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レーヴァティン

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第三十九話 神の斧その十一

「西洋にそうした餅はなかったな」
「近いものはあってもな」
 そうした食べものはというのだ。
「その餅はないんだよ」
「だからこちらの世界では食いたいな」
「そうなんだよ、食うからな」
「わかった、では俺はだ」
「御前はおやつ何食うんだよ」
「俺はケーキだ」
 こちらの菓子だというのだ。
「東の島にはないからな」
「ああ、そっちはそっちでか」
「室町や戦国の頃の日本だ」
 その文化的な状況はというのだ。
「それならわかるな」
「ああ、ケーキもな」
「ない、だからだ」
 それでというのだ。
「俺の方はだ」
「ケーキが恋しいんだな」
「もう長い間食っていない」
 あちらの時間の感覚がこちらの世界でも残っていてだ、英雄にしても久志にしてもこう感じているのだ。
「だからだ」
「それでか」
「そうだ、俺はケーキだ。そしてだ」
「洋菓子か」
「そちらが食いたい」
 そうなっているというのだ。
「どうしてもな」
「そうなんだな」
「お互いに食いたいものは違うということだな」
「ああ、それじゃあ御前もケーキをか」
「五個食うことはしない」
「何だよ、しないのかよ」
「ケーキにアイスクリームにクレープを食いたい、あとタルトもだ」
 ざっとだ、英雄は洋菓子の種類を出した。
「他にはプリンもか」
「おい、多いな」
「種類を食いたい」
「結局量食ってるぜ、そしてな」
「俺もか」
「そこまで甘いものを言ってるとな」
 笑ってだ、久志は英雄に話した。
「糖尿病になるぜ」
「そうだな、言われてみればな」
「気をつけろよ」
 そこはというのだ。
「御前も」
「安心しろ、俺もだ」
「身体を動かしてるか」
「それもかなりな」
「だからか」
「俺も糖尿病にはならない」 
 食べた分の糖分を消費しているからだというのだ。
「そして頭も使っている」
「そっちもかよ」
「だからだ」
「そこは考えているんだな」
「なってからでは遅い」
 糖尿病、それをだ。
「だからな」
「今からか」
「気をつけている」
「そうなんだな」
「食うのはいいが」
 しかしというのだ。
「身体を動かすことだ」
「基本だな」
「明治帝もそうであられたしな」
「そういえばあの方な」
「そうだ、糖尿病で崩御されているな」
「甘党で日本酒がお好きだったな」
 どちらも糖分が高い、明治帝は清酒を飲まれてからその味に感激されて愛飲されていたのである。このことは歴史書にも書かれている。 
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