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八条学園騒動記

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第五百五十七話 黒い肌その三

「手入れも大変だろうしね」
「髪の毛と一緒で」
「例えば古代メソポタミアのね」
「神様のお髭ね」
「王様とか生やしていた」
 セドリックは具体的な例を話した。
「ああした長く伸ばしてカールにしたり焼きゴテいれて癖を付けた」
「あれパーマよね」
 コゼットは今の時代の言葉で述べた。
「それよね」
「今で言うとそうかな」
「お髭にそうするファッションだったのね」
「そういうのもね」
 面倒だというのだ。
「髪の毛ならともかく」
「お髭だと」
「するつもりはないよ」
 セドリックはあらためて言い切った。
「生やすつもりもないし」
「そうなのね、まあね」
 コゼットはセドリックのその顔を見て言った。
「あんたにはお髭はね」
「似合わないよね」
「ええ、そう思うわ。だってセドリックね」
 その顔をさらに見つつ彼自身に話した。
「中性的な顔立ちだから」
「女の子みたいな」
「背は伸びたけれど」
 見れば一八〇を超えている、もう一八五があるだろうか。
「顔立ちはね」
「女の子みたいだね」
「だからね」
「お髭を生やしてもだね」
「口髭でも顎髭でもね」
「頬髭も?」
「ああ、もみあげのね」
 頬髯と聞いてすぐにわかったコゼットだった。
「あのお髭ね」
「あれもだよね」
「あのお髭もね」
 セドリックの顔の耳の前のところを見つつ話した。
「あんたの顔立ちを見てると」
「似合わないんだ」
「そう思うわ」
「実際になんだ」
「どうもね、何ていうか褐色のお肌にも」
 コゼットは再び肌の話をした。
「お髭ってね」
「似合わないかな」
「お髭の色にもよるけれど」
「黒いお肌で黒いお髭とか」
「目立たないでしょ」
 黒と黒でというのだ。
「どうしてもね」
「そうだね、確かに」
「あんたは金髪だけれど」
 金髪に褐色の肌がよく似合っている、混血が進んでいる連合ではよくある組み合わせでコゼットにしてもそうだ。
「お髭もやっぱり」
「いや、お髭はね」
「違うの?」
「金色になる場合もあれば」
 髪の毛と同じ様にだ。
「黒くなる場合もあるよ」
「そうなの」
「お髭は何か色が濃くなるみたいなんだ」
 髪の毛よりもというのだ。
「それでね」
「黒くなる場合もあるの」
「髪の毛とは違ってね」
「じゃあ余計にね」
 褐色と黒でというのだ。
「お髭を生やしても目立たなくて」
「生やさない方がいいんだね」
「それに何かセドリックってお髭薄そうね」
 生えてもというのだ。 
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