レーヴァティン
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第四十話 偸盗その六
「今から」
「考えてみれば俺達四人で食い切れる量でもない」
木に実っている柿の数はというのだ。
「しかも俺達四人だけで食うのもな」
「器がですね」
「小さい、猿や烏達と一緒に食う方がいい」
こうも考えたとだ、英雄は謙二に答えた。
「独占するのはよくないな」
「そうですね、美味しいものはです」
「独り占めせずにな」
「皆で食べる方がいいです」
「その方が美味いな」
「それにです」
微笑んでだ、こうも話した謙二だった。
「彼等が種を撒いてくれます」
「柿の種をだな」
「食べてそして」
あちこちに吐いたり糞と共に外に出してだ。
「そうもしてくれますので」
「俺達だけで食っても種は撒かれるが」
「彼等も食べるとよりです」
種が撒かれるというのだ。
「ですから」
「あいつ等とも一緒に食うか」
「そうしましょう」
「ではな」
「実はでござる」
智は刀を出してさっと一閃させて小さな鎌ィ足を出した、それで一つの柿の先を切って地に落としてから言った。
「こうして取れるでござる」
「木に登らずともだな」
「大丈夫でござるよ」
鎌ィ足を見た猿や烏達は一瞬驚いたがまた食べはじめた、自分達を狙っているものではないと本能的に察してだろうか。
「こうしてでござる」
「柿を取るか」
「栗もでござる」
「では俺もだ」
英雄もだった、刀から鎌ィ足を出してだった。
それで柿を落とす、こうしてそれぞれかなりの柿に他の実も取ってだった。
果物を食べはじめた、良太はそうしつつ仲間達に話した。
「果物がなければです」
「狩りだな」
「それをしましょう」
「猿を食うか」
英雄はここでまた猿を見た、彼等は今も柿の木の上で柿を食べている。見れば烏達も一緒に食べている。
「それか烏か」
「いえ、烏はともかくとしてです」
「猿はまずいか」
「その様ですが」
良太は少し苦笑して英雄に話した。
「どうやら」
「食ったという話は日本では聞かない」
「猿の脳の話はありますが」
「あれもだ」
中国等で聞くそれもというのだ。
「珍味だというが」
「それでもですね」
「あまり積極的に食おうとはな」
「思いませんね」
「どう見てもまずい」
英雄は烏を見たまま良太に答えた。
「食うところも少ないしその肉も筋ばっていてな」
「固くてですね」
「まずそうだ、脳もな」
その珍味とされているその部分もというのだ。
「あまり食おうとは思わないな」
「そうなりますね」
「烏もだ」
英雄は今度はそちらの話をした。
「何でも山の烏は美味いらしいが」
「長野の方では食べるそうですよ」
烏については謙二が答えた。
「どうやら」
「そうなのか」
「はい、結構美味しいそうです」
「そうなのか」
「山の烏は食べているものの関係で匂いもきつくないらしく」
肉のそれがだ。
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