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とある3年4組の卑怯者

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118 投票

 
前書き
 何をしても改善の見込みがない迷惑者・堀内。丸尾ら学級委員隊は堀内の行動をどう是正させるか相談する。そして皆が迷惑している事を解らせるためにクラス毎に投票を行う事にしたのだった!!

 たかし君を藤木、みどりちゃんに次ぐ第3の主人公にしたい・・・。 

 
 藤木はさくら家を後にし、みどりとも別れて家に帰った。藤木はまる子に堀と交流を持った事で鼻を伸ばした事を疑われた事がどうしても頭から離れなかった。
(確かにあの時は堀さんに心変わりしようと考えた。でもリリィに笹山さんと仲直りした今、堀さんまで鼻を伸ばすなんてできないよな・・・)
 藤木はリリィに笹山と仲直りできたはいいが、だからと言って堀を捨てる事も卑怯かと考えた。


 翌日の朝の会、丸尾は皆に紙を配った。
「皆さん、本日はズバリ、2組の堀内君の行いについての投票を行いたいと思います!彼の行いについて迷惑だと思う方はマルを、そうでない方はバツを書いてこの箱に入れてください!!」
(う・・・。丸尾君もなんでこんな事するんだろう?堀内君には皆迷惑掛けているのを分かっているのに・・・)
「藤木君、君もしかしてこんな事しても意味ないって思っているんじゃないのかい?」
 藤木は藪から棒に永沢に話しかけられた。
「あ、いや、そんな事ないさ!」
 藤木は慌てて誤魔化した。藤木は堀内の行動には勿論迷惑だと思っているのでマルを書いて投票箱に入れた。彼の行動など容認できるわけがない。授業妨害を平気で行い、笹山を怪我させ、球技大会で自分勝手なプレーをして負ければ他人のせいにして、たかしを利用して不幸の手紙を出して自分を干した男の行為など藤木は死んでも許せなかった。だから嘘をつかずマルと書いた。
「皆さん、ありがとうございました!!」
 丸尾は自分の席に戻った。

 休み時間、学級委員隊は集合した。それぞれの投票箱を調べたが、どのクラスの箱にも全員マルと書いてあった。
「やっぱり予想した結果になったね」
 橿田はお見通しだと思った。
「でもこれで皆同じ気持ちだと言う事が分かったね。これで堀内君をあっと言わせられるかもしれない。皆の前で言えば何とかなるよ」
 鹿沼は案じた。そして言葉を続けた。
「そうだ、横須君。この事を堀内君のお母さんにも言ってやればあいつもさらに大目玉だろうな」
「そうだね。そうしてみるよ」
「ズバリ、ワタクシの作戦は成功でしょう!」
 こうして学級委員隊は三年の先生方を集めて結果を報告した。さらに横須は放課後、この結果の経緯を堀内の母親に電話で伝えた。

 藤木は家に帰り、郵便受けを開けると自分宛の手紙が二通届いていたのを発見した。一通目はこの前出した手紙に対する堀からの返事だった。そしてもう一通目はスケート協会からだった。藤木はまず堀からの手紙を開けて読んだ。

 藤木君

 中部大会おつかれさまです。金賞おめでとう。私はその時吉川さんと転校前に住んでいた家に行っていました。前の友達に会えて楽しめたわ。次は全国大会ね。頑張ってください。藤木君ならきっと世界大会に行けるわ。時間があればまた一緒にスケートしに行こうね。

 堀

 藤木は堀の手紙を読んで涙が出そうになった。
(堀さん・・・。僕は一度君を好きになってしまった・・・。でも僕には他に好きな人が二人いるんだ・・・。もし僕がその二人どちらからも嫌われたら、僕は君を選ぶよ・・・。ごめんよ、こんな卑怯な事を考えて・・・。でも僕は君の恩を忘れないよ・・・)
 そして藤木はスケート協会からの手紙の封を開けた。予想の通り全国大会の要項が書かれてあった。場所は岩手県の盛岡で行われる事,これまで男女別で行われていたが日程は異なるものの男女双方を一括して行う事、そしてこの大会で銅以上を受賞すれば世界大会へ行ける事が分かっていた。また、その世界大会についても僅かな詳細が記されていた。場所はカナダのバンクーバーであり、万が一のためにパスポートを発行して貰う事が必要だとあった。
(パスポートか・・・、念のため父さん、母さんと相談しておこう・・・)
 藤木は世界一の目標達成に近づいていく事を実感すると共に外国へ行く事にやや不安を感じるのだった。

 夜、藤木は両親にパスポートの相談をした。
「そうだな、茂なら世界大会にも行けそうだからな、用意しないとな」
「そうだね、念のため用意しないとね」
 両親は快諾してくれた。
「ありがとう、父さん、母さん・・・」


 翌日、一時間目は3年生の全クラスが体育館に集合となった。学級委員隊が前に立っていた。丸尾が進行を務めた。
「皆さん、今回お集まりしていただいたのは昨日各クラスで投票を行いました堀内君の行いが迷惑かどうかについての結果です!どのクラスも皆迷惑だと感じています!堀内君、ズバリ起立するでしょう!!」
「ああ!?めんどくせえな!!」
 堀内は起立した。
「貴方はズバリ、もう二度と授業を真面目に受けると誓うでしょう!!」
「うるせえ!!」
「『うるせえ!!』って事は貴方は理解した事で宜しいんですね!?」
「うるせえ!!」
 丸尾の言葉にも堀内は同じ言葉しか返さない。横須も続いた。
「君はこの事はお母さんから聞いただろ?お母さんから何て言われたんだよ?」
「うるせえ!!」
「答えろ!!」
 2組の担任が言葉を発した。
「堀内君、貴方はまだ分からないのね。学年全体、それからお母さんにまで迷惑を掛けているでしょ?いい加減に自分のやってる事反省しなさい!!」
 堀内は昨日の投票の事を電話で知った母親に叱られた。しかし、それでも口で「はい、気を付けます」だの「反省します」とかは言ったが、口だけで、結局は何も治そうとしていない。今までだってそうだ。母親に授業を監視させたり、児童相談所に通わせても何も変わらない。
「何だよ!別にどうでもいいだろ!余計なお世話だな!!」
「はい!」
 たかしが挙手した。
「西村君」
「僕は堀内君に脅迫されていろいろないじめを命令されました。堀内君はその事すらまだ僕に謝っていません!堀内君はどう思っているのか聞きたいです!」
「わかりました。堀内君、あなたはどうおもっているのですか!?」
「うるせえ!!そんなのテメエらが俺をコケにすんのがワリいんだ!テメエもクソのくせしてなめた口聞くな!」
 しかし、たかしは引き下がらない。
「それならなんで授業を真面目に聞かないんだ!」
「うるせえ!!めんどくせえんだよ、授業なんて!」
 藤木はたかしがこんなに牙を向いている様子は初めて見た。やはり便利道具のように利用された恨みがあるのだろうか、それともいじめられっ子だったから強くなろうと決心したのか、前よりも強くなっている気がした。
「面倒くさいのかい?なら、学校に来るなよ!!」
 たかしは怒鳴った。
「うるせえ!!」
 この集会は堀内とたかしの口論へと化していきいそうになったのか、丸尾が止めた。
「西村君、もういいです、お座りください。堀内君、反省する気ありますか!?」
「うるせえ!!」
「『うるせえ!!』じゃなくて答えなさい!!」
 戸川先生が止めた。
「もういいですよ、皆さん、この事は後で先生達で話し合いますので今日はこれで解散にしましょう」
 こうして各クラスは解散した。

 堀内については暫くの間学校に来ないでくれと母親に連絡を入れた。結果、学級委員隊は彼を懲らしめる事はできたかは微妙だが、学校にいても迷惑なだけなので困る事はなかった。

 藤木は永沢と今日のたかしについて話していた。
「今日の西村君凄い気が強かったね」
「ああ、やっぱり恨みがあったんだろ。彼は堀内に利用されていたんだっけね」
「うん、僕に不幸の手紙を出したのも、笹山さんの上履きに落書きしたのもあいつが西村君にやらせたんだ」
「そうか、それは最低だね。藤木君以上に卑怯だね」
 藤木は永沢から相変わらず卑怯と思われている事に動揺したが、それでも言葉を続ける。
「うん、加えて彼は迷惑者だよ」
「まあ、君の言う通りだね・・・」

 たかしはまる子とたまえから声を掛けられていた。
「たかし君、今日はすごい気が強かったね。あの堀内に文句を言うなんて」
「うん、凄いカッコよかったよ」
「ありがとう、まるちゃん、たまちゃん・・・。僕はあいつにタロを殺されそうになった事があるし、それで僕はあいつがどうしても許せなかったんだ」
「たかし君・・・」
「そうだ、今日は二人とも僕の家においでよ。タロと遊んであげるよ」
「え、いいの?ありがとう~。行こう、たまちゃん!」
「うん、そうだね!」
 その後たかしはまる子とたまえに自分の犬のタロを見せ、共に散歩したのだった。

 横須と南江は他のクラスメイトと共に下校していた。
「あれで堀内も分かるといいんだけど・・・」
「いや、また口約束だけなら簡単にできるさ。またあいつはまたやるかもしれない。今の学年全体の問題はこの堀内の問題だね。また僕達学級委員隊が動かなければならないだろうな・・・」
 横須は堀内に危惧しなければならないと思うと荷が重く感じるのだった。 
 

 
後書き
次回:「復讐」
 1組の生徒に因縁をつけられたみどりを庇おうとした堀。しかし、その1組の生徒達はかつて泣き虫で嫌われていたみどりの味方になる堀が気に食わずある事を計略する・・・。

 一度消えた恋が蘇る時、物語は始まる・・・!! 
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