龍天使の羽撃き
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02
「どうした!その肩の太陽炉は飾りか!
こちらが本気を出さないと本気で相手できないか!」
オーガの声には、怒りが滲んでいた。
「そんなことだれもっ…」
怒気を孕んだ声に気圧されるリク。
それに対するオーガの返答は、『自身の本気を見せること』だった。
「なら見せてやる……トランザム!」
太陽炉の回転数が上がり、粒子放出量が急増。
そしてオーガ刃-Xのヘッドユニットがスライドし『モノアイ』のような風貌へ変化した。
そうして、オーガ刃-Xはダブルオーダイバーへと突進。
「くぅっ…!」
残像が残る程のスピードで放たれた一撃を、辛うじてガードしたリク。
「さっきの動きを見せてみろ!」
だが、オーガの激しい連撃に防戦一方に陥る。
態勢を立て直そうと空へ逃げる。
しかしいかにツインドライヴと言えど、素の状態でトランザムに勝てるはずもなく、捕捉された。
空中でのコンボからの蹴りを受け、00ダイバーが地面に叩きつけられる。
地に伏せる00ダイバーに、空中からジンクスが得物を突き立てようと迫る。
少年が息を飲んだ。
『トランザムはつかわないで』
少女の言葉。
だが、トランザムを使えば、活路が見いだせる。
一瞬だけ迷い、少年は叫んだ。
「くっ…! トランザム!」
今度は、少女が息を飲む。
トランザムを発動させた00ダイバーは、残像を残しながらオーガ刃-Xの凶刃を紙一重でよけた。
「それだっ!その動き!」
オーガは、敵がようやく本気を出した事に笑みを浮かべる。
リクはその類い稀なる瞬発力で00ダイバーの姿勢を建て直し、オーガ刃-Xへ反撃するべく突進する。
「うおぉぉぉぉぉ…!やぁっ!」
そこからは剣撃の応酬。
00ダイバーの一撃をオーガ刃-Xが受け、オーガ刃-Xの連撃を00ダイバーが受ける。
やがて、00ダイバーが押し負け、後方へ大きく飛ぶ。
だがリクはその反動を活かし、突きを放つ。
オーガ刃-Xとダブルオーダイバーの突きが激突…
くだけたのは…
ダブルオーダイバーの得物だった。
だが、リクは諦めない。
即座にGNビームサーベルを抜いた。
空高く飛び上がり、位置エネルギーを加算した一撃。
「何っ!?」
「ふぅぅぅおぉぁぁぁぁぁぁ!」
しかし、そこで00ダイバーの太陽炉が限界を迎えた。
再び、少年がいきを飲む。
00ダイバーは急激に失速し、オーガ刃-Xに一太刀浴びせることなく墜ちた。
二、三十メートルほど地面を滑り、停止。
しかしその時には高濃度圧縮粒子が機体から離れていた。
ジンクスが得物を振り上げる。
00ダイバーにトドメを刺すべく振り上げられたカットラス。
だが、そのとき、少女が00ダイバーの前に出た。
自分の十数倍は大きい鋼の巨人の前に…
必殺の一撃を放とうとしている深紅の機体の前に…
その凶刃が少女へ届く寸前。
少女と刃の間に光が生まれた。
その光は凶刃を弾き返し、サラとリクを守った。
光の正体は、RX-0のユニコーンモードシールドだった。
遅れて上空に先と同じ光が現れた。
「あ、あれは…ユニコーンガンダム…?」
ユキオの目に映ったのは、RX0のユニコーンモード。
だが、そのシルエットはユニコーンから大きく外れていた。
それに、本来ユニコーンモードでは持たないはずの深紅の光を纏っていた。
「オーガ。弱いもの苛めは楽しいか?」
コックピットから発せられたのは青年の声だった。
「私はシビルジャッジメンターゼロワン。
ゲームマスターの代理のような物だ。
マスダイバーを追っていたら偶然ノーマナー行為を見かけたので介入させてもらった」
「シビルジャッジメンター…
そうか…テメェがヴォジャノーイか!」
オーガが叫んだとたん、ユキオもその正体に気付いた。
「ヴォジャノーイだって…!?
ならあの機体は……カンヘル…!?」
「知ってるのユッキー?」
「うん!NTDとトランザムの並列稼働を唯一制御できる凄腕のダイバーだよ!」
「それってどうすごいの?」
「機体に過負荷がかかるシステムを並列起動しても壊れない機体を作るビルダーとしての腕はもちろん理論値で通常の十倍以上の機体速度を制御できるパイロットスキルは超一流だよ!」
ユキオがキラキラした目でカンヘルを見上げる。
「少年。俺の事を知ってくれているのは嬉しいが、早く逃げなさい」
「ほう?お前が相手してくれるってのかヴォジャノーイ?」
「いいや。彼らが逃げたら俺も逃げるさ」
「んだと?」
「この後彼女とデートなんだ。
すまないねぇ」
リク、ユキオ、サラがウィンドウを呼び出してエリアから脱出した。
「シビルジャッジメンター。ただで返すと思うなよ?」
「おっかないから逃げさせてもらうよ」
カンヘル・クレアードの各部が展開し、機体が膨張する。
NTDとTRANS-AMの並列使用。
カンヘルの背部のアームドアーマーDEが切り離された。
アームドアーマーDEの裏側には、劇場版00が装備していたGNコンデンサー…
二枚のアームドアーマーDEは地上のオーガ刃-Xへ狙いを定め、最大火力でメガビームランチャーを放った。
それをオーガ刃-Xはギリギリでよける。
「バカな!重力下でファンネルだと!?」
オーガがその事実に驚いている間に、ヴォジャノーイは高度を上げ、さらにはゲートの用意をしていた。
「心ヨリ出ル意思。すなわち『心意』。
この意味を理解したとき、君はもう一つ上のステージへ進めるだろう」
それだけ言い残し、カンヘルは量子ワープした。
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