エアツェルング・フォン・ザイン
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そのに
数メートル飛ばされた青年…
私を抱いている男から離れ…
それに近付いた。
「即死…ね」
彼から流れる血が裸足の足に触れた。
その血には覚えがあった。
「そう…アナタだったのね…」
一週間前、自分を不完全に呼び出した人間。
「悪魔を庇うなんて…バカな人間…」
それも、王であるこの自分をわざわざ助けるなど…
「ふふ…ふふふ…ふふふふふふふ…」
面白い、こんな大馬鹿者は始めてだ。
「アナタ、気に入ったわ」
青年の魂を、覗き込む。
ALO…カオスブレイブズ…ハイヴ攻略…相談役…AW…最終負荷実験…星騎士…GGO…
「ふぅん…アナタ…今時本物の軍団長なのね…それに精神だけが成熟しきっている…」
魂を覗き終わる…
「『幻想郷に行きたい』…面白そうだから、その願いかなえるわ…そうね、記憶はそのままに精神年齢だけ年相応にするわ」
さぁ、アナタの次の生が
波乱に満ちた物で有らんことを…
ん…んん?
「んあ?」
俺は眩しさによって目覚めた。
ガシャ…
体が…重い
ガシャ…
視界が不自然だ…
ん?
「鎧?」
俺はALOでの本気装備を纏っていた。
フェイスマスクまであるフルプレートメイルだ。
カチン…とフェイスマスクを上げる。
「何処だ?ここ?」
周りは木が生い茂っていた。
どうやら深い森の中にいるらしい。
いや、まて…このシチュエーション覚えが有るぞ…
具体的には数十年前…
それだけ経とうとも、あの時の事は鮮明に覚えている…
「アンダーワールドか?なんでまた?」
前回は確か…あ
「そっか…おれ女の子庇って…」
あの子は無事…だよな、ショウがキャッチしたし…
あれ?でも壱対島(いつしま)にSTLってあったっけ?
いや、自衛隊基地あるしそこにあるのか?
いや、それよりも今はいつだ?
あれから何日たって、いまは人界歴何年だ?
「とりあえず…人を探そう」
俺は歩きだし…
「あれ?なんで鎧着てるんだ?」
う~ん…アンダーワールドではストレージ無いからな…
「とりあえずこのままでいいか…」
森を抜けるべく、歩き出した。
少し経って…
「ALO装備だけど…飛べるのかな?」
アンダーワールドで空を飛ぶには心意が必要だ…
心意、それは絶対の自信だ。
あるいは自己暗示の究極形と言える。
今は何故かALO装備だ。
恐らく容易に飛べるだろう。
肩甲骨に意識を集める…
お?
「やっぱり出た…」
翅を小刻みに動かし…
「飛べた!」
空に浮かんだ。
俺はそのまま浮き上がり…
「あー…そう来たか…めんどくせぇ…カセドラルとオールターにしかコンソール無いってのに…」
視界には果ての山脈も終わりの壁も無い。
ここはきっと終わりの壁の外側なのだろう。
そうなると面倒だ。
何故ならさっき言ったようにこの世界には二つしかリーブポイントが無いからだ。
やがて、一筋の煙が見えた…
「人か?まぁ…行ってみよう」
俺はその煙が立ち上る場所へと翅を羽ばたかせた。
だんだんと近づいて行き、やがて家が見えた。
西洋風の煉瓦造りで煙突から煙が立ち上っている。
降り立つとカシャ…と鎧が音を発てた。
「大きいな…ジャイアント…じゃないな、オーガーか?」
その家は大きかった。
玄関のドアノブが俺の身長よりも高かったのだ。
ヘルムを脱ぎ脇に抱える。
コンコン…
「すみませーん!誰かいませんかー?」
ドアをノックして家主を呼ぶ。
やがて誰かが歩いて来る音がした。
ガチャリ、とドアが開いた。
すみません、旅の者ですが。
そう言おうとした俺は何も話せなかった。
「あら?妖精が私の家にいったい何の用かしら?」
なぜなら
出てきたのは
ブロンドのショートカット
蒼の瞳
そして
人形を引き連れた
魔女だったからだ。
そう、彼女の名は…
アリス・マーガトロイド…!
後書き
神様転生がありなら、魔王様転生があってもいいじゃない。
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