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レーヴァティン

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第五十話 今度は南へその三

「ちゃんとな」
「それを読んでもわかる通りにね」
「川のモンスターは大体同じか」
 湖のモンスター達と、というのだ。
「そうなんだな」
「そうだよ、しかも広い川だから」
 彼等が行くその川はというのだ。
「流れは穏やかだしね」
「広いしか」
「モンスターは余計に似ているよ」 
 湖に出るモンスター達と、というのだ。
「そうなってるよ」
「成程な」
「まあドラゴンとか出るかは」
「それはか」
「わからないけれどね」
「そうなんだな」
「あとね」
 さらに話す淳二だった。
「ローレライあのセイレーンだのはね」
「歌を歌うんだよな」
「こうしたモンスターが出たら」
 その時はというのだ。
「余計にだよ」
「注意しないといけないよな」
「出る川もあるからね」
「俺達が行く川もか?」
「そうした話は聞いてないけれど」
 セイレーンなりローレライなり歌で惑わすモンスターの話はというのだ。
「それでもね」
「用心は必要か」
「そう思うよ」
「そういえば今までそうしたモンスターと遭遇してないな」
 無論戦ったこともだ、遭遇していないモンスターと戦闘に入ることは有り得ないことであるのは久志にとっても言うまでもなかった。
「歌で何かする連中とはな」
「そうだね、数も少ないしね」
「セイレーンもローレライもか」
「うん、けれどいることはいるから」
 このことは紛れもない事実だとだ、淳二は久志に話した。
「だから出た時とか出るって聞いたら」
「戦ったり退治しておくべきか」
「やばいモンスターだからね」
 こうした歌を使うモンスター達はというのだ。
「だからね」
「だよな、船乗りにとっても迷惑だよな」
「それでだよ、もっともどっちも悪意はないみたいだけれど」
「ただ歌いたいだけか」
「習性としてね」
「けれどその歌がだよな」
「聴く人を魅了してしまってね」
 そうさせてしまってというのだ。
「そこに留まらせたり船を操るのを乱してしまってね」
「それでだよな」
「行方不明とか事故の原因になるから」
 その為にというのだ。
「出来る限りね」
「倒した方がいいか」
「相手に悪意がなくても迷惑な場合はあるね」 
 こう言ったのは剛だった。
「どうしてもね」
「ああ、本当にな」
「それでそうしたモンスターもね」
「何とかしないといけないんだな」
「人間の都合だけれどね」
 少し寂しい感じの笑顔になってだ、剛は久志にこうも話した。
「そうなるよね」
「そうだよな、こうしたことはあくまでな」
「人間の都合だよね」
「川とか湖を安全に通りたいっていうな」
「それだよ、まあ倒さなくてもね」
「そこから去ってもらうか」
「そうしてもらうことになるよ」 
 相手の意志に関わらずだ。
「そうもね」
「戦わなくてもか」
「どっちも好戦的なモンスターじゃないし」
 セイレーンもローレライもというのだ。 
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