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ドリトル先生と奈良の三山

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第四幕その四

「日本の仏教界で重要な人なんだ」
「そうなんだね」
「その鑑真さんがおられた人がこの唐招提寺なんだ」
「そしてここにおられて」
「日本の人達に仏教や政治のことを教えてくれたんだ」
「そうだよ、あとね」
 さらにお話した先生でした。
「鑑真さんは唐から来た人だから言葉はね
「あっ、日本語はご存知ないよね」
「喋ること出来なかったね」
「書くこともね」
「多分そうだよね」
「けれど日本の人達とやり取りは出来たね」
 このことをお話するのでした。
「そうだね」
「さもないと何かと教えられないしね」
「言葉が通じないと」
「それに文字だって」
「当時日本にはもう漢文が伝わっていてね」
 中国の言葉がというのです。
「それでやり取りをしていたみたいだよ」
「ああ、日本の人達が漢文を知ってたから」
「それでなんだ」
「やり取りが出来ていたんだ」
「そうだったんだね」
「そうだよ、当時の唐の言葉をお話出来る人もいたしね」
 日本の朝廷にというのです。
「やり取りが出来ていたんだ」
「そういえば遣唐使って送ってたね」
「その前には遣隋使とかね」
「そうした人達もいて」
「それでなんだ」
「そうだよ、日本の人達も漢文と言葉を知っていたから」 
 それでというのです。
「やり取りが出来たんだ」
「成程ね」
「言葉のこともクリアーされていたんだ」
「だから鑑真さんが来られても問題なかった」
「そうだったんだ」
「そうだよ、ただ当時の日本人の言葉は」
 そちらのお話もするのでした。
「今の日本語と変わらない筈だけれど」
「やっぱり何か違うの」
「昔と今じゃ」
「そうなの」
「発音が違うみたいだね、幾分か」
 そうだったみたいだというのです。
「だから意味は通じてもね」
「お話出来ても」
「それでもなんだ」
「細かいところが違う」
「同じ日本語でも」
「一三〇〇年違うからね」
 それだけ違うからというのです。
「やっぱりね」
「言葉も違ってくる」
「時代によって」
「それでなんだ」
「今の日本の人達が当時の人達とやり取り出来るか」
「それはわからないんだ」
「ちょっとね、あと関西弁はね」
 今度はこの奈良や先生達が今住んでいる神戸だけでなく関西全体で使われている言葉のこともお話しました。
「当時はなかったみたいだね」
「あっ、そうなんだ」
「じゃあ聖武帝は関西弁喋ってなかったんだ」
「そうだったんだ」
「関西弁は古典、平安時代の言葉がもとになっているみたいだから」
 その時代のものだというのです。
「それでね」
「ああ、それでなんだ」
「奈良時代はまだ関西弁なかったんだ」
「そうだったみたいなんだ」
「どうやらね」
 こうお話するのでした。
「もう戦国時代には今の方言が確立していたみたいだけれどね」
「織田信長さんは名古屋の言葉喋ってたんだよね」
「豊臣秀吉さんも」
「徳川家康さんもあっちの言葉よね」
「毛利元就さんは広島の言葉で」
「そうみたいだけれど」 
 それでもというのです。 
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