儚き想い、されど永遠の想い
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384部分:第三十話 運命の一年その四
第三十話 運命の一年その四
「少し戸惑っています」
「そうなのですか」
「それでもこのオムレツは」
「はい、メインです」
義正は微笑んで真理に述べる。
「このメニューでは」
「そうですか。そういえば大きいですね」
「ボリュームはありますね」
「それもかなり」
あるとだ。真理も答える。
「何かステーキよりも」
「多分大きさは普通のステーキの倍です」
それだけあるというのだ。
「ですから食べがいはあります」
「ではですね」
「食べましょう」
こう話してだ。真理にそのオムレツを食べる様に勧める。かくして二人はフォークとナイフを使って食べはじめる。するとその味は。
「これは」
「どうでしょうか」
「美味しいです」
微笑みだ。真理は義正に答えた。
「それもとても」
「そうですね。ただのオムレツではなく」
「中には」
見れば切ったところからだ。トマトや玉葱を刻んだものが出て来ていた。そしてそこにはひき肉もたっぷりとあり出て来ていた。
そのオムレツを食べてだ。真理は言うのだった。
「こうしたオムレツですか」
「中に色々なものが入っているオムレツは」
「食べたことがあります」
そうだとだ。真理は答える。
「ですがそれでも」
「それでもですか」
「ここまで大きなオムレツはです」
「なかったのですね」
「そしてここまで美味しいオムレツも」
それもまた、だというのだ。
「食べたことはなかったです」
「そうだったのですか」
「美味しいです」
あらためてこう言う真理だった。微笑んで。
「やはりメインディッシュですね」
「それに相応しいですね」
「そう思います」
そのことがだ。食べてみてわかったのだ。
そうしてだ。真理は笑顔で義正にこうも言った。
「私がいなくなっても」
「それでもですね」
「このオムレツは残りますね」
「美味しいものはですね」
「はい、残りますね」
そうなるのかどうかだ。真理は尋ねるのだった。
「そうなりますね」
「そうなります」
確かにそうなるとだ。義正は真理に答えた。
「よいものは残りますから」
「そうですね。だからこそ」
「美味しいもの。素晴らしいものは残ります」
義正もそのオムレツを食べながら話す。フォークとナイフを巧みに使ってそのうえで口の中に運んでだ。そのうえで言うのだった。
「ですから」
「このオムレツを」
真理はここでこんなことも言った。義幸を見て。
「この子にも食べさせて下さいね」
「勿論です」
それは当然だとだ。義正も言う。
「そして貴女と共に。この子がいたことも」
「教えてくれるのですね」
「そうします」
「御願いします」
真理は心からだ。義正に頼んだ。
「私達が見たものも食べたものも全て」
「今感じ取っているこの子にもう一度」
「教えてあげて下さい」
そうした話もしたのだった。そうしてだ。
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