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客の止め方

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第一章

               客の止め方
 駒川かすみはまだ中学生だ、だが実家のカラオケボックスで働いていてよく酔ったりして暴れている客を止めている。それは学校でも同じでだ。
 喧嘩の仲裁は得意中の得意だ、それは女子の間だけでなく異性の男子生徒に対してもだ。それも一瞬で止める。
 それでだ、ある日友人達に学校で聞かれたのだった。
「いつも喧嘩とか暴れる子止めてるけれど」
「何で出来るの?」
「自分よりずっと大きな男子生徒も止められし」
「あれコヅあるの?」
「コツっていうか簡単よ」
 かすみは友人達にあっさりとした口調で答えた。
「暴れてたり喧嘩してる人止めるのは」
「ってどうするのよ」
「自分よりずっと大きな男の子止めるの」
「お客さんだって止めてるんでしょ」
「大人の人の」
 中学生だがというのだ。
「ああいうのどうして出来るのよ」
「普通に凄い特技よ」
「かすみちゃん今あっさり言ったけれど」
「簡単だって」
「いや、お祖母ちゃんに教えてもらったけれど」
 やはりあっさりと言うかすみだった。
「人間って急所あるじゃない」
「急所?」
「眉間とかみぞおちか?」
「男の子のあの部分とか」
「そういうところなの」
「そうしたはっきりした場所じゃなくてもいいの」
 そうしたところを攻撃せずともというのだ。
「ツボよ」
「ツボなの」
「ツボを攻めればいいの」
「そうすればいいの」
「そう、暴れてる人の後ろとかにそっと寄って」
 そしてというのだ。
「後ろから横でもいいの、そのツボをね」
「攻めるの」
「そうすればいいの」
「それだけでいいの」
「当身ね、そこを拳で打てば」
 それだけでというのだ。
「どんな暴れてる人も動き止まるから」
「当身ってそんな技あるの」
「そうだったの」
「お祖母ちゃんが言うには柔道である技で今は教えてないらしいけれど」
 そうした技がありというのだ。
「それでね」
「そこを押してなの」
「それでなの」
「暴れてる人止められるの」
「喧嘩だって」
「暴れたりしてる人って周り見えてないから」
 このことについても話すかすみだった。
「それでね」
「そこを衝けるの」
「周りが見えていないから」
「それでそっと近寄って」
「それでなのね」
「そう、ポンと打つの」
 そのツイボをというのだ。
「そうすればね」
「相手の動きが止まるから」
「だから喧嘩や暴れてるお客さん止められるの」
「それが出来るの」
「そうなの、もっともここで大事なのはね」
 かすみは友人達に真面目な顔でこうも話した。
「相手の動きをよく見て自分が巻き込まれないこと」
「殴られたりするから」
「それでなのね」
「そう、もうそっと一気に近寄って」
 そしてというのだ。
「ツボを打つのよ、それかね」
「それか?」
「それとっていうと」
「例えば相手の足を踏んだり膝の裏をかっくんってやったり」
 こうしたこともというのだ。 
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