儚き想い、されど永遠の想い
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352部分:第二十七話 このうえない喜びの後でその四
第二十七話 このうえない喜びの後でその四
客も多く入っている。その中に入るとだ。
すぐにだ。店のオーナーが二人を出迎えて一礼してだ。一番いい席に案内しようとする。しかしそれはだ。義正が笑って止めた・
「いえ、そこまでは」
「宜しいのですか?」
「僕達は客として来ています」
だからだというのである。
「そうでなくとも。特別扱いはです」
「いいのですか」
「そうしたことは好きではありません」
「私もです」
義正だけでなくだ。義美もそうだと言った。
「ですから」
「普通に御願いします」
「左様ですか」
「例え誰であろうとも。流石に皇族の方々はそうはいきませんが」
国家元首の方々についてはだと。ここではユーモアを交えてだった。
「しかし僕にはです」
「私もです」
「特別扱いはです」
「それはしないで下さい」
「わかりました」
二人からの言葉を受けてだ。オーナーもだ。
納得した顔になりだ。頷いてだった。
店の中に戻った。二人はそのまま空いている席に座り。そのうえでだ。
カレーとサラダ。カツレツを注文した。それからだ。
その三つのメニューを食べる。まずはサラダ、そしてカツだ。
カツを食べつつだ。義正は妹に話した。
「カツレツとカレーだけれど」
「合いますね」
「うん、ハンバーグとカレーもだけれど」
カツもだ。そうだというのだ。
「合うね。カレーのルーと」
「はい、とても」
「カレーはかなり独特なものだけれど」
外見だけでなく味もだ。そうだというのだ。
「けれど結構色々なものと合うね」
「中に入れるのも牛肉だけではなく」
「他にもあるね」
「豚肉や鶏肉にも合います」
そうした肉ともだというのだ。
「そしてソーセージともまた」
「本当に色々なものと合うね」
「他に魚介類とも合うでしょうし」
「魚介類とも」
「そうです。鍋と同じで」
カレーもまただというのである。
「色々なものと合います」
「ではカレーのメニューは」
「それも考えていくといいかも知れません。いえ」
「いえ?」
「カレーのお店も面白いかも知れませんね」
微笑んでだ。義美は兄にこんなことも言った。
「支那そばの店がある様にです」
「カレーの店も」
「どうでしょうか。そこには様々な種類のカレーがあるのです」
「こうした牛肉に人参、玉葱、そして馬鈴薯だけでなくて」
「他の肉や材料を入れたです」
そうしたカレーもだというのだ。
「それは如何でしょうか」
「考えてみると。面白いね」
義正は実際に少し考えてから笑顔で答えた。
「では一度実際にそうした色々なカレーを作ってみて」
「はい、そのうえで」
「店を出してみようか」
「そしてその店はです」
「八条財閥で経営するんだね」
「これも利益になると思います」
義美は今度は経営側の視点から話した。そしてだ。
この視点からも話すのだった。
「カレーは素晴らしい食文化でもありますし」
「素晴らしい。美味なだけではなくて」
「明治からはじまった我が国の食文化の象徴の一つです」
こうも言うのである。
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