儚き想い、されど永遠の想い
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237部分:第十八話 相互訪問その四
第十八話 相互訪問その四
「香りもまた」
「そう。薔薇は姿だけではありませんから」
「あの香りは最高の香りです」
語りながらだ。真理は恍惚とさえなっている。
「その香りの薔薇はです」
「一色だけでも最高の贅沢であるというのに」
「両方があるとは」
「だから贅沢ですね」
「最高どころではありません」
真理は一旦こう言った。そしてだった。
そのうえでだ。義正にこう話した。
「最高の上にあるものです」
「最も高い場所にあるもののさらに」
「上となると」
「言葉が難しいですね」
少し苦笑いになってだ。真理に話す彼だった。
「そうなると」
「英語ではこの場合は」
「最上級より上の言葉はありませんから」
「止まりますね」
「ですが日本語では」
「それはありますか?」
「何と言うべきでしょうか」
義正も少し困っていた。しかしだった。
言葉を少し考えながらだ。こう真理に述べた。
「そうですね。この場合は」
「はい、この場合は」
「至上、いえ至高」
至るという言葉がまず述べられた。
「少し違いますね」
「最高と同じだけのものでしょうか」
「まだそうですね」
そうした言葉ではだ。まだ最高を超えていないというのだ。
ではどうかと。義正は真理と共に言葉を考える。その言葉を考えながらだ。彼は真理を庭に案内している。その薔薇の庭にだ。
「となると」
「他に相応しい言葉は」
「この言葉でしょうか」
「その言葉は?」
「究極。そして」
「そして?」
「純粋」
究極をだ。突き詰めればそれはどうなるかと考えての言葉だった。
「完全な純粋でしょうか」
「純粋ですか」
「薔薇の美しさもまた純粋ですから」
花言葉ではない。薔薇そのものを見ての言葉だった。
「ですからこの場合はです」
「純粋になるというのですね」
「そうなるのではないでしょうか」
真理に再び話すのだった。
「そう思いますが」
「そうですね。確かに」
「真理さんもそう思われますか?」
「義正さんのお話でそう思いました」
「私の話からですか」
「はい、思いました」
まさにだ。それによってだというのだ。
「その様にです」
「左様ですか」
「そうですか。最高の上位にあるのは」
「純粋です」
また言う義正だった。
「それではないかと。今思いました」
「では今からその純粋を」
「薔薇という名を純粋を」
「見させて下さい」
義正にだ。頼んでの言葉になっていた。
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