| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

儚き想い、されど永遠の想い

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

399部分:第三十一話 夏の黄金その三


第三十一話 夏の黄金その三

「そうした絵の具です」
「本当に独特の絵ですね」
「そうです。そしてそのゴッホがです」
「ひまわりの絵を描いているのですか」
「それで思い出しました」
 そうだとだ。真理に話すのだった。
「私も。それでだったのです」
「私をここにですね」
「御誘いしたいと思いました」
 それが発端だった。真理をここに案内した。
「それはよかった様ですね」
「そう思います。とても」
「そうですか」
「特にですね」
 真理もだ。そのひまわり達を見ながら話す。
「お花の。黄金の中の」
「中央ですか」
「それが目に入ります」
 真理はそれを見ていた。日輪の中を。
「これも黄金なのですね」
「そうですね。そこも」
「花びら達だけでなく」
 そこも黄金だとだ。真理は言うのだった。そして義正もだ。
 その黄金を見てだ。話すのだった。
「ひまわりは夏の花です」
「夏の太陽がそのままですね」
「花になった。そうした」
「はい、それがひまわりです」
「日本にはこれまでなかったお花ですが」
 それでもだとだ。真理は今そのひまわりを見て話していく。
「何か。これからは」
「日本に入ってですね」
「日本のお花になっていくのですね」
「そうですね。明治維新から我が国に入ったものは多いのですが」
 ひまわりもまた然りだというのだ。
「どれも我が国に馴染んできています」
「西洋のあらゆるものが」
「洋食もですね」
 具体的にだ。義正はこれを挙げた。
「それもですね」
「確かに。西洋のものですが」
「日本の。我が国のものになってきていますね」
「言われてみれば」
 真理もだ。義正の言葉からそのことに気付いた。そうしてだ。
 ひまわり達を見て。話すのだった。
「ではひまわりもまた」
「馴染んでいっていますね」
「我が国は。これからは」 
 どうかとだ。また話す真理だった。
「西洋のものを次第に」
「今まで以上に」
「取り入れていってですね」
「我が国の中に入れていきますね」
「そうなっていくのですか」
「鹿鳴館がありましたが」
 義正はかつて西洋に媚びていると批判されたその建物とそこにあった文化のことを話した。
「あれもまたです」
「日本だったのですね」
「我が国の文化でした」
 そうだったというのだ。
「あれもまたです」
「日本。そうだったのですか」
「鹿鳴館のことは御存知でしょうか」
「聞いたことはあります」
 そうだとだ。真理も答えた。
「知人の方が。全く以てと」
「けしからんというのですね」
「はい、仰っていました」
「そうだったのですか」
「ですがそれでもですね」
 真理はだ。義正の話を聞いて話した。
 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧