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ドリトル先生と奈良の三山

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第四幕その一

              第四幕  唐招提寺
 先生は動物の皆と一緒にまずは東大寺を離れてです、かつて平城京の正門があった場所に来ました。
 勿論今は正門は残っていません、ですが。
 動物の皆はそこに来てです、こう言うのでした。
「ここが、だよね」
「そうよね、平城京の正門があったのよね」
「奈良時代には」
「その頃にはね」
「うん、ここに正門があってね」
 それでとお話する先生でした。
「平城京が門から見て北にあったんだ」
「帝のおられる宮殿もあって」
「街もあったんだね」
「そして街が壁に囲まれていた」
「そうだったのよね」
「そうだよ、結構以上に広い街でね」
 その平城京はというのです。
「栄えてもいたんだ」
「今もこうして奈良市があるし」
「長い間結構人が多かったのね」
「平安時代も鎌倉時代も室町時代も」
「江戸時代だって」
「そう、ずっと古都であり続けた街だけれど」
 先生は皆にその奈良の街としての歴史もお話しました。
「全ては平城京からはじまるんだ」
「そうなのね」
「そしてそのはじまりの場所がこの正門」
「それがあった場所なの」
「そうだよ、全てがね」
 まさにというのです。
「ここからはじまっているんだ、そしてね」
「そして?」
「そしてっていうと?」
「今からここから行くんだ」
 この正門があった場所に来たのが目的ではないとです、先生は動物の皆にお話したのでした。
「実はね」
「あっ、そうなの」
「ここに来て終わりじゃなかったんだ」
「そうだったの」
「そう、明日は西大寺とかも行く予定だけれどね」
 それでもというのです。
「明日香村に行く前に。けれど今日はまだ時間があるからね」
「ここからなんだ」
「この平城京の正門があった場所からなんだ」
「他の場所に行くの」
「そう、唐招提寺に行くんだ」
 このお寺にというのです。
「行くんだ」
「ええと、唐招提寺って」
「確か鑑真さんって人のお寺だよね」
「中国から仏教を伝える為に来日したっていう」
「何度も失敗しながらも」
「そう、その人が日本に来てね」
 そしてというのです。
「もうけられたお寺だよ」
「それが唐招提寺なんだね」
「今から行くお寺なのね」
「そうなのね」
「そうだよ、そこに行って」
 そしてというのです。
「今からね」
「それじゃあね」
「一緒に行こうね」
 こう言ってでした、皆は先生に連れられて唐招提寺に向かうのでした。そのまま歩いていきますが。
 奈良の普通の市街地を歩きながらです、動物の皆はわかったことがありました。そのわかったことはといいますと。
「あれっ、何かね」
「ずっと一直線よね」
「まっすぐ歩いているね」
「そうだよね」
「あっ、皆気付いてくれたね」
 先生も皆も言葉に笑顔で応えました。
「実はそうなんだ」
「奈良の都から一直線だったんだ」
「唐招提寺のある場所は」
「そうだったんだ」
「そう、そして平城京は真ん中に大通りがあるね」 
 その造りのこともお話しました。 
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