ランス ~another story~ IF
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第2話 旅立ちの朝はあちこちが痛い
歴史を振り返り……そして現在RA15年の現状。
□ 魔王ランスと新魔王軍
魔王ランスは前回の暴走から5年が経過し危険な状況になりかけている。
□ マスク・ド・ゾロ
目撃情報が激減し、人気に陰りあり。彼をまだ行方不明の英雄ユーリ・ローランド本人、若しくは半身の様な存在と考える者も少なくなく、世界中で獲得に精を出すが……現在成果は無い。
□ 勇者ゲイマルク
未だ死ねず、彷徨っている………らしい。
□ 大怪獣クエルプラン
不規則に発生し人類、魔物問わずに踏み潰している。大怪獣クエルプランを止める事が出来るのは今の所マスク・ド・ゾロのみ。
□ 人類圏各国の様子
反ランスを掲げる東ヘルマンも含め、各国は硬直状態が続いている。
□ 魔物界の各種魔物勢力
魔王ランスの配下にも入れず、魔物たちも独自に勢力争いを続けている。
□ 神異変
神が人類の前から姿を消して10年以上経過、未だ神は現れず。
大きく分けるとこの7つが上げられるだろう。
リセットは世界情勢を、今後の展開をも思い浮かべつつ、今目の前のささやかな幸せをかみしめるのだった。
~自由都市西部の村~
そして、この物語の始まりは このなんの変哲もないとある家の中から始まる。
そこは現AL教法王クルックーの家。
「起きなさい、起きなさい……」
「…………」
小さな声が家の中に響く。
声に誘われる様に 少年はゆっくりと瞼を開こうとするが……なかなか開く事が出来ない。まだ眠気の方が圧倒的に勝っている様だ。まだ、寝かせて――と言わんばかりに 仰向けだった体勢を変えようとするのだが。
「朝です。エール」
身体をゆさゆさと揺すられた為出来なかった。
その感触は眠気を拭いさり、意識を完全に覚醒させてくれた。この母の起こしに来た感覚は忘れる筈もない。長年の経験があるから。
「ん……ん……」
こしこし、と何度も目を擦り、半身をゆっくりと起こした。覚醒は確かにした……が、やっぱりまだ眠たい様で 頭の中はボーっとしていた。
「おや……。しっかりと起きれたかと思いましたが……まだみたいでしたね。それにひどい寝癖です」
少し呆れた色を瞳に滲ませながら、母クルック―は表情を和らげた。
「おはようございます。エール」
「……う、ん。おはよう、お母さん……」
「はい。今日は貴方の誕生日です。どうですか? 気分は。新しい歳の始まりですよ」
母の優しい笑みの前に、まだ少し眠い……と言おうとした選択は排除。こちらもニコリと笑みを見せながら、息子エールは言った。
「とても良いよ……。うんとても」
「ふふ。そのようですね。では、顔を洗ったら下に降りてきてください。母からとても大事な話があります」
パタパタ、と小走りで部屋を出ていく母を見送るエール。大事な話……とは? と疑問に思ったが、直ぐに判る事だと楽観視し、身体を完全に起こした。まずは洗面所に向かい眠気、寝癖と共に全部冷水で洗い流す。ひんやりとした冷水は寝起きには気持ちよく、更にふかふかの干しタオルは母が容易してくれていたもので、太陽の香りがして更に心地良い。
自分の誕生日の朝。いつもとは違い 少しだけ特別な感じがする……とエールは思いながらダイニングへと向かった。
そこには母が作ってくれた朝ご飯の良い香りが鼻孔を擽ってきた。朝からとても豪勢な食事。これが誕生日だから……だとは思うけれど。
「……(朝から、この量はきついかも)」
美味しい匂い、食欲を誘う香り、それらを感じつつも一番思ったのはそこだった。
それでも母の料理はとても美味しい。確かに全部入れるのは大変かもしれないが、今エールのお腹は空っぽだ。だから 感想は兎も角身体は素直だった。 くーっ と言うお腹の虫が鳴り響いたから。
「おや、少し作り過ぎたかと思いましたが育ち盛りにはこれくらいが丁度良かったですね。さぁ、冷めない内に召し上がれ」
母に促され、エールは直ぐに食事に手をつけた。
まずは、母のスープを口にする。程よく感じる香りは母が育ててくれている香草の香りだろう。ずずっ、とゆっくりと口の中に含み、舌で味を楽しみながら胃の中へ注ぐ。
そして へんでろぱを口にする。とても美味しい……と頬を緩ませた。
「……………ふふ」
自分の子供が次から次へと食べ物を美味しそうに口に運ぶ姿を見て満足そうに眺めるクルック―。 そんないつもよりちょっぴり豪勢な朝食の最中、突然切り出した。
「あ、そうそうエール。今日から貴方には冒険に出てもらいます」
「………え?」
そう……、まるで簡単なおつかいを頼むかの様に、本当に簡単に。
ごくごく簡単に……無茶なことを言った気がした。
「おや、なんですか? その顔は」
「え、えっと……訊き間違い、じゃないよね? お母さん。八百屋さんに行ってください、とかじゃないよね?」
「違いますよ。おつかいは先日全て済ませています。エールも一緒に行ったでしょう?」
「う、うん……。えと、やっぱり聞き間違いじゃないんだ……。ぼ、ぼーけん? いきなり過ぎて、ちょっと考えが……」
「そうですね。言ってませんでしたから、それも仕方ないと思います」
仕方ない、と言いつつも否定をしたり訂正したりするつもりは全くない様だ。母の顔を見ればそれくらいは判るから。母は穏やかな表情ではあるものの真剣な眼でエールを見ながら続けた。
「エール。貴方はまだ自分の力が心配……と思っているかもしれませんが、それならば大丈夫です。貴方は私がみっちり鍛えてきました。これまでの事を思い返してください。もう一流の冒険者と比べても遜色ない実力がありますよ。後は実戦あるのみです。冒険を経て鍛えるのが一番良いでしょう」
エールは思い出す。
確かに、母には物心ついた頃から鍛えられた記憶がある。
神異変があり、新たに神魔法を覚えるのは不可能……と説明されたのにも関わらず、母は神魔法を教えてくれて、使える様にもなった。神異変の事情をエールも習っているから知っていた。なのにも関わらず神魔法を覚える事が出来た時には 頭の中に《?》がいくつも浮かんだのだが、母は笑っていた。
『これが母の力です。ばばーん』
と得意げにそう言っていいながら。
エールは、子供ながら全く説得力ないなぁ、と少なからずため息が出たのは懐かしい思い出だ。
そんな思い出に浸って現実逃避……と言う訳にはいかなかった。
「さあ、冒険の餞別です。受け取りなさい」
母はどこからか取り出した袋を差し出した。
その中には 大きな財布と食料が入っていた。これなら暫くの間、生活には困らないとは思う。此処まで備蓄があった事に少なからず驚きもあった。
「さて、こちらは誕生日プレゼントです」
次に渡されたのは ひのきの棒と冒険者の服。
何か、いつかもっと幼い時に読み聞かせてくれた冒険ものの絵本の内容に似てる餞別だ……、と言うのが最初の感想。そして次は『誕生日のプレゼントなら、もうちょっと良いものを……』と愚痴が喉から出かかっていた。これなら去年のプレゼントの方が全然良いから。
そんな息子の想いを他所に、母は続ける。
「これで冒険の準備は万端ですね。……さて、次はこの世界についてです。今の状況、エールも判っていますね?」
自分を置いてどんどん進んでいってる気がする母を見て、少し足止めならぬ、悪戯してやろう、と思ったエールは。
「うん。そうだね。最近はとっても不景気だよね。昨日のお買い物のとき、野菜の値段上がってたよ」
「はい。その通りです。それに今日は小麦の値段がまた上がりましたよ。家計に大打撃ですね…………」
悪戯を悪戯と思ってくれてない? と母の顔をマジマジと見つめたエール。
そんなエールのオデコにぴんっ! と指を弾く母。
「って、違いますよ。ぺしっ」
勿論母は、芸にも厳しい面がある。ツッコミをそう簡単に忘れたりしないんだから。
「魔王ランスの存在です。いずれ、この世界を破壊するであろう魔王ランスを貴方が倒すのです」
まさにファンタジーだ。
絵本の世界だ。
子供にいきなり魔王討伐とは、母もヤキが回ったか、と呆れるか怒るか慌てるか、と表情を上手くエールは作れなかった。
「なにか言いたげな顔ですね。質問があるなら伺いますよ」
「あ、あー…… 沢山、あるんだけど。どれから言えば良いか……」
「ほほぅ。時間が惜しいので1つだけ……といじわるは言いません。何でも聞きなさい」
ごくんっ、と息を飲み込んだ後にエールは続けた。
「じゃ、じゃあ。なんでボクが? 魔王をやっつける~ なんて今時アニメでもなかなか取り上げないと思うんだけど……」
「ふむ。確かに使い古された演出、構成と言えばそうですね。ですが、これは現実です。しなければならない事なのです。それで、なぜエール、貴方なのかと言うと」
母は少しだけ間を置いた。
それは珍しい事だった。今までは どんな事もストレート。いきなりに言うのが母だったから。流石に今日の冒険へGO! 魔王をやっつけろ! は最大の衝撃だったが それでも直ぐに言ってきた。
なら、この次は何が飛び出すのか、とエールの頭の中に不安が過ぎる。
「今日の誕生日を迎えたら、ずっとは無そうと思っていた事があります。……今まで貴方には黙っていましたが、エール。なんと貴方は 世界を救った英雄の1人。ユーリ・ローランドの子供なのです。ばばーーん」
「………………え?」
「知らない訳ないでしょう? ユーリ・ローランドの名は今じゃどんな本にも出てくる超有名人で超強い英雄で伝説の剣士です。あなたはそのユーリの息子なのです」
聞こえなかった訳ではない。
あまりの事過ぎて、これもビックリ……どころか、もうパンクしかけてしまった。
でも思い当たる事はある。
自身のフルネームは、《エール・ローランド・モフス》だ。
英雄の名が入ってる~と少し八百屋さんや花屋のオバさんに自慢した時期もあった。
でも、まさか本当に息子であるなどとは思わなかった。
「おやおや、衝撃の事実に言葉を失ってるようですね。英雄の血を継ぐ貴方であれば 魔王くらいイチコロです。……まぁ、イチコロで済むのなら 本当にうれしいですが 可能性は高いですね、と言う事です」
無茶な要求だ……と心で愚痴る。
確かに訓練をしてきたが、実戦は皆無だから。レベルは多少あってもそれだけで勝てる相手じゃないくらい判るから。
「なに、大丈夫ですよ。貴方1人にやらせるつもりはありません。そして 英雄の子は あなただけではないのです。そして もう1つビックリな事実がありますよ」
「……まだ?」
ふっ……と少し母の表情が動いた。
まだ何かあるのか、とそろそろ知恵熱が出そうになるのを我慢しつつ備えた。ヒーリングを掛けながら。
「魔王ランスの血を継ぐ子供もいるのです。ばばばーーん。魔王ランスが人間だった時、ユーリと共に戦い、世界を救った話は知っていますね? 規格外の実力は両者にはありました。その力は確実の子供たちに受け継がれています。通称 《魔王の子》と《神の子》その子供達と協力しなさい。……ああ、あまり神の子、と言わない方が良いかもしれませんね。ユーリが怒ってしまうかもしれませんから」
「………ヒーリング3」
「ん? 突然どうしました?」
「い、いや…… なんだか頭がとても痛くなってきて。体力も減っちゃったみたいで」
「成る程納得です。しかし いきなり上級神魔法を気軽に使うとは、母は驚きましたよ。流石エール。私達の自慢の息子です」
母に褒められたのはくすぐったい。でも、判ってほしい。メチャクチャ言ってくれてる事に。もうちょっと噛み砕いて、それでいて少しずつ教えて欲しかった。
「さて、それは兎も角 貴方は他の兄弟姉妹の皆さんや、魔王の子達とも会った事がありませんでしたね。そうですね。皆に会いに行くついでに、魔王をヤッちゃう……と気軽に考えれば良いでしょう」
「……大根買うついでに野ぽぽぴも一緒に買ってきて、みたいに言わないでよぉ」
「それくらい気軽で構わない、と言う意味です」
気軽で良い訳ないと思うのだけど、母は曲げなかった。
「さて、これで説明は以上です。頑張ってくださいね」
まだ全部を飲み込めてないのだけど……と言おうとした時。
母は真剣な表情で自分の顔を見つめた。
「大丈夫……。貴方ならきっとできます。先程も言いましたが、貴方は自慢の息子なのですから。ま、ダメならダメでも良いです。その時は母がなんとかします」
「……なんとか……なるの?」
「はい。ほんとのほんとにダメだったら、ですよ? 最初から甘えるのはNGです」
釘刺されてしまったが、そう言われるくらいは判っていた。最初からダメーで通じるのなら、今すぐにでも言っちゃいそうだったから。
「さて、他に何か質問はありますか?」
「え、えっと…… うーん……… 。お母さん。その、ほんとに ゆ、ユーリ・ローランドが、ボクの……お、おとーさん、なんだよね?」
「はい。もし会う事が出来たなら 恥ずかしがらずその胸に飛び込んでください。ランスであれば、ランス・キーック! が飛ぶかもしれませんが、ユーリなら大丈夫ですよ。とても面倒見の良い人でしたから」
「あ、あはは……。そうなんだ。って、ランスって子供にキックするのっ!?」
「ふふ。そう言う人だ、と言う事です。質問は以上ですか?」
魔王になる前のランスの人間性を少し見た気がした。
が、それは兎も角質問の継続だ。もう少し考えた。ユーリは伝説上とも言って良い存在だ。そんな人が父親で、母の旦那さん。全ての歴史書や数ある教科書に出てくる名前。物語のモチーフにもされてる人が父……。
「うーん……。お母さんって何歳なの?」
「……大事な質問の時間にそれですか? ふむ。ユーリの名を訊いて気になった、と言う顔ですね。………うーん、確か33、34、と言った所でしょうか。すみません。母も忘れてしまいました」
「そーなんだ……」
「はい。なので正確には答えられないので質問はこれで終わりにしますね」
強引に質問タイムを終わらせてしまった。
まだ、魔王の倒し方~とか聞きたかったのだが、それが分かれば苦労しない、と返されそうなので、深く追求は止める事にした。
渡された荷物を背負ってとりあえず家の外へと向かうエール。
「では、頑張ってきてください」
母も見送りに来てくれた。
「気を付けて行ってらっしゃい」
簡単な挨拶……は良いんだけれど、本当に肝心な所を訊くのを忘れていた。
いや、母から言ってくれるのでは? と思って期待をしたところでもあるのだが、本当にこのまま送り出されそうなので、自分から聞く事にした。
「それで、どこに行けば良いの?」
「はい。よくぞ聞いてくれました。聞かれなかったらどうしようかと思っていたところです」
「なら、最初に教えてよ……」
「質問タイムに聞かなかったではないですか」
「あ、うん。そーだけどさ……」
やや不満顔のエールをさておき、クルック―はニコリと笑みを浮かべた後に続けた。
「まずは5つのオーブを探しなさい。魔王ランスは特殊な力で守られてます。オーブがなければ辿りつく事さえできないでしょう。そして、次に仲間です。先程も言いましたが、魔王と神の子達の協力を仰ぎ、共に魔王ランス打倒を目指すのです。エールは皆とは初対面なのですから、失礼のないように振る舞うのですよ?」
初めて会う人に早々無体はしない……と思った。人見知りと言う訳ではないが自分自身はあまり同年代の子と話をした事がないからやはり不安はあるんだ。
「そこで 順風満帆に行く為の最後のアイテムがこちら。この紹介状です。これは強力を仰ぐ為の書。世界有数の大国の指導者に渡してください。きっとオーブのありかや仲間になる兄弟たちを紹介してくれますよ。……と言う訳で貴方に伝えられるのはこの辺りまででしょう。ちゃんとわかりましたか? 説明をもう一度聞きますか?」
母は穏やかな表情でそう聞いてくる。
少し……時間を稼ごうかな、とエールは画策するが。
「エールは少々顔に出やすいですね。その辺りは母ではなくユーリ似、でしょうか」
母はまたニコっ、と意味深に笑った後。
「時間稼ぎは認めませんよ?」
的確に見抜かれてしまったから両肩を落とすエール。実を言えば、もうちょっとだけ状況整理とクールダウンの時間が欲しかっただけなのだが、母が自分以上に気合が入ってる感じがするのでもう無理かもしれない、と悟った。
「さあ、エール」
母の真っ直ぐな瞳は、とても慈愛に満ちていた。今までのやり取りの中でも格段に。
「きっとこれから……厳しい事が沢山あると思います。ですが、冒険を何よりも楽しみなさい。積極的に行動して、色々なもの、色々な人、色々な事情、それらを見、貴方の力となさい。そうすると……世界はよりよく輝いて見えるものです」
母は遠くの空を眺めて、声を少しだけ大きくさせて続けた。
「これは今の母の実体験によるものなんです。この世界は……楽しい事、面白い人、そして母とユーリの関係の様に愛する人、そう言うもので満ちています。……まぁ 母とユーリの関係は少々他人とは違う所はありますが、そこはまだ早い、と言う事にしましょう」
母と父の関係が他人とは違う……と言うのはどういう事なのだろうか? とエールは不思議に思ったが、母はそれ以上言わなかった。
「……楽しんでらっしゃいエール。母はいつでも貴方を見守ってます。何があろうと母は貴方の味方です。判りましたか?」
「えーと。判ったよ! って言うと嘘になっちゃうかも……」
「ふふ。正直で宜しいです。ああ、それと実は貴方には魔王を倒すよりももっと大事な使命があるのです……が…………。おっと、すみません。これは貴方には秘密でした。まぁ 今は忘れて冒険を楽しんできなさい」
ちょっと聞き捨てならない言葉を訊いた。
だから、ちょっと遮ろうとしたのだが、強引に話す母。
「それと母へのお土産は考えなくて良いです。貴方が無事に帰ってくる事が母には何よりのお土産ですから。………あ、でも珍しい貝があったら持ってきてください」
「いやいや、貝は置いといて、何? 魔王より大切な使命って」
「……はい?」
「ええっ! 『……はい?』 じゃないよ、お母さんっ! さっき言ったよ?? 重要な使命って!」
「重要、ではなく大事、ですね。それは兎も角忘れてください、と言いましたので、母は忘れました」
「重要も大事も同じじゃん。それにどーして、お母さんが忘れるのさ! ボク、忘れてない!」
「えーい、もういいから行きなさーーい。べしーーんっ!」
「わぁっ」
最終的に、エールは母にお尻を蹴られる形で村から追い出されてしまった。
沢山の出来事に頭が痛み、更には母のキックは相応に痛いからお尻も痛い。色々と痛い旅立ちになってしまった。
これって村から追放されちゃったのかな……? とエール少し悲しくなってしまったのは別の話。村には門番がいる訳でもなく、『オマエは追放された身入る事出来ない!』と言われた訳でもなかったから。
でも……母の待つ家には当分入れそうにない、と直感した。
何故なら 母に見送られた後……、ガチャリ、と鍵をかける音が聞こえた気がしたから。
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