八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第百四十四話 お盆の後の海その十
「結構後になって移住したし」
「ああ、千年とか五百年位前にですね」
「移住してきたから」
「南洋の人達がですか」
「そう言われているし」
「オーストラリアにはですか」
「そう、階級とか言ったら」
エリザさんは僕に淡々と話してくれた。
「意味がないから」
「移住してきた人の国ですか」
「殆ど完全に」
「そうなんですね」
「そう、そして」
さらに言うエリザさんだった。
「有袋類と蛇と鮫に階級はないから」
「その三つ言います?」
「あと羊」
これもというのだ。
「人よりずっと多い」
「そんなに多いんですか」
「羊に階級ないから」
「いや、群れでリーダーいますけれど」
「それでもいない」
「そうですけれど何か」
動物の話をされるとだった。
「人間に階級があるのは」
「私はそう思うから」
「リーダーはいても」
「そう、階級は意味がない」
「そうしたお考えですか」
「私としては」
そうだという返事だった。
「スポーツも誰がしてもいい」
「オーストラリアでもそうした考えですか」
「少なくとも私はそう」
「日本と同じですか」
「ラグビーも水泳もテニスも野球も」
全部、というのだ。
「誰がやってもいい、ただ」
「ただ?」
「どの競技も最強になりたい」
先の三つだけでなく、というのだ。
「野球も」
「野球もですか」
「どの国よりも強くなりたい」
「そういえばオーストラリア野球も」
「強い」
自信を以ての返事だった。
「そしてもっともっと強くなりたい」
「だからですか」
「今以上に強くなって」
そうしてというのだ。
「WBCでも優勝」
「それは」
僕は日本人としてエリザさんに反論した、自分でも少し真剣な顔になっているのがわかった。
「ちょっと」
「負けていられない」
「はい」
その通りだと答えた。
「やっぱり優勝はです」
「日本が」
「しますよ」
次のWBCでもと答えた。
「絶対に」
「もう二回優勝しているのに」
「もっとです」
こうエリザさんに返した。
「優勝しますよ」
「その意気なら」
エリザさんも受けて立って僕に応えた。
「負けない」
「そうきますか」
「オーストラリア人の力の源は羊」
その肉だというのだ。
「ラムやマトンの恐ろしさ見せてあげる」
「羊なんですか」
「そして牛も」
オージービーフも忘れていなかった。
「たらふく食べてるから」
「強いんですか」
「そう」
はっきりとした返事だった。
「強い、しかも」
「トレーニングもですね」
「大自然の中で駆け巡っているから」
オーストラリアのその中でというのだ。
「強い」
「野生児ですか?」
「ワイルドな国だから」
「それで、ですか」
「よく食べてよく動き回って」
そうしてというのだ。
「スポーツも強い」
「そうしたお国柄ってことですね」
「あらゆるスポーツを制覇するから」
ラグビーとかだけでなく、というのだ。
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