オズのトト
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第十幕その四
恵梨香はすぐにボタンに答えました。
「この熊がね」
「そうなんだね」
「ここは北海道の山だから」
「ええ、そうよ」
その熊が答えてきました、かなり大人な感じの女の人の声です。
「私はヒグマよ」
「そうなのね、やっぱり」
「この山に住んでいるのよ」
「この山が北海道の山だから」
「そうよ」
四つん這いの姿勢で皆の前にいてそこから言うのでした。
「だからこの山にいるのよ」
「そうなのね」
「それでね」
ヒグマは恵梨香にさらに言ってきました。
「あんた達はこの山にどうして来たのかしら」
「この山に誰がいるのか、どんな山か調べに来たの」
ドロシーが答えました。
「それで来たの」
「そうだったのね」
「ええ、そうなの」
「そう言うあんたはドロシー王女じゃない」
ヒグマはここでドロシーに気付きました。
「王宮から来たのね」
「そうよ」
ドロシーは微笑んでヒグマに答えました。
「飛行船でね」
「成程、そうだったのね」
「別に悪気はないから」
「そうよね、それならね」
「それなら?」
「これからもね」
ヒグマは明るい声になってドロシーにお話しました。
「回っていってね」
「そうしていいのね」
「是非ね」
笑顔で言うのでした。
「楽しんでそうしてね」
「ええ、わかったわ」
ドロシーはヒグマの言葉にこりと笑って応えました。
「それじゃあそうさせてもらうわね」
「そうしてね、じゃあ私はこれでね」
「何処に行くの?」
「美味しい山菜が一杯ある場所があるから」
それでというのです。
「そこに子供達を連れて行くの」
「それで家族で食べるのね」
「旦那は岩魚や鮭を見付けてるから」
「そちらもなのね」
「一緒に食べるわ」
そうするというのです。
「家族皆でね」
「仲良くなのね」
「そうするわ、じゃあね」
「ええ、またね」
「会いましょう」
こうお話してです、そしてでした。
ヒグマは皆の前から去ってでした、そのうえで。
ドロシーはヒグマを見送った後で、です。皆にこんなことを言いました。
「一旦ティータイムを取って」
「それで、ですね」
「あらためてですね」
「そう、また回りましょう」
山の中をというのです。
「そうしましょう」
「わかりました、それじゃあ」
「そうしましょう」
皆も応えてそうしてでした。
実際にティータイムの時間を取ってからあらためて山の中を回りました。そこで皆は山の中にある湖を見ましたが。
その湖を見てです、恵梨香がこんなことを言いました。
「クッシーいるかしら」
「クッシー?」
「あの北海道にいるっていう恐竜?」
「その恐竜がこの湖にいるか」
「そう思ったの」
「そうなの、まあね」
ナターシャ達に応えて少し笑顔で言った恵梨香でした。
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