| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

レーヴァティン

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第四十六話 忍の者その九

「見掛けた幼女に手を出して終われば一家ごとな」
「シベリアか」
「そこに送って終わらせてた」
「屑と呼ぶにも値しない屑だな」
「それがしはそんな奴やないからな」
 そこは力説する耕平だった。
「ほんまにな」
「そうか」
「ああ、それにおなごはかみさんだけや」
「主人にはいつも大事にしてもらってます」
 その妻も子供の声で言う。
「起きてから寝るまで」
「そや、おなごは一人でええ」
 こうまで言う耕平だった。
「こっちの世界ではな」
「本気で愛し合っているでござるな」
「そや、こんな別嬪さんおらんからな」
「そしてその奥方にでござるな」
「今暫しの別れや」
 それを告げてと智に話した。
「そのうえでや」
「今からでござるな」
「自分等と旅に出るな」
「ではでござる」
「ずっと待ってるで」
 耕平の妻はまた夫に笑顔で言った。
「帰って来るまでな」
「ああ、時々帰ってこられたら帰るからな」
「その時はまたな」
「美味いもんも作ってくれ」
「そうするで」
 笑顔で一時の別れの挨拶をしてだった、耕平は英雄達との戦いの旅に入った。こうして英雄は六人目の仲間も加えたのだった。
 ここまで話してだ、英雄は久志に問うた。
「どうだ」
「そっちも色々あったんだな」
「そうだ、話した通りな」
「成程な、こっちと一緒だな」
「巨人はこちらの方がよく出ている感じだな」
「ああ、そうだな」
 久志はこのことにすぐに頷いて応えた。
「話を聞いてるとな」
「多少だがこちらの方が多い」
「何なんだあいつ等」
 久志はその巨人達について首を傾げさせてこう言った。
「いつも急に出て来てな」
「急に暴れ回ってな」
「すげえ迷惑なんだけれどな」
「おそらく海の魔神と関係がある」
「そうだよな、やっぱり」
「そこは察しがつくが」
 しかしとだ、英雄は久志にさらに話した。
「確かな証拠はないし具体的にな」
「どういった関係があるかはな」
「それはわからないからな」
「はっきりとは言えないな」
「どうもな」
「その謎はこれから解くしかないか」
「そうなるな、そしてそちらの旅はどうなった」
 英雄は久志の旅のことを問うた、自分の話の後で。
「一体」
「ああ、九人目まで入ったぜ」
「そうか、ではその話をしてもらう」
「それじゃな、しかしここはな」
 久志は今二人がいる周りを見た、そうしてこう英雄に言った。今二人がいるのはキャンバスの中庭のベンチである。
「寒いからな」
「だからだな」
「どっか建物の中に入ろうぜ」
 暖かい場所に行こうというのだ。
「そうして話をしような」
「そうだな、それがいい」
 英雄も久志の提案に同意して頷いた。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧