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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第百四十四話 お盆の後の海その二

「親御さんが」
「そう、アボリジニー」
 だからだというのだ。
「それで精霊達も」
「確か蛇の精霊達でしたね」
「虹蛇」
 その蛇の精霊達の呼び名も教えてくれた、オーストラリアの原住民であるアボリジニーの人達の信仰はシャーマニズムで蛇の精霊である彼等が有名だ。
「雨も気候も司っている」
「そうでしたね」
「その蛇達の中には運命を司っている蛇もいて」
「その蛇の力かな」
「そう思う」
 それでというのだ。
「虹蛇の力」
「凄い蛇なんですね」
「神様だから」
「精霊じゃなくて」
「精霊でもあるけれど神様」
 その虹蛇達はというのだ。
「キリスト教の神様とは別の」
「違う神様で」
「そう、ただ」
「ただ?」
「私は虹蛇を信じているけれど」
 それでもとだ、エリザさんは朴訥とした感情を込めない独特の口調で僕に対してこう言ってきた。
「多くの人達は違う」
「オーストラリアの」
「そう、オーストラリアはキリスト教徒が多いから」
「あっ、そうでした」
 僕もこのことは知っていた、欧州その建国の歴史から当然ながら特にイギリスからの移民から成立している。
「実際に」
「そう、そして」
「それでですね」
「虹蛇を信じている人は少ない」
「それで運命も」
「キリスト教の神様が司っている」
 そうだというのだ。
「そう考えている人が多い」
「キリスト教の神様だけが」
「こちらも同じですわ」
 ニュージーランド人のジョーンさんも言ってきた。
「ニュージーランドも今ではクリスチャンの国ですわ」
「そうだったね」
「はい、ですから」
「元々はマオリ族だったね」
「今も多いですしハーフの方もおられますが」
 しかしというのだ。
「キリスト教の国ですわ」
「そうなってるんだね」
「はい、ただ私はそちらも否定出来ません」
 マオリ族本来の事情もというのだ。
「南洋のシャーマニズム、精霊信仰ですわね」」
「マオリ族もその南洋の民族だから」
「ありまして」
「それでその信仰をなんだ」
「キリスト教徒ですが」
 それでもというのだ。
「否定出来ないのです」
「そうなんだね」
「よくお話しましたので」
「ニュージーランドで」
「そうしていましたので」
 だからだというのだ。
「迷信だのそうした考えにはです」
「ならなかったんだ」
「はい」
 実際にというのだ。
「考えませんでしたわ、そう言いますとキリスト教も」
「迷信になる」
「そうなりますわね」
「うん、確かね」
 それこそという返事だった。
「結局のところは」
「主の復活も」
「現実に考えたら有り得ないよ」
 それこそだ、このことは考えるまでもない。 
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