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おぢばにおかえり

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第四十四話 二人でお外に出てその二

「嫌だから」
「そうですか」
「そう、だからね」 
 だからです。
「私は行かないからね」
「そうですか、じゃあいいです」
「最初からそう言いなさい、けれど動物園とかがいいっいうなら」
 それならとです、私はあらためて考えました。
「商店会とか?」
「あっ、いいですね」
「そうした場所でいいの」
「はい、この街のことよく教えて下さい」
 私にこう言ってきました。
「この街のことを」
「わかったわ、そこまで言うんなら」
 私にしてもそれならと思ってです。
「商店街二つあるからね」
「どっちもですね」
「行きましょう、美味しいお店一杯あるし」
「あっ、そうなんですか」
「うちは実はあまり食べに行かないけれど」
 それはどうしてかといいますと。
「天理教の教会だからね」
「あっ、教会にいますと」
「そう、家族や住み込みの人と一緒に食べるからね」
 だからです、あと練り合いや祭事の後にも皆で食べるからです。天理教の教会や布教所でではよくそうなります。
「天理教の教会ではそうなってるの」
「そうですか」
「そう、だから教会の奥さんはお料理する機会が多いの」
「じゃあお料理上手な人が多いですか」
「そうよ、阿波野君はこのことは知らなかったのね」
「そこまでは」
 知らなかったという返事でした。
「けれどこれで覚えました」
「そう、よかったわ」
「はい、ただ先輩商店街のことご存知なんですね」
「だってこの町に住んでいたのよ」
 高校に入学するまでの十五年の間です。 
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