儚き想い、されど永遠の想い
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443部分:第三十四話 冬の花その七
第三十四話 冬の花その七
「宜しければですが」
「はい、それでは」
「お願いします」
二人は笑顔でだ。婦人の心を受けた。そのうえでだ。
また茶を飲むのだった。心を。
屋敷には暫くいてだ。菊に茶を楽しんだ。それからだ。
三人は屋敷をだ。婦人に別れの挨拶をしてから去った。それからだ。
義正は帰り道にだ。真理にだ。こう言うのだった。
「冬ですがとても」
「そうですね。何か」
「暖かいですね」
「そう思います」
二人の中には今は冬の寒さはなくだ。それがありだった。
義正はだ。真理に静香に言ってだ。真理も応えたのだ。
「しかも清らかで」
「冬の清らかさに加えて」
「暖かさもですね」
それもあるのだった。
真理はその暖かさを感じながらだ。我が子、己の背中にいる義幸を見てだった。
そうしてだ。また言うのだった。
「冬の中でも暖かさがあって」
「清らかさも」
「何かが違いますね」
「はい、本当に」
二人で見ていってだ。その中でだった。
また茶を飲みだ。真理は義正も見てだ。
そのうえでだ。彼にはこう言うのだった。
「若し。義正さんと御会いしなかったら」
「このこともですね」
「見られず、わかりませんでしたね」
「はい、そうでした」
義正との出会いはこの冬の中の清らかさと暖かさもだった。
真理に教えてくれた。そしてなのだった。
その中にいてだった。真理はだ。
義正にだ。こんなことを言ってきた。
「今からですけれど」
「何処に行かれますか」
「百貨店に行きませんか」
こう義正に提案したのである。
「あそこに」
「いえ、それはです」
だが、だった。義正はだ。
その真理に顔を向けてだ。こう言うのだった。
「止めておきましょう」
「私の身体のことがあるからですね」
「はい、それは止めておきましょう」
真理の身体を気遣いだ。そして告げたである。
「それは是非です」
「そうですか。百貨店の中は」
「人ごみの中はよくありません」
また言う義正だった。このことをだ。
「人ごみもまたいいものですが」
「それでもですね」
「はい、それに若しものことがあれば」
喀血、それだった。
「周りを驚かせてもしまいますから」
「気をつけないことは多いですね。やはり」
「そうです、残念ですが」
そのことはまさにだった。
真理は義正のその言葉に頷きだった。そのうえでだ。
百貨店を諦めた。しかしだ。
義正に対してあらためてだ。こう言うのだった。
「では今は」
「どうされますか」
「屋敷に戻り音楽を聴きましょうか」
「では何を聴かれますか」
「心が落ち着くものを」
それをだというのだ。
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