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麗しのヴァンパイア

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第十三話

               第十三話  静かな時
 小田切君は平和な状況にある神戸について違和感を以て言った。
「何かおかしいね」
「おかしいって?」
「平和なのがかよ」
「うん、博士は相変わらずだけれどね」
 タロとライゾウに答えた、今は研究所の中は彼等しかいない。博士はカイザージョーを出してアラブのテロリスト達を攻撃しに行っていていない。
「他所の国まで行ってね」
「うん、殺戮だね」
「それを楽しんでるよな」
「そうしてるけれどね」
 博士はというのだ。
「まあ今は日本にいないけれどね」
「博士以外は平和で」
「それでっていうんだな」
「まずはいいとして」
「まあいないならね」
「それだけで平和だよ」
 実際にとだ、二匹も博士に答えた。
「博士については。それは置いておいて」
「ああ、最近の神戸かよ」
「何か不吉な気配が明らかにして」
 ライゾウに自分が飲むお茶を煎れつつ話した。
「博士もそんなこと言ってたのに」
「それでもだよな」
「これがね」
 タロも言ってきた。
「平和なのがだね」
「おかしいね」
 どうにもというのだ。
「雰囲気的に」
「嵐の前ってやつか?それともな」
 ライゾウはその小田切君に怪訝な顔で話した。
「おいら達には関係ない」
「それで平和だっていうのかな」
「平和ってそんなものだろ」
 ライゾウは右の前足を小田切君を指し示す様にして言った。
「結局な」
「自分達が平和で危害が及ばないなら」
「平和だろ」
「自分の主観だっていうんだね」
「そうしたものだろ」
「確かにね」
 タロもライゾウのその言葉に頷いて小田切君に話した。
「平和はそうしたものだね」
「だから僕は今平和って感じてるのかな」
「そうじゃないかな、実際にね」
 さらに話すタロだった。
「僕達は平和だよ」
「何もないから」
 小田切君も応えた、そうしてさらに言うのだった。


第十三話   完


                 2018・1・11 
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