儚き想い、されど永遠の想い
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229部分:第十七話 山でその六
第十七話 山でその六
「そしてそれで」
「それで」
「鉄道も」
「鉄道の模型もですね」
「造れればいいと思っています」
その八条鉄道の車両と線路を見て。彼は話す。
「この町を再現した様な」
「町の中を電車が走っているその状況をですか」
「しかもです。電車が動き」
義正はまさにだ。その夢を話した。
「町も夜になると灯りが点きます」
「そこまで忠実にですか」
「はい、再現できれば」
そうなればというのだ。まさにだ。
「素晴しいことですね」
「そうですね。それを子供達が見て」
「夢を見ます」
模型からだ。それを見るというのだ。
「そうしたことも考えていきたいです」
「模型にそこまでの夢があるとは」
「思いませんでしたか?」
「はい」
その通りだとだ。真理はこくりと頷いて答えた。
そうしてだ。義正にこうも話した。
「ただ」
「ただ?」
「お話を聞くと」
するとだ。どうなるかというのだ。
「それは素晴しい夢ですね」
「そう思ってくれますか」
「夢は。玩具にもあるのですか」
「子供の夢がそこに」
「では。義正さんは」
「そこにも夢を見ます」
そうだというのだ。まさにそこにだった。
「私は」
「では。頑張って下さい」
微笑みになりだ。義正に言った。
「そちらも」
「そうさせてもらいます」
「夢は。限りないのですね」
真理は今度は海と空が一つに合わさる場所を見て言った。青と青が一つになるその場所は白くなっていた。光と光が重なった様に。
「あらゆるものにあって」
「そしてその夢がです」
「世の中を先に進めていくのですね」
「そう思います。まず夢です」
義正はまた言った。
「夢がありです」
「そこからですか」
「人は前に出て」
そうしてだと。義正は話を続けていく。
「素晴しいものをその手に掴むのです」
「現実にある素晴らしいものを」
「夢は。そうした意味で」
どうかというのだ。夢というものは。
「現実のものなのです」
「完全に架空のものではないのですね」
「完全な架空ですか」
真理の言葉でだ。義正は考えを向ける対象を変えた。
今度はだ。その架空というものについて考えだ。そして言うのだった。
「完全な架空はありません」
「それはですか」
「架空は人が創ったものです」
以前にも言ったと思いながらだ。真理にさらに話すのである。
「その人が現実にあるのなら」
「その人が創った架空も」
「完全に架空ではありません」
「現実のものでもありますか」
「ある程度は」
それは確かに弱くとも。それでもだというのだ。
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