レーヴァティン
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第三十九話 神の斧その一
第三十九話 神の斧
久志達は大男達と共にテントの中に入りそこで彼の話を聞くことにした、すると彼はまずは名乗った。
「僕大宮剛っていうんだ」
「それがあんたの名前か」
「うん、それでさっきも言ったけれど」
久志が入れたウォッカが入ったコップを受け取りつつ答えた。
「八条大学農学部の学生だよ」
「農学部か」
「そう、それでね」
「林業科か」
「実家が山を幾つも持っててね」
「おいおい、山をかよ」
「それでそこで林業をしていて」
それでというのだ。
「僕もそれを手伝うことがあってね」
「斧を使うこともか」
「多くてね」
「さっき荘園に雇われたって言ってたよな」
「こっちの世界じゃね」
剛は久志にウォッカを飲みつつ答えた、実にいい飲みっぷりである。
「そうだったんだ」
「それからはじまったんだな」
「こっちの世界の生活はね」
「それで荘園の森でもか」
「樵をしたりもしていたんだ」
農夫の傍らというのだ。
「それで出て来たモンスターを斧でやっつけたらね」
「それを領主さんに見られてか」
「凄い奴だってなって」
それでというのだ。
「領主さんから戦にも出るかって誘われて」
「戦士に雇われてか」
「お抱えのね、それで戦場に出たら」
剛はウォッカを久志から受けつつ答えた、他の面々もウォッカを飲みながら彼の話をじっと聞いている。
「斧で百人は倒して」
「戦に勝ってか」
「余計に凄いってなって今度は王様に目をかけられて」
「また戦ったんだな」
「もう一度戦の場に出てそこでも戦ってね」
そうしてというのだ。
「その功績で王様に今持っている斧を貰ったんだ」
「他に誰も使えない斧をだよな」
「うん、リサナウトね」
剛は斧の名前をここで出した。
「これまで誰も持てなかったけれど」
「あんたは持てた」
「そのこともあって貰って」
そしてというのだ。
「王様の下で戦っていたけれど」
「それで何でここにいるんだよ」
「いやあ、僕がふと我儘を言ってね」
「我儘?」
「そうなんだ、何かこのままそこにいてもね」
王国、そこにというのだ。
「何か違うって思って」
「違う?」
「ここにいてもただ強い戦士で終わる」
「そういうのじゃなくてか」
「人の役にはそれ以上なれないんじゃないかってね」
「戦って人や国を護るだけでか」
「それ自体凄いことだよ」
人に役に立つという観点では、というのだ。
「やっぱりね、けれどね」
「神の道具を手に入れたからな」
それならとだ、正が言ってきた。
「だったらな」
「うん、この斧もね」
リサナウト、その斧を見て言うのだった。
「神の道具だね」
「神様の持ってるものだけにな」
「凄い武器だよね」
「軍隊の一個位何でもないだろ」
「ドラゴンだって倒したことがあるよ」
こう正に答えた。
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