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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第百四十九話 夏は終わりでもその一

            第百四十九話  夏は終わりでも
 もう目の前だ、二学期がはじまるのは。夏休みの宿題を終わらせた僕はその終わりの中で今年も夏休みそして二学期が終わるんだと思っていた。
 それで朝目を覚ましてベッドから起き上がって着替えているとたまたま窓からお庭の方が見えた。
 すると井上さんが素振りをしていて。
 日菜子さんも空手の稽古をしていた、二人共汗をかいているのも見えた。その二人を見てだった。
 僕はその時は頑張ってるなと思う位でそれで着替えが終わると朝御飯を食べる為に一階に降りた、すると。
 早百合さんが演奏をするピアノのすぐ横を通って早百合さんにいつもの挨拶をした時にだった。
 二人も八条荘に入って来た、そうして僕に声をかけてきた。
「おはよう、ではだ」
「今から食事だな」
「はい、そういえば井上さんは」
 僕は木刀を片手にタオルで汗を拭いている井上さんに対して言った。
「井上さんは美術部以外にも」
「うむ、居合もしていてな」
「それで、ですね」
「今朝は素振りをしていた」
 剣道の素振りではなく居合のそれだった、井上さんが今朝していたのは。
「そうして汗をかいていた」
「そうでしたね」
「そうでした、観ていたのか」
「観えました」 
 そちらだとだ、僕は井上さんに答えた。
「日菜子さんとお二人で、でしたね」
「そうだった、最初は一人だったわ」
「私はランニングから帰ってね」
 日菜子さんもタオルで顔の汗を拭いている、そうしつつ僕に笑顔で話してくれた。
「それで空手の型をしようと思ってたら」
「一緒になったんですね」
「そうよ」
 実際にというのだ。
「これがね」
「そうですか」
「そう、そしてね」
「今まで二人で汗をかいていた」
 微笑んでだ、井上さんはまた僕に話してくれた。
「気持ちよくな」
「いい汗でしたか」
「実にな」
「いい御飯が食べられるわね」
 日菜子さんはそれが実に楽しみといった感じだった。
「今朝も」
「運動をするとですね」
「そう、身体を動かした分」
 まさにというのだ。
「御飯が美味しくなるのよ」
「それはそうですね」
「何時だってそうよね」
「はい、身体を動かした後は」
 それがスポーツでも肉体労働でもだ、身体を動かした後だと。
「美味しいですね」
「その御飯がよくてね」
「今朝もですか」
「運動していたのよ」
「私は少しだ」
 井上さんの場合はというと。
「精神の鍛練だ」
「それで、ですか」
「朝から心を引き締める」
 居合の素振り、それでというのだ。
「その為にしている」
「かなりしてましたよね」
「五百振った」
「朝からですか」
「そんなものだろう、むしろだ」
 ここで井上さんは井上さんらしいことを言った。
「私は少ない、畑中さんと比べるとな」
「千本二千本の素振りよりは」
「あの人はスクワットもされている」
 そちらも千回二千回としているから凄い、だからかなりのご高齢なのに若々しいのだろうか。 
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