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新訳紅桜篇

作者:Gabriella
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18 緊急事態には、万全の用意を。

そこで、その少女にスポットライトが当たる。
まるで、何かの舞台みたいだ。

 そして、武市(かれ)の間延びした声が響く。


_「みなさぁ~ん、殺しては行けませんよ~、
  女子供を殺めた、とあっては武士(さむらい)の名が廃ります。
  生かして捕らえるのですよ~。」

_「先輩ィィッ!ロリコンも大概にするッス。
  ここまで侵入されておきながら何を生ぬるいことを!」

_「ロリコンじゃない、フェミニストです。
  敵とは言えども女性に対しては優しく接するのが
  武士(フェミ)道というもの。」


なんだ、それ。
そんな武士道、はじめて聞いた。

じゃあ、いつものあなたのまた子に対するあの対応は、一体何なのか。

まぁ、いい。
私は、万斉を探さねば。




私は、近くに待機していた鬼兵隊隊士に、万斉の行方を聞いた。

_「あ、アンナさん。万斉様ですか?」

_「ええ。どこにいったか、ご存じないですか?」

_「えっと、万斉様でしたら、ゲートの方に行かれた、と聞きましたよ。」

_「すまぬ、ありがとう :)」

_「いいえ~、が、ががが頑張って下さいね!」


……。



という訳で、送り出された私は、すぐに教えてもらったゲートへ急いだ。



すると、ちょうど万斉と出逢った。

_「万斉さん、やっと見つけた…」

_「どうしたでごさるか?もしやそなた、
拙者と共に行くように、晋助に命じられたでござるか?」

_「ピンポン、大正解!
さっき任されました。」

_「全く、晋助もスパルタでござる。
アンナ殿がやっと任務から帰ってきたばかりなのに。」

_「よいのです、私は自分で行くことに決めました。
確かに晋助は、スパルタですが…
ま、結局私自身で決めたことなので、
大丈夫ですよ。
ありがとうございます。」

_「なるほど、そういうことでござるか。
ではアンナ殿、共に参るでござるよ。」


サングラスから見える万斉の瞳が、なぜかとても優しく光った気がした。

なにしろ万斉(かれ)の目を見る機会が滅多にないものだから。笑


_「ええ、行きましょう。」



そして私たちは、小型船に乗り込んだ。



操縦が安定したところで私は、身なりを整えに、化粧室に向かった。

扉を閉めてから、袴の下に履いていたスパイパンツ(ズボンの方)のベルトに着けていたウエストポーチ型に仕立てた魔法のバッグを取りだし、中身を確認する。

いつもの通り、魔法界用には、杖と、魔法薬が入っていて、
マグル用には、化粧ポーチを入れておいた。

そして、前あわせの内ポケットにはスタンガン、
そして太ももにはベルトで万能ナイフと小型の銃を仕込んでおいた。

これなら万が一何かが起こっても、なんとか対処できる。


身支度を済ませた私は、再び万斉のいる部屋に戻ってきた。


そして、到着までの間、他愛ないおしゃべりをして過ごした。
 
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