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ランス END ~繰り返しの第二次魔人戦争~

作者:笠福京世
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第一部 GI歴末からLP歴の終わりまで
序章(CP0第一周、結末Cエンド)
  第04話 大戦勃発、人類首脳会談の前

LP7年10月前半 ヘルマン共和国  東部に位置する計画都市ゴーラク

 人類が魔物から解放されたのは、長い歴史すれば、ほんの千年くらいのできごと。
 二千年前も、三千年の前も、人類は魔物に蹂躙され、虐げられた来た。
 ここ数百年来の人類の国家間が争った時代は、それこそ平和な時代だった。

 飢えに苦しみ、病に苦しみ、貧困に苦しむ人々も大勢いたが、俯瞰すれば平穏な時代。
 魔物は大陸の西、魔物界で生き。人類は大陸の半分を世界だとして我が物がで生きた。

 人々は魔王を恐れていた。人々は魔人を恐れていた。人々は魔物を恐れていた。
 しかし、今までは魔人の恐怖を、魔軍の脅威を、どこか遠い世界の物語のように思っていた。

 開戦から約一か月弱、ヘルマンに、魔人を物語に登場する悪役だと嘯くものは一人もいない。

 「リーザスからの情報をまとめました。リーザス方面軍の魔軍は総勢90万に及びます。
  リーザス軍は多数の士官を失いましたが、勇敢に戦い戦線を維持しております」

 「流石は大陸の富強、大国リーザス。
  仮想敵国がヘルマンにせよ、ゼスにせよ。
  キナニ砂漠方面からの侵攻は想定内だったとみえる」

 「方面軍本隊を率いる者が判明。魔物大将軍ヨシフと名乗っているそうです」

 「魔軍に25万ほどの被害を与えたそうだが、焼け石に水か」

 「やはり魔人を叩かなければ……」

 ヘルマン、リーザス、ゼスの三大国で最も善戦しているのがリーザスだ。
 黒、赤、青、白の四将軍は副将を含め健在。 
 リーザス第一軍、黒の将バレスの指揮下で全軍が一丸となって戦っている。
 リア女王は首脳会議でもっとも大きな発言権を得ることだろう。

 「自由都市からの情報がまとまりました。
  リーザスを経由して侵攻した魔軍の総数は60万」

 「60万……」

 東部ヘルマン後方支援司令部に詰める士官たちが絶句する。
 自由都市は、各小都市間よる緩やかな同盟によって結ばれている。
 各都市を守備する戦力はあっても、大規模な軍隊など存在しない。

 「傭兵を中心とした自由都市連合軍が組織されましたが……」

 「ああ、集まったのは三万ほどと聞いている」

 「初戦で傭兵団長のヴィアン・ペコ殿を始め多くの傭兵を失い壊滅状態です」

 「現状は?」

 「副将だったセシル女史が連合軍の団長を務めています。
  またパランチョ王国軍の総大将ピッテン・チャオ氏が副将として副長として補佐」

 おおおっと声が上がる。黄金の騎士ピッテン・チャオは、ヘルマンにおいても知名度が高い。
 ヘルマン革命ではパットン皇子の要請に答え、盟友として革命軍に参加した英雄だ。
 容姿、性格、器量ともに優れた完全無欠の騎士として知られている。

 「主力の魔人は電撃の使い手レイ。また魔人パイアールのロボット兵団の目撃情報あり。
  方面軍本隊は大将軍ピサロが指揮。何やら金銀財宝をかき集めている様子です」

 「都市連合の長としてコパ帝国のコパンドン女史が選任された様子です。
  ただし首脳会議には主要七都市の各代表が参加するとのこと」

 「わかった。次を頼む」

 正直なところ離れた自由都市の戦況はヘルマンからではどうしようもない。

 「ゼス王国の戦況を報告します。ゼスに侵攻した魔軍の総数は100万」

 「……」

 もはや誰もが声もでない。魔軍は最大数の兵力を魔法王国ゼスに投入した。
 魔軍の侵攻が多かったゼスは四年前にマジノラインが初稼働し、十万の魔軍を撃退した。
 そして三年ほど前には、カミーラダークと呼ばれる争乱で国が崩壊の危機に瀕した。
 それでも魔人四天王の一人であるカミーラを封印したらしいと聞いてはいたが……。

 「鉄壁を誇るマジノラインは突破され、首都ラグナロックアークを放棄」

 「……」

 首都が陥落したという報告に、誰もが驚きを隠せないでいる。
 
 「しかしながらゼス四天王および四将軍は全員健在です。
  四天王のマジック王女が中心となり、臨時首都で総指揮をとっています」

 「ガンジー国王は?」

 「どうやら独自に魔軍に対して抵抗活動を行っている様子です」

 「ゼスでは魔人メディウサが手攻として住民を虐殺。
  また魔人ガルディアによる兵糧攻めに苦しんでいるとのこと」

 「ゼス方面軍本隊の魔物大将軍ツォトンを名乗っています」

 「そうか……。ありがとう」

 「にしもてゼスに100万、リーザスに90万ですか」

 「ヘルマンで確認した魔軍の総数は70万か」

 「二大国と比べれば少ないが、70万の魔軍を少ないと言って良いやら」

 「あはは……もう感覚が麻痺してきますね」

 「JAPANからの援軍はどうなった?」

 「はい、JAPANの上杉軍は第五軍と合流。
  現在は第五軍と共に魔人バボラの最前線を引き受けています」

 法王の呼びかけに応じたJAPANの国主、香姫は首脳会議に先駆けて各国に援軍を派遣。
 JAPANは大陸とは天満橋という一本の橋で結ばれる島国。そこで大陸とは違う独自の文化を育んでいる。
 かつて彼らは藤原家の下で大陸に進出し、わずか五年で大陸の南半分を支配した。
 その屈強なサムライたちの子孫が、大陸の各地に散って心強い味方として戦ってくれている。

 「第一軍の主力と第二軍で、番裏の砦を突破した魔人ケセルリンクの軍を抑えております」

 ヘルマン西部に侵攻した魔人は、四天王のケセルリンクだということが判明した。
 頻繁に前線に出てくるような存在ではないが、恐るべき相手であることは間違えない。

 「東部ヘルマンの守りは、都市守備隊と第四軍の生き残りが中心か」

 「方面軍本隊、大将軍ルメイの目が帝都に向いております故」

 幸いなことに第四軍のコンドラチェンコ将軍は生きており、東部ヘルマンの総司令として指揮を取っている。
 
 「問題は魔軍がヘルマン中央のナバタ山脈を越えてスードリ10を攻撃したことです」

 「おかげで東西ヘルマンの連携ラインが途切れました。
  孤立まではいきませんが、東部ヘルマンは事実上、戦線から切り離されています」

 「しかし、今や東西南の三方向から半包囲状態にある帝都に増援を望むことはできん」

 「バラオ山脈がありますが、ログAとスケールの間の山道は軍で確保するべきかと」

 「たしかに東部ヘルマンは、リーザス国境と独自に連絡線を維持する必要があります」

 「わかった。スケールを防衛するリーザス軍は、赤の第三軍と、白の第一軍か」

 「そちらに関しては、コンドラチェンコ将軍に指示を仰ぎましょう」

 西部ヘルマンに比べれば、東部ヘルマンは小康状態が続いている。
 南部および中央部の難民は、東部ヘルマンに逃げてきている。
 しかし帝都および西部ヘルマンが陥落すれば、明日は我が身だ。
 
 「シーラ大統領が、自由都市のCITYに向かわれた」

 東部ヘルマン後方司令官に全員が注目する。

 「首脳会談の行方に人類の命運が託されている。
  ヘルマン共和国が、会談のイニシアティブを取るのは難しいだろう」

 魔軍は一つの意志の下で大陸全土に侵攻してきている。
 新たな魔王が、魔人を統べたのだろうか……。
 果たして人類は魔軍に対して一つの旗の下に集うことができるのか。
 
 例えば、法王が聖戦を発令し、AL教の下で一つになるのか。
 例えば、魔王と倒せるいう勇者が、姿を現すのだろうか。
 魔剣カオスの使い手、聖刀日光の使い手であれば魔人を倒せるとはいうが……
 彼ら一個人の下に、各国の権力者たちが集うことは可能なのだろうか。

 「諸君にとっては、雲の上の人たちの話かもしれん。
  しかし人類の命運をかけた会談だ。結果がどうであれ決定には従って貰う」

 最悪の場合はヘルマンが他国の下に着くようなことがあったとしても……
 それは人類が仲違いして決裂するという最悪の結果よりもマシなのだろう。
 もはや国同士の面子で争っている場合ではないと誰もが感じていた。


一方、その頃――

 「おい。シィル、ジャハルッカスの爪は記念に宝物庫にでも収めとけ」

 「ランス様ぁ、これは爪じゃなくて、もう右手丸ごとですよー」

 ランスとシィルの主従が、ランス城の玉座の間にやってくる。

 「ん? なんだぁ? 城の全員で出迎えて」

 そこにはメイド長のビスケッタをはじめ多くの人が集まっていた。

 「ランス! ようやく戻って来たのか!」

 警備隊長のサナーキアが城主に声をかける。

 「ランスお兄様っ、お久しぶりです!」

 「あれ? 香ちゃん?」

 「わあ、お久しぶりです、香姫様!」

 「しかし、何故ここに?」

 「とても大事なお願いがあって参りました」

 「あのー、実は何があったか、私たちまだサッパリで……」

 「そうだ、クルックー。いい加減に説明しろ説明!」

 「そうですね……では、私の口から説明させて頂きます。
  今、人類国家は滅亡の危機に瀕しています」

 「……えいぷりーるふーる?」


*ゲームデータ*

時系列 ランスⅩ Trun1 準備クエスト開始前(ランスⅩのOPあたり)
プレイヤー ランスX初プレイ(発売前プロモーションムービーを思い出して盛り上がって来たとこ)

今回のワンポイント

ボスキャラ撃破のドロップアイテム(今回でいえばジャハルカッスの爪など)は、入手しない人もいるかも?
魔人を撃破した証であるメダルも同様。それよりもキャラのカードを選ぶ人もいるはず!
メダルは他に比べて増加し難い主人公陣営の戦力を上げる貴重なアイテムです。
メダルを集めないと唯一無二の主人公ランス君の攻撃力(AT)が、後半低くて苦労することもあるそうです。
とりあえず私は記念品とかは素敵なので、初回プレイ時から何も考えずに集めていました。
また三週目くらいからは、ランス城のメイド軍団のランクなども意識してあげるようにしていました。 
 

 
後書き
東部ヘルマンの後方支援司令部に集まる情報は正しいものとは限りません。
ときには意図的にランスに集まる情報とは食い違うようなことも書いています。

ランスに集まる情報は、世界トップクラスのものです。
例えばAL教法王クルックーは、魔人ケイブリスが魔軍を率いていると明言しています。
ただ開戦当初で、魔軍の総大将が人類全土に知れ渡っていたとは思えません。
けーちゃんは臆病だけど、自己顕示欲もあるから、魔軍が吹聴してた可能性はある。

ちなみ第二次魔人戦争の開戦はLP7年9月17日。
その二週間後の10月頭にランス城にクルックーに案内されたランス一行が戻って来ています。 
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