夢幻水滸伝
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第四十七話 越前にてその九
「その方が効率的に動けるってことでな」
「そうです、近代以降の軍隊はそれまでより合理的で機能的です」
その太宰も話した。
「ですから取り入れました」
「軍勢の在り方にか」
「そうしています、これからさらにです」
「入れてくんやな」
「装備は足軽や騎馬隊のままであっても」
具足や刀や槍、弓矢に馬等は使っていてもというのだ。
「それでも編成や組織の構造はです」
「あえて近代を入れてるんやな」
「階級ではなく人から選びます」
軍勢を構成する将兵達をというのだ。
「ですから」
「それでか」
「はい、その方が質がいい軍勢が出来ますので」
「こうしたことは世襲よりもその方がずっとええな」
「そうです、神事とはまた違うものです」
軍のことはとだ、太宰は中里にはっきりと話した。
「例えば日本の皇室や神社仏閣はその方がいいでしょうが」
「伝えていくものがあるさかいな」
「また血筋がどうしても必要な世界は他にもありますし」
「その貴族にしてもやな」
「そうした世界は別ですが」
「軍とか他の役所関係、あと商売とかもやな」
「代々という場合もありますが第一は」
その仕事への一番必要なもの、それは何かというと。
「能力ですから」
「その能力を見極めて用いて使う」
「それがいいので」
「近代の考えを取り入れてやな」
「軍のことも他の分野のこともです」
「政をしてるんやな」
「そうです、そしてそうした軍はです」
近代の考えを取り入れると、というのだ。
「どうしても独特のものになりますので」
「それでやな」
「はい、憲兵も必要です」
「軍っていう世界の中の警察か」
「そうです」
それが憲兵だとだ、太宰は中里に話した。
「そうなりますので」
「憲兵は憲兵でか」
「将来は専門に指揮出来る方に勤めてもらうことを考えています」
「そうなるか」
「アメリカにこれはという星の方がいます」
「じゃあアメリカと戦って勝ったらか」
「その方に勤めてもらいます」
アメリカも併呑したならばというのだ。
「そう考えています」
「成程な、あとな前から思ってたんやけど」
中里は腕を組みそのうえでさらに言った。
「何かこの世界兵の数少ないな」
「そのことか」
「そやろ、関西で今二十万や」
その具体的な数をだ、中里は出して芥川に話した。
「東海と北陸が合わせて六万でやろ」
「東国が十四万ってとこやな」
「合わせて四十万や」
それが日本にいる軍勢の数だというのだ。
「他の国もそんなに多くないやろ」
「中国で五百万、南洋で二百四十万、中南米で二百八十万、アメリカで百五十万ってとこや」
「太平洋はそんな感じか」
「そや、大体一億で三十万か四十万やな」
人口の規模から見た割合も話した芥川だった。
「それでうちはや」
「四十万やな」
「一億四千万の人口でな、欧州は全体でおよそ二百万でインドとロシアの連合はその割合よりも多いわ」
「あの二国はか」
「大体五百万か」
彼等はというのだ。
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