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夢幻水滸伝

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第四十六話 都の星達その四

「カナダやモンゴル、台湾等もそうでして」
「何処も善政敷いてるんやな」
「そうです、日本でもそれは同じで」
「関東もかいな」
「はい、あちらもかなり」
 その政はというのだ。
「善政が敷かれていて」
「ええとこか」
「そうです、よくロシアやインドが言われますが」
「暴君とかな」
「実は治世自体はいいのです」
 棟梁である神星の者達の評判とは違ってというのだ。
「善人には寛容です」
「そうなんか」
「そして公平です」
 そうした政が行われているというのだ。
「確かに法は厳格で刑罰は過酷ですが」
「その過酷さが問題やねんな」
「何十万もの賊を強制労働の末生き埋めにもしますし」
「それがえげつないと思います」
 弥生は喜久子にこのことを話した。
「やっぱり」
「そうですね、しかしです」
「悪いことをした連中ですか」
「はい、確かに捕虜の扱いも厳しいですが」
「自分に忠誠を誓うならですか」
「許して有能な者はです」
 そうした者ならというのだ。
「かつて敵でも重く用います」
「そうなんですか」
「あくまで法と刑罰がかなり厳しく過酷なだけです」
 それに過ぎないというのだ。
「ロシアやインドは」
「そうですか」
「産業は栄え民達も普通に過ごしています」
「農奴やないですにゃ?」
「普通の農民です」
 その待遇はというのだ。
「悪人は奴隷にしますが」
「そうやったんですか」
「他の勢力より遥かに厳しいだけで」
 それでというのだ。
「善政は善政です」
「そうですか」
「治水等も的確ですし」
「治安も」
「整っています」
 そうだというのだ。
「ですからご安心下さい」
「そやねんな」
 綾乃もここまで聞いて頷いた。
「めっちゃ怖い政治してるって聞いてたけれど」
「過酷ではあっても善政です」
「国と民のことは考えてるか」
「そうした政でした」
 そうだったというのだ。
「私が見たところ」
「そうやねんな、女帝も雷帝もしっかりしてるんか」
「政治家としても」
「冷酷非情とか残忍とか過酷とか言われてるけど」
「人の道、棟梁の道は外れていません」
「そうした人等か」
「はい、ですがあまりにも過酷なので」
 見ていてそう思ってというのだ。
「私は仕官はしませんでした」
「そうやったんか」
「太平洋の諸勢力もどうか思いましたし日本も見て回りましたが」
「ここに一旦落ち着いたんか」
「そうして寺子屋の先生をしつつ見極めようとしていました」
「そして今うちが来て」
「そうです、ではこれより」
 喜久子は微笑んで綾乃に話した。
「再び申し上げますが宜しくお願いします」
「御所に向かってやな」
「宰相殿がおられますね、御所には」
「太宰君はいつもおるで」
「それでは早速治安を担当します」
「宜しゅうな」
「はい、そして他の人材もですね」
 喜久子は綾乃が誘いをかける人材は自分だけではないと考えそのうえで彼女に再び聞いた。聞くその目の光は明るい。 
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