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エアツェルング・フォン・ザイン

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そのはち

「はー、ここが人里かぁ…案外賑わってるんだな」
「大通りはこんな感じよ」
ふぅん…
「で、人里の守護者ってのは何処に?」
「この時間なら寺子屋でしょうね」
ああ、なるほど。
「今って授業中じゃないの?」
「大丈夫よ、どーせ誰も聞いてないわ」
けーね先生ェ…
「さ、行くわよ」
アリスに連れられて大通りを抜け寺子屋へ向かった。
寺子屋は大きな門があり中々に立派だった。
「へぇ…ここがねぇ…」
門をくぐると庭があり、そこから授業風景が見えた。
「今は授業中か…何してんだろ?」
手で長方形を作る…
クリスタル・スコープ
手の中に透明なレンズがうまれた。
「あれは…古典か?うーわ殆ど寝てるよ」
「いつもそんな物よ」
ふぅん…
幻想郷が閉じられたのは江戸後期、言葉は殆ど今と変わらないだろう…
「えーと…今やってるのは…『大江山いくのの道』…高校の範囲じゃねぇか」
確か…からかった貴族が言い負かされる話だったよな?
「そろそろ終わる時間よ」
とアリスに言われた。
なんだ、ちゃんと時間を考えて動いてたのか
「わかったよ」
そして数分後に授業が終わった。
「行くわよ」
「わかったよ…」
一応縁側から入れるがきちんと正面から入る。
玄関には草履があった。
ああ、ここは現代じゃぁ無いんだなと実感した。
そして教室になっている和室の前に着いた。
「あなたはそこで少し待っていなさい」
待っていろと言われ、玉藻を渡された。
「入るわよ」
とアリスが障子を開けた。
「む?人形使いか?お前なら許可を取らずとも仕事をして良いと言ったが?」
どうやらアリスは何かしらの許可証を持っているらしい。
「私じゃないわ。新しく幻想郷の住人になった奴が居るからそいつの挨拶よ」
「外来人か?」
「まぁそんな所ね…ザイン」
おっと、呼ばれたな。
「えーと…こんにちは」
「妖精………?」
慧音におかしな顔をされた…
「俺はザイン、昨日から幻想郷に居る」
「そ、そうか…」
慧音の視線は玉藻に固定されている。
「玉藻、挨拶しろ」
「はーい、私は玉藻です。ご主人の使い魔です」
玉藻が挨拶すると慧音が目を見開いた。
「お前がその妖精の式神だと?」
俺と玉藻を交互に見ながら言われた。
「事実よ、ザインは玉藻の主で玉藻はザインの使い魔よ」
「お前がそう言うならそうなのだろうが…」
うわ、信用されてねぇな。
「それで、挨拶言ったが本題はなんだ?」
「仕事を探してるんだ。何かいい仕事はないか?」
「仕事?………冗談だろう?」
「いやいや、本当。こんなナリだけど一応18だし」
「……………………」
あ、黙った。
「因みに精神だけなら200越えてるらしいわよ」
いや、今それ言ったらもっとややこしくなるだろ。
「もっとややこしくしてどうすんのさ」
慧音も固まってるし。
「それもそうね」
なんてやり取りをしていたら慧音が復活した。
「学力はどれくらいだ?」
「四則演算はできるよ」
「読み書きは?」
「あー…現代語なら。幻想郷で使えるかはわからん」
「わかった、じゃぁここで働け」
はいぃ?
「ここって…警備員?」
「バカかお前は、ここで講師をやれ」
「はぁ!?」
「あら、いいじゃない」
よくねぇよ!
「俺が講師!?冗談だろ!?」
「本気だとも。」
えぇ…
「マジかよ…」
「まぁ、午後の授業を見学していけ」
「うい…」
という訳で寺子屋の午後の授業を見学する事になった。
 
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