FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~
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進軍
前書き
オリジナル要素が増えてくるとストーリーがどんどん進んでいきます!!このままどんどんテンションを上げていくぜ!!
「ナツの奴1人でゼレフの所に突っ込んでったのか!?」
「無謀すぎるだろ!!」
いつも通りの自由気ままなナツさんの行動にギルド内は騒然としている。本当だったら笑い飛ばしてるところなんだけど、今回は事態が事態なだけに笑ってられない。
「あの野郎・・・」
「作戦変更だ!!追うぞ!!」
彼の行動に怒っているラクサスさんと慌てるグレイさん。彼を連れ戻しに行こうと彼が提案すると、エルザさんがそれを制止した。
「待て。私たちは初代の作戦通りに動くんだ。ゼレフはナツに任せよう」
元々エルザさんはナツさんにかなりの信頼を寄せている。だからこそ彼の行動を尊重したいのはわかるけど・・・
「本気で言ってんのか!?相手はあのゼレフだぞ!!ENDの書も持ってんだ!!」
グレイさんの言う通り敵はゼレフ。さらには部下もいるだろうしそれを1人で相手にするのはいくらナツさんでもと思ってしまう。
「ナツはゼレフを倒すための秘策があると言っていた。きっとやってくれるさ」
それでもエルザさんは自分の意見を曲げない。するとグレイさんは彼女に顔を近付ける。
「お前はいつもナツを信じすぎなんだよ、エルザ」
一触即発の2人にギルドの空気が凍る。止めようにも雰囲気があまりにも悪くて割って入ることができない。
「お前はナツを信じていないのか?」
鋭い眼光でそう言うエルザさん。グレイさんはそれに何も答えないでいると、ルーシィさんが2人の間に入り引き剥がす。
「初代・・・どうしましょう」
「・・・ナツに賭けましょう。一見無謀な策のように見えますが理にかなった策でもあります。四方から包囲されているこの状況・・・打開するには大将を討ち戦いを早期決着させるのは上策といえます」
これ以上の犠牲者は避けたい俺たちとしても戦いが早く終わることは好ましい。初代がそう判断するのであれば、それに従った方がいいだろう。
「グレイ・・・ナツを信じましょう」
「俺は別に信じてねぇわけじゃねぇ。1人じゃ心配だって言ってんだよ」
「グレイ様がナツさんの心配をするなんて・・・」
普段仲が悪いとはいえやっぱり幼い頃からの付き合いである2人。彼が犠牲になってしまっては彼としても居心地が良くないからエルザさんに食ってかかっていたようだ。
「1人じゃないわ」
「!?」
心配しているグレイさん。その彼に対しシャルルが笑顔を向ける。
「ハッピーがついてる、でしょ?」
ナツさんの相棒であるハッピーもそちらに向かっている。1人では心配と言うグレイさんも、ハッピーがいるならと安心してくれたようだ。
「シャルル、ハッピーに惚れたね~?」
「うっさいセシリー!!」
ニヤニヤとしている幼馴染みに怒鳴り声を発する白髪の少女。2人のおかげで和やかな雰囲気になった。それから俺たちは、アルバレス軍を押し返すために、北と南、それぞれに別れて加勢へと向かった。
第三者side
フィオーレ南方の街、ハルジオン。そこには国一番の大きな港があり、普段は船の出入りが多く、他国との物流に機能している。
しかし、今現在その街を支配しているのはフィオーレの民ではなかった。
「なかなかいい街だ。消さなくて正解だったな、ヨザイネ」
そう言ったのは戦乙女ディマリア。彼女の隣ではハルジオンの住民と思われる男が息絶えていた。
「何言ってるのよ、狙ったのはマグノリアって街よ」
一通り生き残りがいないかを確認してきたヨザイネが不満そうな顔で戻ってくる。彼女はディマリアがいかにも街を狙うのを失敗したかのように言ってくることが不満で仕方ない。
「それも消さなくて正解だ。ランディが捕まっているんだぞ?その無様な姿を想像するだけで食が進みそうだ」
「全く・・・素直じゃないわね、あんたも」
頬を赤くして楽しそうな笑みを浮かべるディマリア。ヨザイネは彼女のそんな姿を見て、大きなため息をついた。
「彼らも誰かのヒストリアとなるのだろう。実に美しい」
そんな2人から離れたところにいる胸に薔薇の模様が描かれた鎧を着ている色男。彼は街を占拠するために殺した住民たちを見てご満悦だ。
「ナインハルト、そっちは片付いたのか?」
「ああ。皆誰かの新たなヒストリアとなるだろうね」
街を占拠し敵の運搬地の機能を完全に停止させた彼らは第一の目的を果たしたことになる。あとはここからタイミングを見計らいマグノリアへと攻めていくだけ。
「こんな雑魚を殺してよく満足していられるな、お前ら」
いつ攻めていくか考えようとしていたところで聞こえてきたその声に彼らの表情がなくなった。
「天海・・・」
「なんでこいつがここに配置されるのよ・・・」
かつて敵として攻めてきた天海にまだ慣れていない16の面々は親しい仲になれないでいる。彼がいつ裏切るのかわからない状態は、不安で不安で仕方ない。
「スプリガンがここに強い男が来ると言っていたからな」
不気味な笑いを浮かべる眠たげな目をした男に鳥肌が立つのを感じている3人。ディマリアとヨザイネは、これ以上関わり合いたくないと顔を背けた。
「美しすぎて天界から追放された私に、神はまだ試練を与えるのね」
「こいつの監視までしなければならないとは・・・早く会いたいものだ、ランディ」
彼に聞かれないようにと小声で呟く女性陣。一方の天海は2人になど興味の欠片もないようで、来るべき相手に備え気持ちを高めている。
ハルジオンの街の中心部にいるディマリアたち。街の前には平地が広がっており、そこをアルバレスの部下たちが隊列を成して防衛線を張っている。その前にやって来る、銀髪の青年と東洋の着物に身を包んだ女剣士を先頭にした魔導士たち。
「何人いるんだよ!!」
「街の前に二千人くらいか」
「さらには街の中にも」
「海にもまだ上陸してない兵がいるよ」
「30万人くらいいるの?これ」
「すごい数!!」
それはハルジオン解放のためにやって来た人魚の踵と蛇姫の鱗の連合チーム。彼らはあまりの敵の多さに驚愕していた。
「私たちはラミアとマーメイド、合わせて200人くらいだよ」
「戦力差が激しすぎるであります!!」
思わず弱音を吐くシェリアとサクラ。しかし、それを見ても蛇姫の鱗のエース、リオンの表情は崩れない。むしろ好都合といったように見える。
「こいつらが全員俺たちレベルなら確かに強大な敵といえる。だが、所詮は雑魚。レオン」
「任せておいてよ、リオンくん」
金髪のボサボサな髪を揺らしながら敵兵へと歩み寄っていく少年。ゆったりとした足取りで向かってくる彼に、アルバレスの軍隊は視線を向ける。
「氷神の・・・」
立ち止まり、頬を大きく膨らませていく。次第に冷たくなっていく空気に、敵は怯え、仲間たちは笑みを浮かべる。
「怒号!!」
放たれた瞬間に巻き起こる爆音。それは街の前にいた軍隊全てを凪ぎ払うのには十分すぎた。
「なんだあいつ!?」
「ディマリア様!!ヨザイネ様!!敵襲です!!」
慌てて街の前に飛び出してくるアルバレスの兵隊たち。彼らの声を聞いて16のメンバーも駆けつける。
「残念だったな、アルバレス。ここは我らの地イシュガル。お前たちの侵略を許しはしない。これよりハルジオン解放戦を始める!!進めぇ!!」
剣を突き上げる女剣士。彼女に続くように、魔導士たちが飛び出していく。
「なかなかの強者もいるようだね」
「ククッ、しかし所詮は神に見捨てられし地に集う下界の民。何の問題もないわ」
「身の程を知らぬバカどもに教えてやらねばならんな。16の真の強さを」
ナインハルト、ヨザイネ、ディマリアは新たに投下された軍隊の後ろから戦況を見定める。それに対し、彼らのさらに後方にいるこの男は、金髪の少年を見て唸っていた。
「ほう、あれがスプリガンの言っていた男か?」
ターゲットを見つけたことで笑いが止まらない天海。彼は一歩一歩、戦いを繰り広げる軍隊の方へと歩を進めていった。
ハルジオン港と真逆に位置するフィオーレ北方。常に雪が降り積もるその場所では、すでにアルバレスとイシュガルの戦いが始まっていた。
「影竜の斬撃!!」
「オラァ!!」
剣咬の虎と青い天馬。2つのギルドが協力し合い次から次へと兵隊たちを凪ぎ払っていく。
「フゥ」
実力差は歴然。彼らの前にアルバレス軍は次々倒されていくが、数が多すぎることもあり疲労は溜まっていく。ユキノは額の汗を拭い次の敵に備えようとしていると、視線の先から仲間たちが悲鳴をあげてこちらに逃げてくることに気が付く。
「何事ですか!?」
血相を変えて敵前逃亡を図る仲間たちに困惑の表情を浮かべるユキノ。
「逃げろユキノ!!人が・・・人が次々に・・・」
そのうちの1人が叫びながら仲間たちに一時退避をするように言っていたが、彼は吐血しその場に倒れてしまった。それは他に逃げてきたものたちも同様で、ほとんどの魔導士たちがその場に崩れ落ちる。
「死神だー!!」
「逃げろー!!」
「死神・・・」
鎧に身を包んだ人とは思えないほどの体格をした男、ブラッドマン。その前に伏せる仲間たちを見て全員が恐怖を抱いている。
「おい!!落ち着けお前ら!!」
「ダメだスティング!!誰も聞いてねぇ!!」
「クッ・・・仕方ない、俺たちが相手を―――」
あわてふためく仲間たちを見てスティング、グラシアン、ローグがブラッドマンを排除しようとした。その時、後ろから彼を上回る魔力が近づいてきていることに気付く。
「ほう、こんなところにも滅竜魔導士が」
背中に光背のような飾りを背負った髪を2つに束ねた男。彼を見た3人はその魔力の大きさと威圧感に震えた。
「この感じ・・・」
「聖十最強の男」
「ゴッドセレナか」
ゴッドセレナがアルバレス軍にいることは聞いていた。その彼が今目の前にいることで、初めて感じる恐怖。
「スティング、こっちは我々に任せてもらおう」
「お前らはそいつをなんとかしろ」
ゴッドセレナの登場によりブラッドマンに対するのはルーファスとオルガが名乗りを上げた。彼らは仲間たちに兵隊の始末を任せ、死神に果敢に挑む。
「頼む!!ルーファス!!オルガ!!」
「行くぞ、スティング、グラシアン」
「おっけ・・・」
ゴッドセレナに向かっていこうとしたグラシアン。しかし彼はあるものを見て固まった。その視線の先にいるのは、この場にいるはずのない人物。
「あいつ・・・あの時の・・・」
敵の軍隊を指示している黄緑色の髪の男に見覚えがあった。グラシアンはそれを見た瞬間、目の前の敵など吹っ飛び駆け出す。
「おい!!グラシアン!!」
「どうした!?」
なぜ彼が自分たちに合わせることもしないで飛び出したのかわからずスティングとローグは面を食らっている。一方のゴッドセレナは、彼が自分に突進してきていると勘違いしていた。
「そんな隙だらけじゃ、俺には――――」
「邪魔だぁ!!」
手にひらを向けて攻撃してこようとした聖十最強の男を肘で退け直進する。尻餅をついたゴッドセレナも三大竜の2人も、彼が何をしようとしているのか理解できずにいた。
「お前!!」
「!?」
部下たちに指示を出していたことでこちらに気が付いていなかったホッパーを押し倒すグラシアン。ホッパーは彼の顔を見て驚いていたが、すぐに何がしたいのかわかった。
「私がなぜここにいるのか、気になるのですね」
「お前・・・あの爆発で死んだんじゃなかったのか!?」
彼の最愛の女性がなくなることになった大爆発。多くの人が命を落としたその場に彼もいたはずなのに、なぜ平然とこの場にいるのか意味がわからなかった。
「簡単なことです、私があの爆発を起こしたからですよ。脱獄するためにね」
「なんだと?」
グラシアンを払い除け立ち上がるホッパー。押し返された彼は男のその言葉に怒り、顔に血管が浮かび上がっていた。
フィオーレ東方、建物も人も何もない荒れ地。そこでは7人の人間がそれぞれ向かい合っていた。
「あら、久しぶりね、四天王の皆さん」
3人側の先頭に立ち、イシュガルの四天王に挨拶したのはビッグ3の一角にして女性史上初の聖十大魔道の称号を手にしたリュシーだった。
「ボスコ国を襲ったのは貴様だったのか、この裏切り者め。お?」
眼鏡をかけた背の低い老人、ウルフヘイムがリュシーをキッと睨み付ける。
「裏切り者・・・ね」
その言葉にリュシーは笑いが堪えられない。口を押さえ必死に笑いを飲み込むと、彼女は美しく整った顔からは想像もできないような、鋭い眼光で彼らを睨み付ける。
「今まで傍観を気取ってきたあなたたちに、私を責める資格はありませんわ」
その表情を見た瞬間、ジュラは背筋を冷たいものが流れていくのを感じた。激しい憎悪を滲み出ている彼女は、自分が知るリュシーではなかったからだ。
「リュシー、私たちは傍観していたわけではない。ただ、無駄な争いを好まないだけだ」
「それが傍観というのよ、ドラキュロス・ハイベリオン」
触れた者全てを傷つけるほどの彼女の雰囲気。リュシーはジュラの存在に気が付くと、小さく笑みを浮かべる。
「ジュラっち、あなた聖十の5位にまで来たそうね」
「リュシー殿・・・なぜ我々を裏切り、アルバレスに付くのです」
ジュラは聖十大魔道になったばかりの頃の彼女のことを知っている。そのときはとても愛らしく、最年少の魔導士として溶け込んでいたのに、こんなことになるとは夢にも思わなかった。
「なぜ裏切った・・・ね」
ジュラにはまだ好意的な顔をしていた彼女だったが、その質問で雰囲気は一転。彼女は彼も敵と認識し、笑顔が完全に消えた。
「先に裏切られたのは私。私にはこのイシュガルを滅ぼさなければならない使命がある。それを為すためにアルバレスに渡ったのよ」
そう言った瞬間、リュシーは一際鋭い目でウォーロッドを睨み付ける。彼はそれに目を伏せた後、奥歯を噛み締めつつ顔を上げた。
「ジュラくん、あの子は私たちの知るリュシーではない。彼女は倒さなければならない敵だ。それに・・・」
彼女の後ろでやり取りを見届けている2人の男。彼らの情報を持っている四天王の3人は、気を抜くことはできない。
「暗殺魔法の天才ジェイコブ、古今東西あらゆる魔法を修得したという魔導王オーガスト。もしここを突破されれば、私たちの負けは確実じゃ」
敵の最強クラスの魔導士に暗殺を得意とする魔導士。ここで彼らを必ず止めねばならぬと彼らは臨戦体勢に入ると、オーガストとジェイコブも戦う姿勢になる。
「待って、2人とも」
その2人を右手で制するリュシー。オーガストはそれを見て彼女が何をしたいのかすぐに察した。
「ここは私1人でやらせてもらってもいい?」
「よかろう。ジェイコブ」
「わかっている」
臨戦体勢を解除した2人の16。それを見た瞬間にウルフヘイムが接収で巨大化した。
「私たちを見くびっているのか?リュシー」
「そんなことないわ。あなたたちの強さはよくわかってる。でも・・・」
右手に魔力を溜めていくリュシー。ウルフヘイムは彼女に先制攻撃を許すまいと飛び込むが、彼女はそれを待っていた。
「あなたたちは必ず殺さなければならないの」
魔力が溜まった右手を向けウルフヘイムの体を貫く。目にも止まらぬ攻撃にジュラは唖然とすることしかできなかった。
後書き
いかがだったでしょうか。
序盤から原作と違うこともあり第二陣の配置も少々変更されております。
ゴッドセレナをあえて北に配置するスタイルはかなり迷いましたけど、この方が自然にストーリーを進められそうなのでこれで行かせてもらいます。
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