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真田十勇士

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巻ノ百二十八 真田丸の戦その六

「撃て!」
「撃て!」
 命が復唱されてた、そうして。
 真田丸から鉄砲が一斉に放たれた、そのうえで空堀を進む兵達を撃った。忽ちにうちに多くの兵達が倒れた。
「くっ、撃ってきたぞ!」
「鉄砲じゃ!」
「弓矢も放って来たか!」
「何という数じゃ!」 
 その鉄砲も弓矢もというのだ。
「すぐにまた撃って来たぞ!」
「また鉄砲じゃ!」
「三段撃ちか!」
「元ウ府様のそれか!」
「そうじゃ、鉄砲を撃つ列と込める列に分けてじゃ」
 それも何段とだ。
「そうして撃っておる、そして矢も入れればな」
「それで、ですな」
「こうして続けて攻められる」
「だからいいですな」
「殿が真田丸で考え出された考え方」
「それがこれですな」
「ただ撃つだけではない」
 まさにというのだ。
「こうして弓矢と合わせてじゃ」
「何段と撃ち続け放ち続け」
「弾幕に矢の雨ですな」
「それでこうして攻撃を加えれば」
「どれだけの大軍でも」
「防げる、その為に壁の後ろに路を造りそうして幾重にも鉄砲や弓矢を撃てる様にして櫓も多くしたのじゃ」
 その様な造りにしたというのだ。
「この様にな、ではな」
「次はですな」
「我等ですな」
「我等の出番ですな」
「次は」
「そうじゃ」
 後ろに控える十勇士達に述べた。
「その時じゃ」
「わかりました」
「ではです」
「これより真田丸から出ます」
「そしてです」
「思う存分暴れてきます」
「その術ふんだんに使え」
 彼等のそれぞれのそれをというのだ。
「そうしてじゃ」
「敵を散々に乱してですな」
「徹底的に叩く」
「誰が見ても負けの様に」
「そうせよというのですな」
「その通りじゃ、では行くのじゃ」
「わかり申した」
 十勇士達はこう答えてすぐにだった。
 姿を消した、そして次の瞬間にはだ。
 幕府の兵達が次々と薙ぎ倒されていった、不意に霧が起こり彼等を包み込んだかと思うと次の瞬間にだ。
「ぐわっ!?」
「がt!?」
 兵達が倒れていっていた。
「な、何じゃ!?」
「伏兵か!」
「伏兵が来たのか!」
「左右から攻めてきておるぞ!」
「敵がうって出て来たのか!」
 こうした声があがった。
「まさか!」
「いや、門は開いてはいないぞ!」
「大坂城の門は何処も!」
「では何処から来た!」
「何処から攻めてきたのじゃ!」
 幕府の兵達は戸惑った、だがその戸惑いの間にもだ。
 真田の者達は攻める、霧を出した霧隠は十勇士の他の者達に言った。
「これでじゃ」
「うむ、後はな」
「皆で攻めようぞ」
「十鞍の幻術も効いておる」
「ではな」
「ここからさらに攻めようぞ」
「それぞれの術でな」
「ではじゃ」 
 由利は早速だった、手にしている鎖鎌を振り回して混乱している敵の軍勢の中に跳び入ってそのうえでだった。
 右手で振り回す分銅を投げた、すると分銅は幾つにも分かれその一つ一つが敵兵達の頭を砕き左手の鎌が近くの敵を切る。 
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