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ゴブリンの貿易

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第四章

「スワラーディさんは一切気にしてないみたいですね」
「いえいえ、それはです」
「違いますか」
「はい、そうです」
 こう毛人の商人に話した。
「ゴブリンが商人に驚くとです」
「不愉快ですか」
「そう思って結構商売にも影響しています」
「そうは見えませんが」
「いやいや、わしも人間ですから」
 だからだというのだ。114
「やっぱりです」
「商売にもですか」
「ついつい私情を挟んで」
 そうしてというのだ。
「高く売ったりしています」
「そうなのですか」
「まあ慣れてますけれどね」
 欧州の人間に自分に驚くことはだ。
「というかあっちじゃゴブリンは殆どいないみたいですしね」
「毛人もそうみたいですね」
「人間に近い外見の種族以外の種族は」
「そう思いますと」
 非常にと言うスワラーディだった。
「それも当然ですけれどね」
「地域によって種族も違っていて」
「価値観とかが違うので。まあわしはです」
「こうしてこのカルカッタで」
「代々の店をやっています」
 もうかなり古い、そして彼の代でも商いをしていてそれが結構以上に繁盛して儲けてもいるのである。
「この様にして」
「そういうことですね、では」
「はい、商いの話をしますか」
「今から」
 二人でそちらの話をした、スワラーディはこの商人とは最初から和気藹々として話をした。そうしてだった。 
 夜に店のこの日の商いの儲けを聞いてだ、満足して言った。
「儲けを聞くのはな」
「商人の最高の喜びですね」
「何といっても」
「そうですね」
「商人なら誰でもだよ」
 それこそというのだ。
「この日の儲けを聞くのが最高の喜びだよ」
「そうですね、商人なら」
「種族に関係なく」
「そこは同じですよね」
「そうだよ、今日も儲けた」
 その額に満足している言葉だった。
「本当によかったよ、ではね」
「はい、明日もですね」
「頑張りましょう」
「じっくりと寝て休んで」
「明日も頑張りましょう」
 彼等はスワラーディの言葉に笑顔で応えた、そうしてそのうえでだった。彼等は満足して休息に入った。その姿は他の種族と何も変わることがなかった。


ゴブリンの貿易   完


                 2017・11・15 
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