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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第百四十八話 イルカその四

「面白い」
「そうなりますね」
「私達にとっては」
「可愛くて」
「観ていていい」
「イルカはしたいのか」
 そう考えるとだ。
「違うにしても」
「私達は観ていて楽しい」
「勝手ですね」
「そう、人間は勝手」
 エリザさんは一言で言った。
「とても」
「その一面はありますね」
「そう、自分勝手なものもあって」
「イルカ達は嫌でも」 
 ショーの為の訓練を受けることはだ、本当なら人間に束縛されず自分だけで泳いでいたいというのに。
「観ていて楽しい」
「だから」
 それでというのだ。
「勝手なもの」
「そうですね、嫌なものですね」
「嫌なものでもあって」
「一面ですね」
「そしてそれ以外の面もある」
 自分勝手でない面もというのだ。
「そちらもまた」
「色々な面がある」
「そう」
 エリザさんが言いたいのはこうしたことだった。
「中にはガチで自分しかない奴もいるけれど」
「そういう奴って本当にいますね」
「どの国にもどうした場所にも」
 自己中心的な奴はだ、そしてそうした奴は嫌われる。己しかない心と書いて忌むというのは本当だ。
「いる」
「そうですね」
「人間色々な奴がいて」
 二代位前の首相が酷かった、辞任すると言って何ヶ月も居座っていた時は観ていて嫌な気分だった。権力に執着していたのか悪事を隠していたのか禄に仕事をしないでそんなことをしていた。
「そうした面もあるけれど」
「それでもですね」
「そういう面ばかりじゃないし」
「そういう奴ばかりでもない」
「そう」
 まさにというのだ。
「とはいってもイルカについては」
「イルカ自身にとっては」
「気楽に泳いでいた方がいい」
「そうなるでしょうね」
「ただ、水族館の中は狭い」
 エリザさんはこのことも言った。
「そこが不満かも」
「狭いのは確かに」
「けれど安全」
「ですわね、水族館の中は」
 エリザさんも言う。
「鮫もいませんし」
「シャチも」
「そうですわね」
「シャチが一番怖い」
 むしろ鮫よりも遥かにだ。
「イルカの天敵」
「よく襲われて食べられるそうですわね」
「シャチは凶悪な生きもの」
 海の王者とさえ言われている、敵わないのはマッコウクジラ位というからかなり強い生きものだ。
「大きいし頭もいい」
「だから」
「そう、イルカも頭はいいけれど」
「シャチも頭がいいので」
「厄介、鮫は魚だから」
 それでというのだ。
「哺乳類に比べて頭は悪い」
「それでその分イルカも対応が楽ですわね」
「そう、頭がいい分」
 このことが大きいというのだ。 
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