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夢幻水滸伝

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第四十六話 都の星達その七

「何で本屋さんしてるん?」
「このことですか」
「何でなん?」
「いえ、仕官出来なくて」
 もっと言えばそれを申し出ることが出来なくてだ。
「それでも生活をしないといけないので」
「それでなん」
「このお店に雇ってもらって」
「私が雇いましたにゃ」
 でっぷりと太った白い毛の猫人の女が出て来た、着物を着ているその姿は何か力士にも見えるものだ。
「そうしてましたにゃ」
「そうやったん」
「はい、ただ」
「ただ?」
「この人はしっかりしてますにゃ」
 そうだとだ、猫人の女は綾乃に話した。
「仕事が出る人ですにゃ」
「そうであればいいですが」
「いやいや、本当だにゃ」
 猫人の女は今度は亜紀に話した。
「亜紀ちゃんしっかりしてるにゃ」
「そうですか」
「仕官したならにゃ」
 それならともだ、亜紀にさらに話した。
「どんどん頑張るにゃ」
「それでは」
「ではうちはまた店長に返り咲きにゃ」
 店長に雇っていた亜紀が仕官したのでだ。
「そうなるにゃ」
「ではこれからは」
「応援してるにゃ、というかにゃ」
「というか?」
「これ以上ここでおたおたしていたらにゃ」
 店長は亜紀に少し厳しい顔になってこうも言った。
「うちも無理にでも前に出していたにゃ」
「前にですか」
「そうだにゃ」
 亜紀に強い声で言っていた。
「その力を天下の為に使わないのは駄目だにゃ」
「わたくしの才をですか」
「あんたは確かな才能があるにゃ」
 このことは確かな声で言った店長だった。
「それを活かすんだにゃ」
「これからは」
「全く、自信がないとそれだけで困るにゃ」
 前に進まない、それでというのだ。
「姫巫女様が来られて何よりだにゃ」
「ではこれからは」
「天下の教育を発展させるにゃ」
「そうします」
「お金はあるさかい」
 予算は既に用意してあるとだ、綾乃が話した。
「頑張ってや」
「お金、予算ですね」
「それがあるさかい」
「もう既にですか」
「太宰君も考えてたんや」
 以前からというのだ。
「治めている地域のあちこちに学校を建ててな」
「図書館や博物館もですね」
「色々建ててくさかい」
「そうですか、政で教育を発展させていく」
「それ頼むで」
「わかりました、ではすぐに御所に赴き」
「太宰君と会ってな」
 宰相である彼にというのだ。
「宜しゅう頼むで」
「そうさせて頂きます」
 亜紀は綾乃に確かな声で答えそうしてだった、店長に別れの挨拶を告げてそうして御所の方に向かった。残った店長も綾乃に笑って言った。
「有り難うですにゃ」
「谷崎さんに声をかけたことは」
「はい、お陰であの娘は羽ばたきますにゃ」
「そうしてその才能をやな」
「天下に大きく活かしてくれますにゃ」
「それでよおさんの人がええことになるし」
「天下は発展しますにゃ」 
 だからだというのだ。 
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