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儚き想い、されど永遠の想い

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302部分:第二十三話 告白その三


第二十三話 告白その三

「神戸の味も採り入れた」
「素材から」
「そうです」
 その通りだとだ。こう答える義正だった。
 そうした話をしてからだ。彼はだ。
 二人の老人達にだ。こう話したのだった。
「それで今日のことですが」
「そう、君達八条財閥が大阪に建てる百貨店」
「それに路線を増やすそうだね」
「はい、そのことです」
 そのことについての話だった。
「そのことですが」
「こちらとしてもその話はいい話だよ」
「両方共ね」
 百貨店も鉄道もだというのだ。
 そしてだ。あらためてだ。二人はこんなことも話した。
「国鉄はねえ。融通が利かなくて」
「駅とその周辺の開発がしにくいんだよ」
 そこが難点だというのだ。国鉄は。
「国策としての鉄道は絶対に必要だとしてもね」
「ただ。国策として敷くだけだから」
「駅とその周辺の開発はね」
「どうもしにくくて」
「その点は仕方ないですね」
 このことはだ。義正も知っていた。
 国鉄は国策として線路を敷き物資、それに人を運ぶ。全ては産業の発展を支える為だ。それが国家を動かすからだ。敷かれるのである。
 しかしだ。国鉄はそこで終わる一面が強い。それが問題なのだ。
 それに対してだ。私鉄はだった。
 二人の老人がだ。こう話すのだった。
「その点私鉄はね」
「採算は重視するがそれでもね」
「駅とその周辺に百貨店も置けるし」
「それに他のものもね」
「開発できるからね」
「そこがいいんだよ」
「はい、その通りです」
 まさにそうだとだ。義正は会心の声で答えた。
 そしてだ。さらにだった。
 彼はだ。こうも話すのだった。今度話すことは。
「百貨店のことですが」
「あれはいいね」
「一つあれば違うよ」
 唸る様にだ。二人の老人は話す。
「あれだよ。町が一つそのまま一つのビルにあるような」
「そんな感じだからね」
「だから実にいい」
「あればそれだけで随分違うよ」
「巴里にかなりの百貨店があると聞いています」
 義正は仏蘭西、日本から見れば夢の様にみらびやかなその国の首都を話に出した。
「何時かは巴里のそれに匹敵するです」
「そうした百貨店をだね」
「我が国に置きたいというのだね」
「そう思っています。それもです」
 そしてだ。さらにだというのだ。
「この関西に置きたいです」
「東京ではなくか」
「この関西に」
「はい。そう思っています」
 また答える彼だった。
「大阪、京都」
「そして神戸に」
「三つの都に」
「できれば奈良にもです」
 もう一つの都の名前も出て来た。関西の四都だ。
「全てに置きたいと考えています」
「つまり四つの都全てに八条鉄道の路線を敷く」
「それが君の考えなのか」
「八条財閥の考えです」
 彼の考えでなくだ。財閥全体の考えだというのだ。
 
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