八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第百四十一話 怪談その八
「蛸を怖いと思えないんだ」
「食べものでしかないのね」
「だからよね」
「姿見たらね」
それがリアルな姿でもデフォルメされた漫画チックなものでもだ。
「美味しそうって思うだけだよ」
「義和も食べものとしか思ってないのね」
「そうなのね」
「結局はね」
指摘された通りにだ。
「僕もそう思ってるよ」
「蛸は食べもの」
「あくまでなのね」
「しかも美味しいね、たこ焼きや酢だこもいいけれど
それ以外もだ。
「スパゲティに入れたりお刺身とかカルパッチョとか茹でだことか一杯あるよ」
「美味しい食べ方は」
「たこ焼きだけじゃないのね」
「おでんにも入れるしね」
これがまた美味しい。
「他にも一杯あるよ、烏賊にしても」
「そういえばいか焼きもあるわよね」
「丸ごと焼いたのとお好み焼きみたいなの」
「何かこれ関西だけって聞いたけど」
「二種類あるわね」
「関西じゃそうなんだ」
いか焼きが二種類ある、二人が言った通りのその焼き方のものがだ。
「やっぱり食べるよ」
「茹ででもお刺身にしても」
「他のお料理でも」
「そんなのだから」
本当にだ。
「幽霊の方が怖いよ」
「海でも出るわよね、幽霊」
ここでモンセラさんが聞いてきた。
「そうよね」
「うん、出るよ」
「日本でもね」
「西洋みたいな幽霊船の話はないけれど」
さまよえるオランダ人みたいなのはだ。
「あるんだよね、これが」
「そうよね、日本の海にも」
「怪談話あるわよね」
「海の妖怪もいるし」
言いながら海坊主を思い出した。
「幽霊の話もあって」
「怪談もあるのね」
「そうなのね」
「平家の話もあるし」
これも歌舞伎であった。
「あの人達のもね」
「あっ、平家ね」
「平清盛さんの」
「源氏に負けて滅んだ」
「あの人達ね」
「うん、平家の怨霊がね」
耳なし芳一だけでなくだ。
「海に出るって話もあるんだ」
「そうなの」
「あの人達がなの」
「平知盛さんがね」
平清盛の息子の一人で平家きっての名将だった、最後の壇ノ浦の合戦に敗れ入水自殺を遂げている。
「出るって話もあるんだ」
「その人が出るっていうの」
「そうなのね」
「そう、あとね」
僕は二人にさらに話した。
「生きていても死ぬって話もあるし」
「怨霊じゃなくて」
「死ぬのも」
「壇ノ浦でも実は生き残っていて」
義経千本桜の話だ、浄瑠璃や歌舞伎の作品だ。
「逃げてきた義経さんと悶着があって」
「やっつけられるの?」
「そうなるの?」
「自分の願いが果たせられなかったこととその一人よがりに無常や無念を感じてね」
義経千本桜での話だ。
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