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レーヴァティン

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第三十九話 神の斧その八

「今までそこまで考えていなかったがな」
「今はか」
「実際に考えていておそらくこれからもだ」
「こう考えていくか」
「そうなるだろう、しかしその魔神のこともだ」
「実際詳しいことはな」
「何もわかっていない、そして魔神から見るとだ」
 今度は彼等にとって究極の敵である彼等のことを話した。
「今の俺達は米粒以下だ」
「道に落ちている石か?」
「砂粒だな」
 石どころかというのだ。
「それ位だろう」
「砂粒かよ」
「目にも入らないな、島の下の海はとてつもなく広いと聞く」
「俺達が今いるそれぞれの島は大陸みたいに大きいけれどな」
「その島が何十も入る位大きいと書いてあったな」
「書にな、あっちの単位はセンチメートル、キログラム、トンでな」
 そうしたものは同じなのだ。
「そのキロで言うとあの海の広さは」
「俺達の地球の五倍はある」
「星だってのもわかってるしな」
「そうだ、そして今あの世界にある島はな」
「あの二つの浮島だけか」
「その中にいる俺達なぞな」
 彼等が今いる地球よりも遥かに広いその世界、もっと言えば星の中ではというのだ。
「まさにだ」
「砂粒か」
「その程度だろう」
「もう気にもされていないか」
「そうだろうな」
「じゃあその砂粒がな」
 久志は英雄のその話を受けてだ、確かな顔になって笑って言った。
「やがてな」
「石、そしてだな」
「島になってそうして」
「魔神を倒すか」
「そうしてやるさ」
 こう英雄に話した。
「今は小さくてもな」
「大きくなってだな」
「そうしてな」
 そのうえでというのだ。
「倒してやるさ」
「その域だな。ではな」
「あんたもだな」
「島になる」
 砂粒から石、そしてそこからというのだ。
「そのうえでだ」
「魔神を倒してどうなるか」
「それも見てやる」
 こう言うのだった。
「それからのこともな」
「そうか、しかしな」
「しかし、今度は何だ」
「いや、そっちの島の食いものってな」
 久志は今度はこの話をしてきた。
「やっぱりあれか?」
「和食だ」
「やっぱりそうだよな」
「餅もある」
「それいいな」
「餅が好きだったのか」
「実は大好物なんだよ」
 そこまでのものだとだ、久志は英雄に強く言った。
「もう毎日食っても飽きない位だよ」
「そこまで好きなのか」
「醤油でもきな粉でもあんこうでもな」
「俺も餅は好きだがな」
「俺程じゃないんだな」
「そうだ、しかしだな」
「こっちじゃないんだよ」
 その餅がというのだ。
「だからな」
「餅があるこっちの島はか」
「どうにかならないか?」
「餅はか」
「ああ、餅輸出出来ないか?」
 東の島からとだ、久志は英雄にわりかし真剣に頼んだ。
「買うぜ、それも結構な値段で」
「そこまでして食いたいか」
「御前餅好きか?」
「それなりにな」
 英雄は久志を睨み据えて答えた。 
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