間違えてもおかしくない――がいるのだ。
 そんな2人が、見るからに緊張感を持って対峙しているとなれば、当然のように目立つ。
 学園祭の最中であっても……いや、だからこそか? ともあれ、周囲の視線が俺達には向けられていた。
 興味深い視線、嫉妬の視線、嘲笑の視線……様々な視線が向けられているが、何故か俺にもその視線は向けられていた。
 特に、嫉妬の視線が多い。
 いやまぁ、ゆかりは間違いなく美人だし、その母親もタイプこそ違えど美人なのは間違いない。
 一見すれば、そんな姉妹のようにすら見える2人が、1人の男――当然俺――を取り合っているように、見えない事もない。
 そう考えれば、嫉妬の視線を向けられてもおかしくはない。
 そんな俺の思いに気が付いたのか、それとも周囲の視線に気が付いたのか……ともあれ、ゆかりは俺の言葉に頷く。

「分かった。そっちの方がいいわね。……母さん、こっちに来て」

 以前までの、それこそ俺と出会った当初のゆかりであれば、母親が現れれば即座に拒絶し、話し合おうという事はなかっただろう。
 色々と複雑な感情を抱いているようではあるが、それでもこうして会話をするつもりになったということは、ゆかりが以前に比べると母親に対しての嫌悪感が減ったという事なのか。
 実際、ゆかりは普通の高校生では経験出来ないようなことを何度となく経験してきているし……何より、他に恋人が10人以上いるというのを分かっていながら、俺と付き合うという事を承知してきた。
 男女の関係として最後までは進んではいないが、いわゆる、ABCのBまでは進んでいるし。
 そう考えれば、男に溺れて、頼って……という生き方をしているらしい自分の母親に、何か言おうとしても、言うに言えないというのが正しいのか?
 もっとも、今こうして見ている限りでは、ゆかりの母親は男と一緒という訳ではなく、自分1人だけで月光館学園にやって来ている。
 もしゆかりが言っていたような性格であれば、ここに来るにも男と一緒に来るんじゃないのか?
 実際にどんな人物と付き合っているのかというのは、俺にも分からないが。

「ちょっと、アクセル。あんたも来るのよ」

 母親と一緒に先に進んでいたゆかりが、俺がついてきていないのを見て、不満そうに言う。

「は? 俺も行くのか?」

 こっちは親子2人きりにした方が話は上手く進むんじゃないかと、そう思っていたから、この場に残ろうとしたんだが……

「当然でしょ」

 何が当然なのかは分からないが、ともあれ、ゆかりに言わせればそういう事らしい。
 いやまぁ、一緒に来いって言うのなら、そうしないでもないが。
 そうしてゆかりの側にいくと、ゆかりの母親は俺に視線を向けてくる。
 ゆかりとの間は緊張したものがあるにも関わらず、俺を見る視線の中にはどこか好奇心があった。
 今までのやり取りから、俺とゆかりがどういう関係なのかというのは、当然理解しているのだろう。
 ……そう言えば、俺が付き合っている相手の両親ときちんと挨拶をするのは珍しいな。
 あやか、千鶴、円、美砂のネギま世界出身の4人の両親とは会った事があるが、それ以外だとこれが初めてじゃないか?
 俺が色々と特殊なのは、認めざるをえないのだが。
 ともあれ、そんな感じで俺達は2-Fの教室に向かう。
 教室まで行く途中で何人かの顔見知り……同級生でも今は仕事がなくて学園祭を見て回っている連中と遭遇する事もあったが、その連中も俺の方を見ると驚きを露わにしていた。
 俺とゆかりだけがいるのであれば、そこまで驚くような事もなかっただろう。
 だが、今回の場合は俺以外にもゆかりの母親がいる。
 それが、俺に驚愕の視線を向けていた理由なのは間違いなかった。
 そうして、やがて俺達3人は2-Fの教室に到着する。
 幸いにも、休憩室として使える教室は他に幾つもある為か、2-Fの教室の中には誰の姿もなかった。
 机や椅子も他の教室に移動しており、パイプ椅子が幾つか並んでいるだけだ。
 ……休憩の為の椅子なら、別に俺達がいつも使っている机の類でもいいと思うんだが……やっぱり椅子は机とセットになっている椅子じゃなくて、パイプ椅子の方がそれらしいのだろう。
 ともあれ、教室の中に入ると俺達……俺、ゆかり、ゆかりの母親の3人は、それぞれ椅子に座って向き合う。
 妙な沈黙が教室の中に満ちる中、最初に口を開いたのはゆかりの母親だった。

「初めまして、私はゆかりの母親の梨沙子といいます。貴方は?」

 笑みを浮かべてそう告げてくるゆかりの母親……梨沙子に、俺は一瞬どう対応しようか迷うも、恋人の母親は無碍に出来ないだろうと判断し、口を開く。

「俺はアクセル・アルマーです」
「あら、やっぱり外国の方なの?」
「ええ、まぁ」

 正確には外国……外の国じゃなくて、外の世界、異世界の出身なんだが、まさかそれをここで言う訳にもいかないだろう。
 もしそれを口にしてしまえば、精々が冗談として受け取られる事になるだろうし、最悪の場合は俺を危険人物という風に見られる可能性が高いのだから。

「それで、アルマー君だったかしら。貴方と娘は、付き合ってるのかしら?」
「ちょっと、アクセルは今、関係ないでしょ!」

 梨沙子の言葉を遮るように、ゆかりがそう告げる。
 いやまぁ、その言葉が正論なのは間違いないが……なら、この場に俺を連れてくるってのは正直どうなんだ?
 ゆかりにしても、突然母親が姿を現した事で、色々と混乱しているのだろうが。

「あ……その、ごめんなさい。ちょっと気になったから」

 梨沙子の方も、ゆかりに対しては色々と後ろめたい事があるのか、そう言って口を噤む。
 ここで強気に出れば、ゆかりの方も色々と反応のしようがあるんだろうが……気の弱さからか、それとも後ろめたさからか、どうしてもここで1歩退いてしまうんだよな。
 ゆかりはそんな母親の様子を見ると、気を取り直すようにして口を開く。

「それで、何で急に来たの?」
「急にって言っても……娘が参加している学園祭だもの。興味を抱いてもおかしくはないでしょう? それに、まさかゆかりが料理の店をやるなんて……」

 驚くところはそこなのか?
 いや、でもそう言えば、俺も何だかんだとゆかりの料理は食った事がなかったな。
 もしかして、実はゆかりって料理が出来ないとかじゃないよな?

「別に私は料理が出来ない訳じゃないわよ。寮でも自炊とかはしてるし」
「そうなの? でも、前は……」

 言葉を言い淀む梨沙子。
 この様子を見る限り、ゆかりは以前料理がそこまで上手い訳でもなかったのだろう。
 もっとも、ゆかりが母親と離れたくて月光館学園に来たのは中学生の頃だった筈だ。
 そう考えれば、料理がそこまで得意じゃなくてもおかしくはない……のか?
 まぁ、俺みたいに今くらいから料理をするといった事をするのも難しい訳ではないのだから、そう考えればこれから次第ってところか?

「前は前。私がお母さんと離れて暮らすようになってから、どれくらい経ってると思ってるのよ」
「まぁ……ねぇ、アルマー君。ゆかりの料理は食べた事がある?」
「いや、ないですけど……」

 梨沙子は娘の様子に構わず、俺にそう尋ねてくる。
 実際、俺がゆかりの手料理を食べた事はなかった……筈だ。
 花見に行った時とかも、結局出来合いの料理を買っていった筈だし。
 ああ、でも屋久島でバーベキューをやった時に、ゆかりが焼いた肉とかを食べた事はあったな。……あれを、手料理に入れてもいいのかどうかは、正直なところ微妙だと思うのだが。
 そんな風に考えていると、梨沙子はあらあらうふふと笑みを浮かべる。

「で、本当に何しに来たのよ」

 改めて母親に問い掛けるゆかり。
 娘が学園祭で活躍しているというのを見に来たと先程言っていたが、それを本気で信じる事は出来ないのだろう。
 これまでの母親との軋轢を考えれば、その意見は当然だった。
 実際、梨沙子も改めてゆかりに尋ねられると、少し困ったように笑みを浮かべる。
 元々気の弱そうな性格をしているだけに、娘に強気で問われれば、すぐに答える事が出来ないのだろう。

「その、武治さんから、ゆかりが色々と頑張ってるって話は聞いてたのよ」

 梨沙子の口から出たのは、ゆかりにとっても……そして、俺にとっても完全に予想外の名前だった。
 いや、元々桐条グループの分家の出身である以上、武治と梨沙子の面識があっても不思議ではない。
 寧ろ、同じ年代の子供を持っているという意味でも、親しくなる理由は十分にあった。
 ……梨沙子の方は、自分の夫にしてゆかりの父親に桐条グループがした事を考えれば、色々と複雑な感情なのは間違いないのだが。

「……桐条先輩のお父さんに?」
「ええ。……もっとも、ゆかりにちょっと用事があったのは間違いないけど」
「……何?」
「その、私……再婚しようと思ってるの」

 梨沙子は、ゆかりをしっかりと見ながら、そう告げるのだった。 
 

 
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1435
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1389 
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