八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第百四十九話 夏は終わりでもその九
「そちらも」
「そうなのだ」
「そうですか、猟師さん達もですか」
「そうした問題に直面している、しかもだ」
井上さんは僕にさらに話してくれた。
「過疎の問題もある」
「ああ、農村ですね」
「そうだ、この問題もあるな」
「農村には」
「だからだ」
「高齢化と過疎で」
「獣害の問題は困難なものになっている」
その解決がというのだ。
「どうにもな」
「お金貰って人に来てもらうことも」
僕は自分で言ってすぐにこうも言った。
「それもですね」
「そうだ、わかるな」
「若い人にしましても」
「猟をするのだ」
それならというのだ。
「昔なら弓矢で今はだ」
「銃ですね」
「この問題がネックだ」
それになっていた、本当に。
「どうしてもな」
「銃刀法ですね」
「我が国では銃を使うには許可が必要だ」
これに違反すれば捕まる、実際に銃を不法所持していて捕まった人もいるし銃弾を持っていた野球の助っ人選手が問題になったこともある。
「それも規制が厳しい」
「そうですよね」
「だからだ」
「若い人を雇うにしても」
「それ位のお金があってもな」
「人がいない、ですね」
まさに肝心のだ。
「それが問題なんですね」
「日本で銃を使える人なぞな」
「滅多にいないですね」
「警察や自衛隊とだ」
「そうした猟師さん位で」
「その猟師さんに高齢化が進んでいる」
しかも過疎の問題もある。
「この問題の解決は難しい」
「猟師さんがいないんですね」
「困ったことにな、役所が罠を仕掛けて駆除しているが」
「それもですね」
「中々難しい」
「猟師さんが一番ですか」
「もっと言えば狼がな」
生態系が崩れてそうなっているのならそれを元に戻せばいい、そうした論理になるだろうか。
「いればいいが」
「それでもですよね」
「ニホンオオカミはあの有様だ」
今じゃ奈良県と和歌山県の境に少しいる位だ、長い間絶滅したと思われていたし今も特別保護動物とのことだ。
「日本全土に戻るなぞな」
「ないですね、それもこれも」
僕は苦い顔で井上さんに話した。
「狼を駆除し過ぎたんですか」
「いや、確かに明治以降駆除はしたが」
「そのせいで絶滅したんですよね」
「違う、ニホンオオカミは病気で絶滅した」
「そうなんですか?」
「ジステンバーでな」
この病気でというのだ。
「絶滅したとされていた」
「犬の病気で」
「狼と犬は兄弟だ」
狼から犬になっている、つまり犬は狼の弟だ。
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