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転生とらぶる

作者:青竹
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ペルソナ3
  2017話

 こっちに向かって突き出された槍を、ゲイ・ボルグで受け流す。
 弾くのでもなく、回避するのでもなく、受け流す。
 天田の放った突きは、ゲイ・ボルグと接触したかと思うと、次の瞬間には刃を流れ、柄を流れ、そうして力を失った時点で槍を絡めて奪い取る。

「え?」
「残念賞、と」
「わん!」

 長鳴神社の境内に、天田の間の抜けた声とコロマルのもっと頑張れといった声が響く。
 もっとも、それを聞いている者は俺達以外に誰もいないが。
 そして、誰か来るかもしれないというのを気にしながら槍の訓練をする必要もない。
 何故なら、今は影時間なのだから。

「あー……参りました」
「少し休憩するか。天田も以前に比べると結構動きが良くなってきてるぞ」
「本当ですか!? 最近、真田さんのトレーニングに混ぜて貰ってるんですよ!」
「へぇ。随分と頑張ってるな。……けど、真田か……」

 そんな俺の言葉に、天田は不思議そうにこちらを見てくる。

「どうしたんですか? 真田さんは強いって有名じゃないですか」
「そうだな。ただ……プロテインを薦めてくるのがな」
「あー……はい。そっちですか」

 プロテインという言葉だけで、俺が何を言いたいのか分かったのだろう。
 天田が、乾いた笑いを浮かべる。
 ……どうやらこの様子を見る限りだと、天田も真田にプロテインを薦められているらしい。
 いやまぁ、決してプロテインが悪いという訳じゃないのは分かっている。分かっているんだが……それでも、何にでもプロテインを掛けようとするのは、ちょっとな。
 勿論俺の場合は、真田の好物だというプロテインを掛けた牛丼だろうと、食べても腹を壊す事はない。
 だが、腹を壊す事がないというのと、それが美味いかと感じるのは全く別の話で……うん、まぁ、取りあえず俺はそういう牛丼を食いたいとは思わない訳だ。

「飲み物とか食べ物とか、何にでもプロテインを掛けるだろ?」
「あははは」

 俺の言葉に天田はそう笑うが、それは心の底から笑っているという訳ではなく、何かを誤魔化しているかのような笑いだった。

「そ、そう言えばですね。幾月さんのいる場所が分かったので、桐条グループの方で人をやったみたいですけど……」
「もぬけの殻だった、か」
「はい。どうもそうらしいです」

 順平やチドリから得た情報の中には、タカヤや幾月、ジンが拠点としている場所の情報もあった。
 そもそも、そこから順平は逃げてきたのだから、どの辺りにその拠点があるのかというのは、少し調べればすぐに分かる。
 そうして分かった場所に人をやるように武治が指示したというのは聞いていたんだが……どうやら、駄目だったらしい。
 チドリから話を聞いてみれば、元々ストレガの連中は廃墟となったようなビルや空き家なんかを拠点にしていたらしい。
 当然そうなれば生活とかにも色々と不自由するように思えるが、その辺はジンが何とかしていたとか。
 そんな訳で、順平とチドリが逃げ出したという事を知ったタカヤ……いや、この場合は幾月か? ともあれ、同じ場所に住むのは危険だと考えて、今まで住んでいた場所をあっさりと捨てたらしい。
 勿論、何らかの手掛かりとか、そういうのはあったかもしれないが……ともあれ、現在はまだタカヤ達の逃げた先がどこなのかは分かっていない。
 滅びの塔云々という事は、月光館学園があるこの近辺から離れるようなことはないと思うが、逆に言えば向こうを縛り付けているのはそれだけだ。
 ポロニアンモール、ポートアイランド、巌戸台……もしくは、これらの近く。
 そういう場所として探せば、そこには隠れ潜む事が可能な廃墟や空き家というのは幾らでもあるだろう。
 また、幾月が前々から何かを企んでいたとすれば、桐条グループに内緒で隠れ家を用意していてもおかしくはない。
 そうなってしまえば、更に見つけるのは困難になるだろう。
 ……まぁ、その辺は桐条グループの本職に任せるとして。

「そうか。見つけたら、美鶴からはすぐにこっちに連絡が来るだろうから……」
「その、アルマーさん。もしよかったら、その時には僕も連れていってくれませんか?」
「……は?」

 天田の口から出た言葉に、最初はもしかして冗談か何かかとすら思った。
 だが、俺の方を見てくる天田の視線は、明らかに真剣だ。

「連れていける訳がないだろ。分かってるのか? もし幾月達を見つけて俺達が行ったら、間違いなく戦いになる。それこそ、シャドウを相手にするのとは全く違うんだ」

 シャドウを相手にするのと、人を相手にするのとでは、当然のように大きく違う。
 シャドウは斬っても刺しても、血が出たりといった事はない。
 だが、人間を相手にした場合、相手に怪我をさせれば当然のように血が出たりする。
 ……最悪、死ぬ事だってあるだろう。
 そう考えれば、まだ小学生の天田をそんな場所に連れていける筈もない。
 いや、連れていけないという意味では、それこそS.E.E.Sやゆかりといった面子だって同様だろう。
 まだ高校生の連中が、実際に人と戦う事になったらどうなるか。
 シャドウとの戦闘は慣れていても、やはり人との戦いには慣れていないだろう。
 正確には俺との戦闘訓練もあるから全く慣れていないって訳ではないだろうが……それは、あくまでも訓練としての戦いであって、最悪殺し合いになると考えれば……

「でも!」
「シャドウと戦うのならともかく、人間を相手にするとなればお前は足手纏いでしかない。……そもそも、なんでお前は俺達と一緒に行きたいんだ?」
「1度の実戦は、数日の訓練に匹敵するって……」

 あー……なるほど。
 まぁ、その手の話はそれなりに聞く。
 そして、決して嘘って訳じゃないのも事実だ。
 だが……数日の訓練に匹敵する程度であれば、それこそ普通に訓練をした方がいいと思うけどな。

「実戦という意味なら、別にシャドウとの戦いでも十分だと思わないか? シャドウとの戦いだって、十分命懸けの戦いなんだから」
「わん、わんわん!」

 俺の言葉に、コロマルも同意するように鳴き声を上げる。
 コロマルにとっても、シャドウとの戦いというのは紛れもなく実戦なのは間違いないと、そう示しているのだろう。
 最初こそ山岸の護衛としてエントランスに残る事が多かった天田だが、最近では普通にタルタロスに挑戦している。
 ……もっとも、有里達のように最前線という訳ではなく、ある程度低い階だが。
 それも、荒垣というお守りがついての事らしいし。
 ともあれ、実戦経験という意味では十分そちらで間に合っている筈だ。

「……分かりました」

 やがて、不承不承といった感じではあったが、天田は俺の言葉に頷きを返す。
 俺の場合は、人を殺すのを躊躇うようなつもりはない。
 だが、そんな俺の戦闘に対する姿勢が決して正しい訳ではないというのを、俺は自分で知っている。
 そもそも、幾ら数多の戦場を潜り抜けてきたとはいえ、人が人を殺すのに躊躇いを覚えるというのは普通の事だ。
 それがない俺は、もう普通の人間ではないのだろう。……いや、混沌精霊なのだから人間じゃないのは明らかなのだが。

「さて、じゃあ、そろそろ休憩もいいだろ。訓練を再開するぞ」
「はい!」

 ちなみに、俺が天田にしている訓練は基本的には模擬戦あるのみだ。
 型の練習とか、体力トレーニングに関しては、普段の……俺との訓練外でやって貰っている。
 型の練習とかも重要なのだろうが、そもそも俺のからしてしっかりと槍の型の訓練をした事はない。
 ……俺の槍の基礎は、それこFate世界でクー・フーリンと戦った時に見たものだ。
 それを自己流に調整していったという形か。
 ちょっと気になってクー・フーリンの伝承を調べたのだが、クー・フーリンはスカサハという影の国の女王に槍やルーン魔術を教えて貰っている。
 つまり、間接的にではあるが俺もスカサハの槍術の系統……という事になるのだろう。
 まぁ、あくまでも俺の場合は実戦の中でクー・フーリンの槍術を覚えたようなものだ。とてもではないが、正式にスカサハの系譜に連なる者……とは言えないだろうが。

「行きます!」

 だからこそ、俺が天田に槍を教えるのは、俺が習得したように実戦の中でそれを覚えて貰う必要があった。

「来い」

 俺の言葉に、天田は槍を手にして一気に前に出る。
 そうして放たれる突きは、模擬戦を繰り返してきただけあって、十分な鋭さを持っていた。
 惜しむらくは、まだ天田が小学生で身体が小柄な為、鋭さはあっても重さはない事か。
 一応技術としてより重い一撃を放つというものはあるのだが、当然のように今の天田にそれを求める事は出来ない。
 この辺りは、成長していけば後々解決していくだろう。
 そんな天田の一撃を回避し、弾き、受け流しながら十分程……やがて天田の体力の限界が来て、その動きは止まる。

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」

 再び天田は地面に寝転がり、限界まで使った体力を少しでも回復させようとしていた。

「わふぅ?」

 そんな天田を、コロマルは心配そうに眺めていた。
 コロマルにしてみれば、子供の天田がここまで体力を消耗しているのが心配なのだろう。
 コロマルの頭を撫でながら、問題ないと告げる。
 事実、俺から天田に攻撃するような事はしていない以上、天田は体力切れの状態でしかない。
 暫くの間こうしていれば、やがて体力も回復して元に戻るだろう。

「……アルマーさん、ちょっと聞きたいんですが……」

 そうして数分が経過し、体力が回復してきたところで天田が口を開く。

「何をだ?」
「最高の復讐って……どういうものだと思います?」
「……また、随分と物騒な話題だな」
「いえ、ちょっと読んでいた漫画でそういうのがあったので、気になったんです」

 漫画、ね。
 恐らく……いや、ほぼ確実に、天田が言っている復讐というのは、漫画でなく自分自身の事だろう。
 荒垣のペルソナ、カストールが暴走した事によって母親が死んでしまったという事件。
 だが、天田の様子を見ている限り……そして他の面々から話を聞いている限り、天田は自分と母親を襲ったのはシャドウだと認識している可能性が高い。
 ……まぁ、シャドウの中にはカストールに似た形の奴もいるし、それもしょうがないのかもしれないが。

「そうだな、復讐……復讐か。俺も今まで色々と戦場を渡ってきたが、そんな中でも復讐を糧にしてる奴ってのは結構いたな」
「……そうなんですか?」
「ああ。考えてみれば当然なんだが、戦場では殺し殺されというのは当たり前だ。そうなれば、当然のように仲間、友人、家族、恋人……そういう相手が殺されるという事も珍しくはないからな」
「……そうなんだ」

 何故か感心したように呟く天田だったが、俺は話を元に戻す。

「そうそう、復讐だったな。一般的には相手を殺す……ってところだが、実際には殺される事で救われるという事も多いってのは言っておく」
「……え?」

 それは、完全に天田にとって予想外の言葉だったのだろう。
 唖然とした表情のまま、俺の方に視線を向けてくる。

「殺されるのが、救いなんですか?」
「ああ。例えば金を目当てにして誰かを殺したとか、そういう奴であれば生きていたいと、生にしがみついているだろうから、殺されるのが復讐となるのは間違いない」

 そう言うと、天田は納得したように頷く。
 分かりやすいだけに、天田にもすんなりと理解出来たのだろう。

「だが……例えば、何らかの理由で自分の意図していない事で人を殺してしまった場合。そうだな、例えば工事中の事故とかそういう感じだな。それで人を殺してしまった場合は、かなり後悔してるだろう」
「けどっ!」

 俺の言葉に我慢が出来なかったのか、天田が叫ぼうとする。
 俺はそんな天田に手を伸ばし、分かっているといったように頷く。

「そうだな。犯人が後悔しているからといって、それで被害者が許せるかどうかは別だ。ただ……本当にその手の人物に復讐する、恨みを晴らすのなら、それこそ殺したりせずに生かしたままにしておいた方が、向こうは深く後悔する事になるだろうな。ましてや、そういう性格の持ち主が相手なら、頻繁にその人物に会いに行って直接顔を見せれば、向こうはより深い罪悪感に襲われる筈だ」

 よく、復讐は復讐を呼ぶとかいう話を聞くけど、それが嫌なら復讐してくるような相手を根こそぎ殺してしまえばいい。
 そこまでするつもりがないのであれば、相手の罪悪感を刺激するというのは、決して悪い選択肢ではない……と、俺はそう想う。
 もっとも、この場合は荒垣を生かす為に天田にそう言っているというのもあるので、完全に善意からのアドバイスという訳でもないのだが。
 ともあれ……それから暫くの間、俺は天田に復讐について話をするのだった。
 ……これで、天田が復讐を止めるという事はないだろうが、せめて復讐の質を変えてくれるといいのだが。 
 

 
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1435
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1389 
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