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儚き想い、されど永遠の想い

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48部分:第五話 決意その一


第五話 決意その一

                   第五話  決意
 義正はだ。決意した。そうしてだった。
 ある日兄達と共にいた。仕事の合間に昼食を共に採っていたのだ。
 そこでだ。彼は言うのだった。
「一つ決めました」
「一つ?」
「一つとは?」
「はい、決めました」
 彼はだ。こう言うのだった。
「恋をするのならあくまで一途にと」
「言うものだな」
 それに最初に応えたのは。彼から見て左手にいる兄だった。やはり背が高く均整の取れた身体つきをしている。優雅な細い顔をしている。何処か中性的だ。 
 その彼がだ。こう言うのである。
「義正も恋について話すようになったか」
「そうだな」
 そして義正から見て右手にいるもう一人の兄も頷いた。こちらもやはり背が高い。ただ彼はわりかし恰幅のよい身体つきと顔立ちをしている。
 その彼もだ。義正の言葉に頷くのだった。
「恋か」
「そうですね。義正も成長したと言うべきでしょうか」
「そう思う」
 右手の兄が左手の兄の言葉に頷いた。そしてだ。
 彼はだ。まずはその左手の兄の名前を言った。
「それで義智」
「何でしょうか、義愛兄さん」
「その御前だが」
「私ですか」
「御前はもうすぐだな」
 こう話すのだった。
「そうだな。結婚は」
「はい、そうです」
 その通りだとだ。義智は頷くのだった。
 そのうえでだ。彼はこう長兄である義愛に述べた。
「あの方と。もうすぐ」
「そうだな。私もだ」
「兄さんはもう一年ですね」
「一年になる」
 また言う彼だった。
「思えば短いものだった」
「そうですか。短いですか」
「結婚するまでは長い」
 それまではと述べる義愛だった。
「ただ、結婚してからはだ」
「短いですか」
「そうだ、短い」 
 彼はまた言った。
「非常にな」
「私は今とても長く感じます」
 義智は考える顔になって述べた。そしてだ。
 肉、よく焼けた牛肉をナイフで切ってそのうえでフォークで口に運んでそうして食べながらだ。彼はまた長兄に対して話すのだった。
「どうも。果たして式の日まで辿り着けるのかと心配になる程に」
「しかし辿り着くことはできる」
「できますか」
「そうだ、辿り着くのだ」
 義愛はこう最初の弟に話す。
「だから。安心していいのだ」
「頭ではわかっているのですが」
「それでもだな」
「はい、どうしても」
 また言う義智であった。表情も不安げである。
 その不安げな顔でだ。彼は今は兄の顔を見て話すのだった。
「そこまで辿り着けるとは」
「考えられないか」
「夢の様です」
 今度の彼の言葉はこうしたものだった。
「本当に。それは」
「そうかもな。しかしだ」
「それでも辿り着けるのですね」
「安心していい」
 義愛は微笑んで述べるのだった。
 
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